笑いあり涙ありととても面白い・・・のだが・・・
シナリオとテキストにノリと勢いを求める人には自信を持ってオススメできる。
大作、良作を作ろうと言う意気込みをひしひしと感じる。あれこれ考えず、そのままを
楽しむと吉。
以下、シナリオ以外の雑感
--演出--
SEに不満あり。特にジャンプ時のSEのひとつがとてもチープ。シリアス時に聞くとガッカリしてしまうレベル。
SEとテキストが一致しない部分もあり、SEでは缶が転がっているのに、テキストでは缶が宙にあったりする。
総じてSEの種類がやや不足している。
立ち絵もやや不足気味。コメディだったりシリアスだったりと豊富な場面に立ち絵が対応しきれていない。
顕著な例はキャップ。目尻に涙ためすぎ。
立ち絵のあるキャラ、ないキャラの線引きにもやや不満。これは言い出したらキリないが。
燃え要素として一撃必殺の威力を持つはずの、挿入歌の使いどころも微妙。
じゃあどこで、と考えたときにそれ以外に有効な場面も特に無く、
そもそも挿入歌は必要だろうかと悩んでしまう。挿入歌で盛り上がるというよりも、
ここで盛り上がってね、といったあざとさを感じてしまう。
良く動く立ち絵は好みなのだが、その脇を固める要素がやや貧弱に感じた。
--テキスト--
会話の中に説明文が入ることが少ないので、会話のテンポがとてもいい。
反面、説明文の不足を補うためか、会話分の末尾に括弧付きの文が挿入されることが
よくあるのだが、これが個人的に肌に合わなかった。
シリアスなシーンで
「いくぞ!(ジャンプ!)」
と書くぐらいなら、説明文で飛んだことを書いてもらったほうがスマートに感じる。
また、会話文は口語をより意識しているのか、主語や目的語などが省かれる場合がよくある。
会話の流れを見失い、バックログで確認というのが何度もあった。
それでも意味の通らない会話もチラホラと。(自分の読解力の無さもあるだろうが)
さらに「こそあど」にも違和感があったりして、あまり読みやすいテキストと思わなかった。
--ボイス--
収録時や収録後に誰もチェックしなかったのだろうかと疑ってしまうほどに
イントネーションやニュアンスの誤りが多かった。最も極端な例は百代の
「エス・・・」。これに関しては最早バグレベル。
また括弧内のセリフを読むかどうかが統一されていないのも気になった。
小声を表現するなら読むことで統一なのだが、擬音とセリフの中間みたいなものは
同一の場面、セリフであっても声優ごとに読んだり読まなかったりとなってしまっている。
救いは、これらの問題はクライマックスやHシーンなどにはほとんど現れないこと。
表現に幅のある日常シーンでは割とよく現れる。
せっかく有名どころの声優を起用しているのに少々もったいない。
--システム--
設定できる項目が豊富。ゲーム内のインターフェースも個人的に使いやすかった。
ただ、その他(男性)のボイスをオフにしても一部の男性ボイス(主に百代ファンなど)が
再生されることがあったり、逆に女性ボイス(冒頭のアゲハなど)が再生されなかったりなど、
粗もチラホラ。全てオンにすれば特に問題ないのだが。
大作ゆえに作品全体のクオリティを上げたり演出を煮詰めたりする時間は
なかったかも知れないが、非常にもったいないと思う。
ネチネチと問題点を挙げはしたが、点数にあるとおりとても楽しめた作品だった。
ここで挙げた点を「そんなもんか」と思った未プレイの方は、是非是非プレイしてみて欲しい。