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November13さんのAI: ソムニウムファイル ニルヴァーナイニシアチブの長文感想

ユーザー
November13
ゲーム
AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナイニシアチブ
ブランド
スパイク・チュンソフト
得点
88
参照数
863

一言コメント

うぃ~、ひっく、飲みすぎちまったぜぇ…

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

※個人の感想です。気分次第で消します。
 新作への配慮の為、ネタバレはフルオープンしません。(ほぼクローズです)
 深い考察や分析&感想が読みたい方は1年ぐらい待ってください(笑)
 書くか知らんけどw

Q.どんな作品ですか?
A.物語は未来感のある「捜査系ADV」みたいな感じです。

Q.前作をプレイしたほうが良いの?
A.できれば。
  本編だけでも独立して楽しめますが、前作をプレイしたほうが一層面白いです。

Q.前作プレイ済の(楽しめた)ユーザーから見てどう?
A.普通に面白かったです。
  ギャグは過分だけど、シリアス部分(ソムニウム世界)での演出が素晴らしかったです。


前半:大衆用 要点
後半:自分・本作クリア済の人用(ネタバレ微 ※引用転載禁止)

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  ミ      ▼  ミ  
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  、 ""⌒⌒⌒)⌒⌒)  

【前半】
プレイ時間:25~45h程度 
オススメ :推理&考察&妄想が好き
      ゲームをエンタメとして楽しめる人
      =「ゲームだからある程度面白ければOK」という寛容さがある人
回避推奨 :ホラー耐性無し(小程度の残酷表現有り。グロ薄目&前作よりホラー寄り) 
      気が短い人
      作品に対して極端に論理的思考を優先させちゃう人
      =ガバさがどうしても気になって作品が楽しめなくなる人

■良かった点
・希少な殺人&推理系ジャンル
・エンタメ性やギャグに労力を惜しまない姿勢
・シンプルに面白い(物語の先が気になる)
・解決編ENDまでたどり着けば全容が解り、考察に必要な情報が開示される
■気になった点
・ロードがやや遅い(NS版)
・セーブが1つ+オート一つ(その代わりにフローチャートは細かく完備されている)
・ソムニウム世界の物語後半の謎解きが、前作より複雑化している。
・謎ダンス&変なガンアクションの導入でちょっとテンポが悪いw

ザックリ点数内訳(点)
キャラクター :  5/5(MVPはアンデス米治。ソムニウム世界も含めてめっちゃ良かった)
声      :  5/5(MVPはアンデス米治。みずきの中の人は前作より巧くなった)
BGM・SE :  8/10(完成度が高い分、前作同様musicモードが無いのが悔やまれる)
CG     :  9/10(3Dモデリングが良いがムービーは微妙。ギャルゲーの様なCGモードは無い)
ストーリー  : 19/20(ツッコミ処が前作より増えたが、全体としてみれば良い出来)
構成力    : 18/20(前作のシナリオ構造からメタ読みが発生する。酷い反則技が1点w)
ゲーム性   : 12/15(ゲーム性は前作より上。謎解きは好みが分かれる)
エロ度    :  -/-
システム   :  2/5(上述の気になった点参照の事)
+α     :  10/10(フローチャートが便利。内容的にも割高感は無い)
総合     : 88/100
判定:良作
面白かったです。
アンデス米治が物語が進むほどに好きになる(笑)
Psync(ソムニウムパート)が前回より難解になったので、休日に一気に進めると疲れます。
少しずつ楽しみましょう。
煩わしさを感じそうな方は、難易度ストーリーで進めたほうが良いかな。


以下、自分・本作クリア済の人用(ネタバレ微 ※引用転載禁止)
未プレイ者撤退推奨【強】





























































【後半】
前作の特徴から、全容は兎も角、下記2点のシナリオ構造は最序盤から透けてしまいました。
1.第一被害者に重要な秘密が隠されている
2.時間軸クロス
それを踏まえても面白かったです。
上でも触れたけど、アンデス米治のキャラ造形がすごく好き(笑)
いや、もう本当、本作でぶっちぎりで好きです。
彼の要素全てが善人というわけではないけど、根底にあるのはどこまで行っても「家族愛」なんですよね。
その人間臭さが中の人の演技と相まって、作品の水準を3段階ぐらい押し上げています。
というのも、物語全体の面白さや完成度で比較したら、正直前作の方が圧倒的に上だったと感じています。
1.ハーフボディ連続殺人事件の被害者が第2サイクロプス事件と異なり、事件の外側にいる人物へ向かない点
2.有能伊達くんが味方側にいる安心感がマイナスに作用したこと
この2点が本作の物語展開の足枷になってしまったからです。
その差を埋めるぐらいアンデス米治は頑張っているんです。
「家族愛」が結果的にニルヴァーナ構想を吹き飛ばすぐらいに(笑)

【総括】
とっても面白かったです。
客観視しても良作以上の評価が相応しいと感じました。
みずきの反則技だけはちょっと(かなり)納得いかないが……。
クリア後は時雨さんを躍らせようぜ!!w

























































■胡蝶之夢
ある意味すべての創作物に対する否定にも肯定にもなり得る、
挑戦的(意地悪に言いかえれば挑発的)な外伝。
読み手によってさまざまな解釈がされるのも覚悟してのことだろう。
私の場合は、プレイヤーの手(目)が関与し続けるかぎり、二次元下の登場人物たちは
生も死の概念も結局は虚無の延長線上でしかなく、彼らの存在そのものが
唯の舞台装置の一部でしかないという一種の皮肉めいたメッセージのようにも感じられた。
とはいっても、時雨自身がこの二次元世界の必要人物であり、
彼女が「消失(※死の意味ではない)」してしまっては物語が成立しない=舞台が破綻することから、
3次元(読者)への対話自体がかなりの矛盾を引き起こしている構図でもある。
発想は面白いが、物語中枢の人物をメッセンジャーに据えてしまったことで、
余計に物語全てが唯のメタフィクションであることを強調づけてしまっているので、
作品の余韻を叩き潰しかねない。
(宴田親子の家族愛や厳&亜麻芽の葛藤に心を打たれた私には、水を差す結果になってしまった)
ここまで強調すると製作者のエゴイズムな主張が大きすぎて、試みとしては微妙かなと感じた。

色々と時系列順に分析&考察を踏まえながら感想を書こうと思っていたのですが、
正直、胡蝶之夢で完全に萎えてしまったのでここまでとします。
繰り返しますが、ゲームとしては非常に面白かったです。