外れルートのほとんどない安定した構成で、萌えゲーが好きな人なら楽しめると思う。死神要素は薄いので、ファンタジーを期待すると肩透かしかもしれない。
各ルートとも恋人に至るまでの過程を丁寧に描くことが重視されてて、
恋愛シナリオを期待してればどのルートも出来は安定してると思う。
以下はプレイ順に各ルートの感想。
・栞那
後半に家族愛をテーマにした話を書いてて、読後感は一番良い。
ただ中盤の展開はご都合主義そのもので、ここで好みが分かれそう。
安易な救いを避けるか、ご都合でも救済するか、どちらが良いかは好みの問題だと思う。個人的には容認派。
ヒロインとしては、過去作ヒロインを混ぜた感じ。
特に中の人が同じエリナと夕音。口調が夕音の実質エリナ。
・ナツメ
恋愛シナリオとしては一番良いルート。
「は?」の表情とか不意打ちでのキスとか、緩急のつけ方が上手い。キャラの立て方が手慣れてる。
立ち位置も恵まれていて、共通ルートはまるごとナツメルートの布石。
喫茶ステラという作品自体が、主人公とナツメを幸せにするために死神がお膳立てをするお話になっている。
作品の構成段階でも、栞那で土台を整えてナツメで刺すことを意図してるんではないかと思う。
・希
ここまで褒めといてなんだけど、このルートはイマイチだった。
希はヒロインとしては可愛いんだけど、シナリオがイマイチ。
どこかダメかというのは色々あって、あげてくとキリがないから詳しくは書かない。
主なところを要約すると
①スケジュール感がおかしい、②話の理由付けがおかしい、③話の整合性がとれてない
の3点だと思う。要するに全体的にプロットが甘かった。
ただそもそもの話で言えば、プロットが甘いってのは全部赤磐様というサブキャラの物語で、
整合性のとれた赤磐様の良い話ができあがったところで希の魅力が上がりはしない。
なので、そもそもで言うなら、赤磐様より希の話を書いてほしかった。
・愛衣
シナリオとしては一番面白かった。
バイトの後輩と仲良くなってバレンタインに告白されて付き合い始めるという王道な話で
左目に宿る力が周囲も自分自身も不幸にしてしまうという直球な邪気眼。
このルートで初めて死神の蝶の設定が活かされたと思う。
こういう設定なら愛衣を主人公にした少女漫画みたいな話にもできそう。
エロシーンでまで笑かしにくる頭悪いテキストも面白かった。
・涼音
サブヒロイン扱いなのでボリュームは薄めだけど上手くまとまってて良い話だった。
赤面する涼音さんが可愛い。
不満があるとしたらなんでサブ扱いなのかという点のみ。
ここまで舞台設定の要となるポジションでサブ扱いなのは珍しいんじゃなかろうか。
・総評
一番良かったのは、シナリオでは愛衣、ヒロインではナツメ。
ゆずソフトに期待してる通りに萌えゲーとしては安定度高い。
心の名作になるかは栞那ルートの中盤を容認できるか次第な気がする。
その他について
・立ち絵モード
いろいろ機能アップしてて嬉しい。当初は物足りないとこもあったけど、アップデート後は欠点がほぼなくなった。
ゆずソフトで一番良いのは立ち絵モードだと思うので、みんなもっと遊ぶべき。
今のクオリティの立ち絵モードの千恋バージョンとか欲しい。
・アフター
アフターでもライターさんごとの個性が出ててある意味面白かった。
愛衣はアフターでも笑かしに来てて良い。
・過去作とのクロスオーバー
これまでの作品だと背景にチョイ出しとかブランド名程度だったのに
今回は珍しく過去作要素が多めで、特に千恋万花との関わりが大きかった。それ自体は良かったと思う。
ただ芳乃が巫女さん祭りに来てたとかハレの気がないと舞に効果ないとか、安易に設定を足してほしくはなかった。