吸血鬼設定とかいうほどほどの中二臭さが入った学園物。生徒会入っていきなり活躍する主人公にそんな上手く行くはずねえだろと思いつつも、学校行事に積極的なエロゲ主人公というのがなんか新鮮で良かった。あと瑛里華母の演技が素晴らしい。
8月のゲームは最近まではこの「FORTUNE ARTERIAL」しかやったことなかったんだけど
先日「千桃」に手を出した流れで「穢翼」もやったので、
その流れでこいつも再プレイし、その段階での感想。
濃いのを立て続けにやった後のせいか、なんかフツー、というのが久々やっての第一印象。
■絵について
大して変化ないと思ってたべっかんこうさんの絵だけど
「千桃」から逆行して見比べるとだいぶ変わっている。
変わってるのは主に塗りだから別の人かもしれないけど。
ただ「千桃」の感想で実はモノクロ絵のほうがいいんじゃないかと書いたけど
「FORTUNE ARTERIAL」をやったらそうでもなかった。
「千桃」のモノクロ絵が良く見えたのは夏野イオさんが描いてるからというだけだったのか。
■音楽について
主題歌はなんか気に入らないような聞いてると味が出てくるような微妙なとこだけど
その他のBGMは全般的に素敵。
好きなのはこの辺
「モーニングミスト」タイトル画面
「白うさぎ」 白ちゃんのテーマ
「Deep Tension」 吸血鬼っぽいとこで流れるやつ
「静かな月」 エピローグ
「Aztec」 過去語り
■各√について
再プレイで最初にやってから9年ぐらい経ってるんだけど
なんとなく覚えていたのは瑛里華、白、桐華。
特に瑛里華についてはゲーム全体のイメージがこういうものだったと焼き付いている。
一方、完全に忘れてたのは悠木姉妹。
悠木姉妹は、キャラはすごく好きなんだけど、シナリオが凡庸だとやっぱ忘れてしまうもんなんだと体で理解した。
以下、再プレイ時の感想。
・瑛里華ノーマル
学園物で体育祭や文化祭は定番イベントだし生徒会というのもありがちではあるんだけど
ここまで真面目に裏方として学園生活を盛り上げようとする主人公はあまり見ない気がする。
生徒会が普通に生徒会活動をしているのがなんか新鮮で、その印象は再プレイした今も変わらない。
今までマトモに学校生活送ってなかった主人公が一念発起した程度で
体育祭の実行委員長とかをその他イベントをそつなくこなせるわけねーだろ、どんだけ有能なんだおまえは、
とも思ってるんだけど、
こういう学園生活送れたら楽しかっただろうなーとも思ってるので、
そう思った時点で負けてる気がする。
あと瑛里華母の存在感が大きい。瑛里華母の声の演技が素晴らしい。
特に「なればわかる」が良い。
これまで瑛里華と会長が、吸血鬼とはどういうものか、いろいろ丁寧に言葉で説明してくれていた努力を
一言で台無しにしてくれる。
吸血鬼といいながらメイン2人が善人そのものなため、上っ面だけの設定になりかねなかったんだけど
瑛里華母の得体のしれなさが説明の足りなさを補完してくれている。
・白
別に自分はロリコンではないんだけど√としては一番好き。
「東儀家のしきたり」という肝心な部分を伏せて進行するので
話自体は意味不明なままで終わるんだけど、
エピローグ前の最後のやり取り(白が兄者の前で舞ってるだけの場面)が良い。
言葉に出さず気持ちを伝えるというシーンが好きなので、
気持ちを素直に表すだけのお子ちゃまだった白ちゃんが
最後にこういう気の利いた意思表示ができるようになったことに感激する。
・桐華
唯一、瑛里華→桐華の順でやったほうがいいかなという√。
鬼ごっこ設定がバカバカしく理不尽で良い。
吸血鬼設定はフィクションではありがちなんだけど、
この√のおかげでこの作品らしい独自色を出せてる気がする。
ただ母上が個別√の段階で少し小物感出ちゃったのは残念。
たかが100年ぐらいかまわんとエピローグ前から余裕ぶっこいてもよかったと思う。
・かなで
一般人その1。かなり微妙な√。
キャラは良いのに、シナリオはその√だけのとってつけたような設定で、√自体が微妙になる。
分岐型シナリオでは割とよく見る失敗パターン。
どんなにかなでが穂坂ケヤキを大事に思ってようと
枯死してることが診断で確定してから初めて蘇生させる努力を始めてるようじゃどうしようもない。
かなではたぶん主人公と陽菜の間のワンクッション入れるためのキャラで、、
陽菜みたいな子が身近にいたら2秒で惚れるわとなるところをかなでさんを間に挟むことで
絶妙な距離感を演出する存在として設定されたキャラではないかと思うので、
シナリオはあんまり考えられてなかったのではなかろうか。
脇役としては輝いてるんだけど、いざメインに据えると特に描けることもなかった感じ。
・陽菜
一般人その2。
普通のギャルゲーな話。
悠木姉妹以外の√が吸血鬼がらみのちょっと変わった設定(ギャルゲとしては)なので、
陽菜はその対比として一般人そのものの立ち位置にして、
一般人ヒロインとして魅力的な要素をぶち込みまくったように見える。
シナリオはかなり凡庸で、薄めようと思えば
「私のせいなの!私が悪いの!」→「そんなことないよ」
の一言で終わる。
陽菜が可愛いんだからシナリオなんかどうでもいいだろという√。
それは別にいいんだけど、こういう話は時の経過とともに真っ先に忘れてしまう
というのを再プレイで実感した。
・真・瑛里華
個別で引っ張ってた伏線をすべて回収する√。
最後は母者があっさり話を聞いてくれたなーという気はするものの、読後感は良い。
周囲の人間から伝え聞いた話では、どうあがいても理不尽な化け物でしかない瑛里華母を
フォローを入れるわけでもなくあるがまま受け入れてしまうのが素敵。
価値観のズレが生じてしまってるのが良い。
ともすれば「悪いやつだけど可哀相な過去持ってるんだから許してやれよ」という話にも見えるけど
むしろ許す許さないでなく「吸血鬼ってそういうものだ」というズレた価値観を受け入れる話だと思う。
ちょっと残念なのは、悠木姉妹はけっきょくモブのまま終わってしまうところ。
昔友達だったという設定がほぼ意味なし。
というかむしろ話に無理が出てしまっている。
公平がいた時期とかぶってるのに公平と瑛里華は全く顔合わせてないのか、とか。
瑛里華のことは誰にも言わないと言ったのにかなでにはあっさり話すんかーい、とか
かなでまで瑛里華のこと忘れてるの変じゃね、とか、
かなでは公平と陽菜の間のクッションとしては有用だったけど
瑛里華と陽菜の間に存在してしまうと邪魔になってしまった気がする。
以上、久々にやると「なんかフツー」ではあるんだけど、なんとなく好きな作品。