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Niccolumさんのフレラバ ~Friend to Lover~の長文感想

ユーザー
Niccolum
ゲーム
フレラバ ~Friend to Lover~
ブランド
SMEE
得点
96
参照数
2075

一言コメント

ここにはかつて学生だった君が経験したかもしれない、等身大の恋愛があった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

■緒言
SMEEはらぶでれーしょん、ラブラブルをプレイ。久しぶりにまたSMEEらしいシナリオ無しの甘ったるいお話がみたくてプレイ。
予想を裏切らず非常に甘々でした。御馳走様です。
さて本作のシナリオとしては、今までは彼女なんて直ぐに作らなくてもいいと感じていた主人公が、彼女がいない生活にとうとう危機感を持ち始め
自分から積極的にアタックして何とか夏までには彼女を作ろうというオハナシ。
要点は以下に

○SMEEお得意(?)の変人達と、独特な会話のテンポも健在
 これ見ると「あ、SMEEだわな」と思いますね。奇声あげるクラスメイトとか、友人(特に元気)との会話のノリなんかある意味で退屈しなくて良かった。

○主人公が積極的
 これも自分の認識では過去作の例にもれず良い主人公だったように思う。特に今回は恋愛に対して積極的に行く主人公だったので、
 自分では何もしない主人公にいらいらするということもなかった。詳しくは主人公の解説欄で。

○友人パート(共通ルート?)はこれまでのシステムと違くなった。個人的にはマイナス点。
 友人パートは、毎回主人公が誰に会いに行くのかを選択、会話のネタも選択、さらに会話中の選択肢も出てくるという、
 実際に画面向こうのユーザーがヒロインと会話しているような印象を与えたかったのではないかと思う。
 でもこれが若干面倒に感じた。振り返ってみるっと30回くらいはあったと思うので、その度に会話内容を選択等々やるのは結構ダレた。
 まぁ友人レベルが上がってくるとネタのレベルも上がったりヒロインの態度も変わってくるので飽きさせない工夫はされていだけれど、
 さすがに多いかなと感じた。ただ、自分はただ甘々な雰囲気を楽しみたかっただけだから攻略サイトみてやっていたので一々面倒だと
 感じたけれど、何も頼らずに探り探りやっていくプレイヤーには面白いのかもしれない。

○主人公とヒロインの両親へ付き合っていることがバレる描写が必ずある
 かなり珍しいのではないかと思います。主人公が親を大切に思っていて、また母親も息子を大事に思っているのでヒロインとの関係を
 祝福され、母親とヒロインの交流(主に料理)も描写されます。こういった描写があることは非常に良かったです。
 また、陽茉莉ルートにおいては母親同士の交流から距離のある二人を無理やり引き合わせたりと関係を進展させるきっかけにもなります。

○必ず主人公が告白する
 これが非常にいい。
 「私、○○君が好き」
 「俺も今思うといつからか好きになっていたのかもしれない」
 こんな告白が横行するなか、主人公からデートに誘って帰りに際に告白というのは潔い。

○クイックジャンプ機能有り
 物語を見返すときとか楽で非常に優秀です

■主人公
ちょっと、いやかなりおバカなところもあるけれど、恋愛に積極的でいい意味で自分の気持ちに正直なので見ていて安心できる。
このゲームのメインがヒロインとのイチャイチャなのだから恋愛には積極的であってもらわないと困るが。
兎も角、ヒロインに対して非常に能動的なので見ていて付き合うのが不自然にならない。
顔はそこまでかっこよくないのだろうと思いますが、精神的に素敵だと思う。

・友人パート、恋人パートでも自分の思ったことははっきり伝える。
・デートに自分から誘い、告白は自分から
・付き合い始めて他人から(主人公が)釣り合っていない、別れるべきだといわれてもめげないでヒロイン一筋(実際言われるときついと思います)
・いざというときは自分がバカをやってでも困っているヒロインを助けに入る
・ヒロインに対する思いを恋人になっても何度も言ってくれる。

考えただけでこれだけ挙げられます。正直男の自分でもこれは惚れられて当然だろと思うくらいカッコいいです。
もっとこういう主人公増えてくれ。


■柊 ゆずゆ(7h,プロローグ+個別ルート)
周囲から距離を置いて、近づいてくる人間には誰でも噛みつく(比喩的な意味で)。
しかしそれも理由あってのことで、男子に対しては胸のコンプレックスからというのもあるけれど、
女子に対する不信は結構暗い過去だった。

兎に角彼女になってからのギャップが凄い。もう甘々でした。やっぱり普段恋愛に興味ない感じのキャラが恋人になった後のギャップは
良かったです。主人公に素直に甘えてくるし、お姉ちゃん属性も持っているし、個別に入る前とは色々な面を見れたキャラでした。


■沢渡 岬(6h)
市議会委員の娘で、既に許嫁がいて、学園の理事長も頭が上がらない、清楚な学園のお嬢様。
そんな噂を持たれている彼女も実は他の女子と何にも変わらなくて、普段から神格化されて
周囲から一歩引かれているのを寂しく思っている。
らぶでれーしょんの心のような感じです。

一番主人公が輝いていたと思います。3年ということで接点も余りなく、彼女の周囲が彼女を守ろうとしているので
接触を阻まれたり非難されたりしますが、めげずに自分から何度も会いに行って交流を重ね、たまにデートもしたりしてやっと告白
というのは正直今までプレイしてきたゲームでなかったように思います。”自分から”というのがポイントです。
自ら行動し、ヒロインと会話を重ね、告白してやっと恋人同士になる。当たり前のようですけどゲームだと中々お目にかからないですね。

フレンドパートの話題選びも、口下手な彼女から話題を引き出そうと話しかける主人公という感じでうまく機能していました。

印象に残った点は、
恋人同士になった後、彼女を大事にするあまり自分の性的な衝動を抑えている主人公に対して、
彼女が周囲の(街中でもがっついているような男との)カップルとの違いを感じて、自分が主人公から余り好きと思われていないのか
と思いそれを吐露する場面ですかね。
元々お友達と恋人の違いも分からなかった彼女が、主人公に喜んで貰いたいと貪欲に(例えば主人公の持っているエロ本だったり、
主人公の細かい反応だったり、上記で述べたような周囲のカップルから)恋愛に関することを身に着け、それにより周囲と自分との
違いを感じてしまって不安になるというのは健気で胸にグッときました。

周囲からの神格化された状況もシナリオ内でちゃんと解決されました。もちろん萌えがメインなので暗い部分なんて一瞬ですけど。


■望月 理奈(6h)
悪友ポジのヒロインで此処まで好きになったのは初めてかもしれない。良いところが有りすぎてもうきりがないくらい。
友人パートまでは「あぁ、割と好みかなー」な程度だったんだけど、個別での破壊力は凄まじい。
皆の前では飄々としてなんでもそつなくこなすように見えて、海や雷が泣くほど怖かったり、夜中に一人で眠るのを寂しいと
思っていたり、そんな一面を知るたびにどんどん好きになっていきました。恋人になると非常に甘えたがりだと分かるのですが、
これも普段の明るさとギャップになっていて素晴らしい。

ともすれば友人パートから恋人パートへ移る際の変わりように彼女はもはや別人じゃないかと思うかもしれないが、
上記の普段の明るさと恋人になった後の甘えたがりというのにもきちんとした理由付けがあり、それは物語最後の彼女の両親との会話で分かる。
また、その時に一人暮らしという親が結構出てくるこのゲームでは「あれ?」と思うような設定への裏付けもされる。

そういった不自然さをできるだけ感じさせないような配慮は非常に良かった。

その両親との問題は結局解決したのか、それともしていないのか判断つかないところでしたが、このゲームはそういうのを求めるもの
じゃないということで。ただできればご都合でもいいからいつものように解決させても良かったような。最後の場面ではちょっと涙腺緩んで
泣きそうになったので。

■皆原 陽茉莉(4h)
「幼馴染だから好きになったと思われたくない」
これに尽きると思います。
幼馴染というテンプレ設定でありながら、まさか結局最後までクラスの皆に幼馴染ということを隠したままとは思いませんでした。
幼馴染として一度好きになって、離れた年月でそれは確かに一度心の中で決着をつけ、今度は同じ学校の友人からスタートしてお互いに好きになった。
そんな気持ちを否定されたくない陽茉莉の想いが伝わってきました。また、幼馴染という使い古された設定をこう使ってくるかと
楽しませてもらいました。

キャラクターも表情が愉快だったりして可愛いですし、他ルート同様個別はニヤニヤでした。

ところで、このゲームのメインはイチャラブですけどその割にはこれまでのヒロインではクラスメイトの前でのバカップルっぷりが弱かったような
気がします。もちろん他のゲームと比べれば普通にバカップルなんですけど、陽茉莉はやってくれましたよ。
授業中に皆に隠れて(と本人たちは思っている)ディープキスとかSMEEは俺を悶え殺す気かと。御馳走様でした。



■総論
ヒロインは外れなく総じて皆可愛いので、シナリオを気にしないでイチャラブを楽しみたいならば絶対にお勧めできます。
頭を空にして「あぁ、この子可愛いなぁ」と思えれば十分です。

キャラクター
理奈=陽茉莉>ゆずゆ>岬

シナリオ
理奈=陽茉莉=岬>ゆずゆ

全体的にキャラクターは好きなキャラが多かったので迷いました。
シナリオに関しては、物語の最後に山場(といっても丘程度)があり、それまでの流れをうまく纏めてくれます。
理奈、陽茉莉、岬シナリオは締めとして重くなくそれでいてグッとくるので良かったです。