エロ無でイケメンが戯れるだけの0が一番面白かった。
エストとパル子の後日談と衣遠お兄様の過去編。
エストは9か月分、パル子は3か月分のお話で、衣遠はパル子と同程度で、
ボリュームとしては「その後の周辺」と同じぐらいかやや落ちる。全体としてのボリューム不足感は否めない。
ボリュームの薄さはとりあえず置いとくとしても
全体として物足りなかったと思う。
■エストAfter
カップル成立後の話にもかかわらず、
カップル成立前の本編の空気がほぼそのまんま継続する後日談。
エスト×才華よりむしろジャス子×伊瀬也のいちゃつきを愛でる話になっている。
本編の雰囲気自体は好きなので、そこは良かった。
エスト√本編は、才華さんがファザコンでマザコンを克服する話としては面白かったものの
エスト自身の関わりは薄く、エスト自身が抱えてるデザインに関しての悩み事も割とどうでもいいものだった。
(「ロンドンの双子デザイナー」なんてフレーズ、Afterではもはや全く出てこない)
結局のところ、エスト自身についてはそもそもの設定が弱い。
なので、Afterではエスト自身や2人の関係についてなんか補完されてほしかったんだけど、
デザインについての衝突ばかり続き、今後に期待する形で終わってしまう。
ルナ様と朝日とは違う関係として描きたかったんだろうけど、
単にこの2人はデザイナーとしては合わないんじゃないかってだけにしか見えなかった。
ルナ様と朝日と比べるまでもなく、
そもそもこの2人のつながりは薄いように思えてならない。
■パル子After
普通のAfter。
エストAfterとの比較ではボリューム不足に見えるけど、
瑞穂や湊のAfterもこんなもんだったのではないか。というか大抵の後日談はこんなもんなのではないか。
中身は「ぱるぱるしるばー」のHPに才華さんのデザインを載せたけど
全然売れなくてやべえ!というお話。
初っ端からパル子に対する才華さんの慈しみが強く、
エストと才華さんよりよほど恋人らしい。
個人的にパル子は才華さんに欠けてるもの(謙虚さとか)を全て持ってる子で、
才華さんが母親の真似っこと訣別し、自分のためじゃなくて誰かのために服を作るという方向性なら
一番わかりやすいキャラだったと思うんだけど、
Afterでは「才華さんの最終目標とは無関係な寄り道」程度の扱いなのがなんか残念。
あとやはり相変わらずパル子がおがっしーなのでヒロインには見えない。
パル子とエストが混ざってるぐらいのヒロインを見てみたかった。
なんでパル子をおがっしーにしてしまったんだろう。
■0
衣遠の学生時代、ジャンやラフォーレや八千代さんとボロ部屋でデザインし縫製し
飲んで騒いでた頃の話。
酒場で飲んでるのは楽しいし、友情は素敵だし、別れの場面ではしんみりするし
この素敵なチームのみんなが〇年後はあんな変態になったりあんな変態になったりしてしまうのか・・・という儚さもあり
全体的に雰囲気がすごく好き。
アルバニアネタみたいな無駄にワールドワイドなところもつり乙らしい。
書き手も一番書いてて楽しかったんじゃなかろうか。
ただ前半は面白かったけど、最後のほうはやっつけな気がする。
あの状態から衣遠がジャンに勝てたとは自分には思えない。
衣遠を追い詰める展開にしたはいいけど、最後これどうにもならんぞとお茶を濁してしまった感じ。
新キャラのアルタさんは、ヒロイン枠をほぼ八千代さんに持ってかれてしまい、
ネズミ講ネタは面白かったけど影は薄い。
アルタさんの描写を軽めにしたのは0の続編を作る余地を残したためという気もする。
最後のほうで衣遠は「今後俺が追い詰められる可能性は小さい」とか言ってたけど
アルタさんのためにもう2、3回ひどい目にあってほしい。
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以上。
まとめると
エスト→そもそも本編の設定が甘いので物足りない
パル子→普通の後日談だけど相手がパル子なので物足りない
0→飲み会楽しい。ただ最後のほうははやっつけ。
という感じで、全体的に物足りなかった。
どうにも消化不良なので、
買ったまま放置してたVita版のつり乙を始めたんだけど、導入から格が違った。
やはり今さら言うまでもないけど親の代が一番いい。
ただ八千代さんがフィリア女学院の講師になるところ、
前にやった時はサラッと読み流してたけど
0をやった後だと印象が違う。
こういう付加要素を作れるのなら、(蛇足な)続編も悪くないんだけどね。