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O2sawataniさんのさくらの雲*スカアレットの恋の長文感想

ユーザー
O2sawatani
ゲーム
さくらの雲*スカアレットの恋
ブランド
きゃべつそふと
得点
99
参照数
720

一言コメント

素直にボロ泣きしてしまったので、負けましたの意

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

別途長文文章は投げているので短めに。
最高の作品でした。
個人的にきゃべつそふと及び冬茜トムは初プレイ。『アメイジング・グレイス』等の評判は非常に良いと聞いており、おすすめされたこともあったが、そりゃされるわというか。
何気ないところへの伏線とかが素晴らしく、その回収の時の衝撃は半端なものではない。

もちろんそれだけではなく、最初の遠子ルートから、様々なキャラクターが抱えているものだったりが見えてきて、読み物として面白いし、各ルートの話の基盤はかなり違うのだが、それでも面白さが変わらないし、しれっと伏線おいてドカンと爆発させる。

このゲームは、連続性がないのだが、連続性もある要素があり、この塩梅が非常に面白い。
限られた情報の中での電報という連続性と、話としては独立していても、他のルートであった場面の裏付けがやっているルートで出てきたりして、そういう所での連続性もある。
一概に連続性がずっとあれば面白くなるということではなく、こういう独立と連続が両方存在するのも面白いのだなと。

大正という時代を活かした歴史上の出来事やモノの使い方も非常に上手いし、伏線とこういう道具を使うのが上手すぎる。

それでいて、2020年、令和2年に生きている我々の固定観念をぶち破っていく爆弾。
その時には何気ないように思えていた出来事が意味を持つ。
だからこのキャラはこうしていたのか!と分かる時の衝撃は鳥肌モノだ。

メリッサの目、司の生きていた2020年の2つは本当に凄い。
だからメリッサは犯人を知っていて、容疑者に自分からなりにいって、司を誘導した。
だからHシーンでも手袋は外さないし、他ルートだったら度合いは違うにしても最終的に大正に残る決断をするのかとか。

こんなのやってたら所長のことしか考えられなくなる。最後の方は拍手とボロボロ泣いてしまった。
猫田みけ氏、頼むから暫くはメインとか何個かやってくれ。

ちょっとした文章が大きな爆発を生む。ノベルゲームの良さを味わせて貰った。
2020年を代表する一作となってくれることを望みます。