女の子を落とすために思考して行動する。こういう主人公が増えて欲しいな。
*完全にネタバレを含んでいます。知りたくない方はここで今すぐ戻ってください。
■緒言
守護者(ジーニアス)と呼ばれる特殊な能力を持つ人間と持たない一般人で構成される世界。主人公の明智久司朗は「高速思考(ハイパーハイスピード)」を可能とする皐月学園の生徒。メフィスト(光理)という協力者を得て、世界を統べるとされる聖女を決める会長選挙に介入し、現在の守護者が一般人を虐げる世界を破壊するために聖女を思いのままにしようと画策していく。
という話ではありますが、主人公が世界の破壊を目指す割りに優しい(甘い?)人間で、全てのルートにおいてヒロインを篭絡するどころか逆に篭絡されてしまう始末。自分としてはもうちょっと目的のために非情になるルートも欲しかったと思いますが、まぁそれでもただ流されるだけの主人公ではなく、自分で思考して行動する感じだったので楽しめました。
攻略キャラは聖女候補三人とその補佐六人+光理の十人。ただし、補佐のルートは結構短いです。
ルートは、聖女候補には2ルート、その他には1ルートで計13ルートが用意されています。
ハーレムルート無し・・・なぜだ!?FDだというのかっ!?
最終ルートは記憶の関係からハーレムでもいいと思ったのに。光理ルートとは別にですけど。
サブヒロインのシナリオはあってないようなものです。尺的にも中身的にも。
■主人公 明智久司朗
高速思考(ハイパーハイスピード)を持つ皐月学園の生徒。実は能力を持っているわけではなく、高速思考は努力の末に身に着けたものなので、守護者であることを周囲に偽っている。世界を変えるという野心を抱えながらヒロインを利用するために近づく。似たようにヒロインを利用するために近づくと言うのはリザインの主人公ですが、あちらの主人公は野望をかなえるためにもう手当たりしだい処女を食っていたりかなりはっちゃけていました。最後の最後で改心するかしないかで純愛か陵辱ルートへの分岐もありましたしね。緒言にも書いたようにこの久司朗は野心のために利用するとは言いながらも、全てのルートにおいてヒロインを恋に落とす以前に自分がヒロインに恋に落ちてしまいます。そこが、温い感じがして嫌だと感じる人もいるかと思いますが、自分的にはヒロインの攻略を自分から積極的に行うタイプの主人公ですのでかなり好きな部類でした。
ただ、この主人公はヒロインの信頼を得る時点ではかなり頭の良い行動をしているのに、選挙戦になると途端に慢心したりして必ず失敗するのがなんだかなぁと思ってしまいました。
他者視点からのときのみ、ボイスが発生します。結構合っていてカッコいいと思います。そして最終ルートでの聖女アナとの戦いでの
「これから、聖女アナに救いを与える!」
には痺れました。
■聖ジュライ学園
○サクラ=ウィンザー
いつも笑顔を絶やさないまさに聖女といったキャラ。こういう裏表の無いニコニコキャラは好きではあるんですが、ヒロインとしてどうかと言われてしまうと個人的にはそこまでではなかったりします。
選挙戦に勝ち抜いたところでサクラの能力「修正天使 (アップデイト)」が暴走。みんなが一丸となってサクラを助けるというお話です。
二つ目は姉妹丼ルート。サクラが学園から国へと帰り結婚させられることを知った主人公が駆け落ち、その後すったもんだの末最終的に結婚してエンドでした。
気になるのは主人公の迂闊さ。大事な選挙戦最終戦にも関わらず、相手の水無月学園の能力を悪魔図書館で探ろうともしない、探るまでも無いとしていたのは明らかにおかしいと感じました。
○アイリス=ウィンザー
姉が常に一番の彼女が、主人公を意識していくのは微笑ましかったです。ですが、尺のせいかその過程が一段飛ばしで進んでいて意識するキッカケというものが感じられなかったのが残念でした。ただし、彼女の真骨頂はサクラルートにありました。サクラのために主人公の覚悟を試す、その結果主人公を殺すことも考えていた彼女が、その覚悟、サクラへの直向な思いを知って主人公を認め、その後サクラにボソッとつぶやくのですが、
「もしも、お姉さまがあの男に愛想を尽かしたら・・・私にください・・・」
いやこの言葉の破壊力は凄まじかったです。
○雪見 カエデ
サクラつきの完璧なメイド・・・というわけでもなく、年相応に恥ずかしがったりするところが可愛いキャラでした。まぁ魅せるシナリオではなくカエデとのほのぼのした日常を楽しむお話でした。
■水無月学園
○時雨里 姫乃
実は主人公と同じく能力を持たないが、薬によって身体を強化して能力があるようにみせかけている。このルートは、姫乃と主人公が最終的に能力を手に入れ守護者となったり、他のルートよりもノアに密接した話となっていたり、「鋼鉄乙女 (アイアンメイデン)」を偽っていた姫乃が主人公に惚れてデレてくるのが可愛かったりと非情に読んで
いて楽しかったです。最後の演説も見ていてワクワクしました。水無月学園の人間は自分の意思をはっきりしっかりと持っていてサッパリした性格のキャラが多いので良いですね。
○パトリシア・ランカスター
ちょっとおバカなお姫さま。話自体は特に語ることもないのですが、おバカで可愛いパティを見れたので・・・。
○刀条院 京香
生真面目で恋愛とかセクハラに弱い武人。まぁ任務なら割り切れるんですがね。真面目な彼女が主人公だけになら・・・って感じになっていくのはやっぱりいいなぁ。
■皐月学園
○葉月 翠名
ほんわかだけど実はとんでもない能力持ちで、主人公の秘密もとっくの昔に気づいてたZE!!なほんわか新聞部部長。突っ込みのときのしゃべり方がちょっと好きだったりします。このルートだけは選挙戦が学生投票となってしまったせいか、話に起伏が無くて非情に眠いストーリーだったのを覚えています。翠名が最初から主人公の秘密に気づい
ているために、どういう展開が待っているのか若干ワクワクもしていましたが、なんかハンパな感じでがっかり。守護者でないことがバレて糾弾されているところに翠名が・・・とかそんな展開でなくとも激しい展開を期待していたのに・・・。
翠名が秘密を知っていることを話す→もう逃げるしかないぜ→でも駅前で翠名に捕まっちまったよ→ナニィ!?翠名はそれでも俺が好きだってー。
この学園のキャラ性ともあいまって非情にダルイ展開の連続でした。キャラは好きだったので展開が変われば大きく印象も変わっていたと思うのですが・・・それだと翠名の印象からずれていくからだめなのかなぁ。
○光明寺 夢子
男になれてないけど主人公なら平気な元気後輩。セクハラに対して過剰反応したりわたわたしたりしてああ、こんな後輩いたら良いなぁとか思ってしまいました。
○春秋 詩子
仲間思いで人をからかったりもするけどあまりガツガツと言葉を発することはない先輩。デレたらどうなるのだろうか、楽しみだと思いつつも結果は期待以上でもなく以下で
もなく、なんとも微妙な感じでした。デレたんだけど、あれー俺の思っているのと違ったなー的な。
■葉月学園
○明智 光理
聖女候補三人をクリアし、過去へと遡ることで最終的に道が開ける。聖女候補三人それぞれと共に歩んだ未来では悲しい結末が待っていた。俺はどうすれば良い?そうだ!光
理を選べばいいじゃないか!?
なノリではなく。今度は三人が別々ではなく一緒になって世界を変えていけないかと考えた。聖女ノアの真実が語られるルート。これまで世界を良い方へ持っていこうとして
どうしても破綻し、最後にたどり着いたグランドフィナーレ。
もう明智久司朗がカッコいいです。ユリウスが憧れるのもわかります。ちなみになぜユリウスが久司朗を尊敬するようになったのかが分かります。
こういうノリ好きだなぁ。主人公のもとでみんな纏まって挑むなんて熱すぎる展開です。
いつも飄々としていた(たまに照れてもいたけど)光理が本気で久司朗を心配したりデレたりするのは今までがあっただけに新鮮でいいですね。そして光理可愛いよ。
まさに最後を飾るにふさわしいルートでした。
■結論
葉月学園のだらだらした日常が辛かったけれどもほかは概ね満足でした。主人公も行動的でしっかり考えているキャラで、野心?なにそれおいしいの?なことに目をつぶれば(
自分はそれほど気にしないので)最高の主人公だったと思います。むしろ世界を変える野心を持っている主人公ですが、画面の向こう側からすれば女の子を落とすことに必死になっている感じなのでエロゲ主人公として正しい姿なのでは。
とにかく、個人的にはヒロインの可愛さ、主人公のかっこよさ、不快なキャラが皆無であること、水無月学園、葉月学園ルートでの熱い展開、アイリスの破壊力からトップレベルの作品だと思います。
ところで、知っている方がいたら教えていただきたいのですが、
翠名、もしくはサクラが主人公のことを「彼は世界を変えることを野心というけれど、それは守護者が一般人を虐げる世界をどうにかしたいという純粋な気持ちであり、希望だといえる」みたいな感じのことを喋っているシーンがあったかと思うのですが、誰のルートのどこら辺だったか分かる方いますか?
もうひとつ、公式ホームページでの西九条先生の台詞で「明智、本気のお前はそういう男だったか」とあるのですが、こんな台詞彼喋ってましたか?西九条先生結構良いキャラしてたので言っていたのかどうか気になりまして。
お分かりの方がいればぜひ教えていただきたく思います。