姉でオナニーすることを姉ニー、オナニーのおかずになる姉をオナ姉と名づけようと思います。
……
ふぅ…。
あ、レビューですよね。スミマセン、 少々お待ちください。
さて。
主人公・佐倉柚樹はオナニー大好きのスケベ少年。姉の杏奈にいじられつつも、毎日オナニーライフを満喫していた。ある日、クラスのアイドル・葉月莉子に「エッチなお礼」を受ける。何かに目覚めた柚木は、オナニーでは次第に我慢できなくなっていくのだった。
感想を書くにあたりまず心配したのは、柚樹のオナニーのネタをばらすことは「ネタバレ」になるかということだった。はじめたきっかけから方法、内容に至るまで、本作はとかく、オナニー描写が多い。地の文の八割が柚樹の一人称語りだが、その約半分はオナニーに占められている。つまり、全体のおよそ四割に、オナニーへの熱いパトスが充ち満ちているのだ。以前から主人公の性癖を赤裸々かつねちっこく描写するメーカーであったが、その傾向は健在である。
ただし、本作の主人公は、変態性が強調された過去作のそれとはだいぶ趣が異なる。これは、主人公の年齢をヒロイン達と同程度に下げたことの功績である。作品テーマでもある「抑えきれない性衝動」は、いい年をした主人公の時と違い、覚え立ての快楽をもてあます初々しさとして好意的に(少なくとも中和され許容しやすいものと)見えた。
ヒロインは二人と少ないものの、その分二人と柚樹の関係を徹底的に描いている。また日常描写が淡泊かと思いきや、心情が変化するポイントに的確に差し挟まれることで、かえって効果を発揮していた。Hシーンとオナニーのパッチワークの中、時々見える色違いの布は鮮やかに映える。
莉子は非処女はともかく、ゲームアイテムを貰うお礼に身体をひらくロリビッチ。正直誰得かと思っていたが、その彼女がふとしたきっかけで柚樹を強く意識し、性格が劇的に変化していく。「フツーの女の子」になると誓い、柚樹にあれこれ尽くす彼女は、期待値の低さと前半のギャップが相俟ってかなり破壊力のあるキャラに仕上がっていた。個別に入ってからは、まさに「恋人同士ですること全部」(昔、そんなエロゲーがあったのです)といった趣でイチャラブっぷりを見せつけてくれる。
莉子以上に主人公のオカズにされる姉・杏奈も可愛らしい。なお彼女自身もオナニー好き。まさにオナニー姉弟である。勝ち気な性格に反していじられキャラで、時折みせるふとした少女らしさ、嫉妬や甘えの態度が魅力的。特に終盤、私服デートの場面と修学旅行前のHが秀逸。画面に向かって「マジ天使」と何度も呟いてしまった。
二人との関係は肉体から始まるのだが、いずれも関係と心情の変化が全編丁寧に塗り込まれている。柚樹も単なるエロガキに止まらず、ヒロイン達に誠実であろうと努力する。いや、オカズに姉のエロビデオつくる発想はどうかと思うが、そこはそれ、彼なりの誠実さということで。
ともあれ、三人の間でめばえていく想い。その優しい感情によって、本作は単に下品なキワモノに陥ることから救われている。類似の作品には無い、本作の魅力だと言える。物語やテキストと原画には「相性」があると思うが、その面から言えば明るい笑いとしっとりした展開の本作は、野々原氏の可愛らしく柔らかい絵柄を活かす、出色のシナリオを用意していた。
執拗なHシーンや、遅々として進まぬ物語に苛立つ人もいるかもしれない。だが、性や恋の「めばえ」を描いた作品としては、このくらいゆったりしたペースで作品の時間が流れるのも良いものではないだろうか。
また、エロさはかなりのもの。座薬や生理用品プレイに飽きたらず皮がどうの毛がどうの、初潮がどうのと言い出す始末。ここまで来ると、問題はレベル差ではなく、「悟り」のどの段階にいるかに思えてくる。描かれている幼さも、背景設定や見た目、口調のような形式的な要素で誤魔化さず、考え方やちょっとした態度でしっかり表現しており、ロリの真髄ここにあり、という感じがした。マイルド変態から突き抜けた変態まで。変態の、変態による、変態のための秀作だ。ただし上記のような一般性によって、私のようなガチのロリでない人にも門戸は開かれている。
基本点90点、、雰囲気+5、エロ+5、量-5、システム-5、演出-7、特殊性癖±X。システムはバックログなど工夫もあったが、不親切な部分が多い。演出は、BGM12曲でテーマソングも無し、CVもメイン二人だけなことを考慮。