役者に本気で向き合う主人公が近年稀に見るほど素晴らしい
■緒言
話としては、バックステージで主人公とヒロインが演劇を通じて自分の夢と向き合ったり、「自分自身」を見つめ直していく成長物語だと思います。星の王子様(2回)、天守物語の計3公演有り、天守物語の終了でエンディングへ。合間には日常描写が挟まれています。ヒロインによって天守物語の内容にほとんど変化が無かったことが少し残念です。
■主人公
一回目の公演が終わってから良くなって、その前までは駄目という方が多いですが、自分は最初の主人公も有りだと思います。確かに素人より自分が上だと思っていたり、他人を見下すような所が少しありました。しかし安美ルートでアリスがこう言っていました。
「昔のあなたは、もっとギラギラしてた、傲慢なくらいに。」
主人公は役者というモノに対して本気で向き合っています。それこそ人生の全てを掛けるように。だから同じステージに立った際の周りとの温度差が堪らなかったんだと思います。アリスに強くいったこと、ゆとりが台本を読むことすらしていないことに対してうんざりしたのも、彼が自分はお前たちと違って本気なんだ、自分の役者に対する気持ちを汚されたと、そういったある種傲慢な考えから来たものだと考えます。これは彼が焦っていて他人の事情や気持ちを推し量ることができずにいたためで、公演後の変化は京香に言われた言葉で気持ちを整理して焦りが無くなり、仲間の事情を察することができるようになったのではないでしょうか。彼は確かに周囲に気を配れない面も最初有りましたが、それでも役者に対してだけは本気で向かい合っていて、私はそんな生涯を掛けるに値するものを持っている彼が憧れるくらい素晴らしい主人公だと思えます。
ただ演劇をするのに主人公の声があった方が良かったかな。
■水鏡 京香
孤独な方向にシフトしたクールではなく、なんといえばいいのか人と普通に関わろうとするクールなキャラで、醸し出す独特の雰囲気が好きなキャラだったんですが・・・シナリオに恵まれなかったという感じがしました。元々強固な信頼関係はあったのでちょいちょい日常挟んで普通にくっ付いて、その後に沙織が練習バックレるという事件もあったけどそれもすぐに解決して後はエンドまでエロとか日常繰り返しだった。
彼女は主人公が役者を目指すきっかけでありそして目標だったわけですが、実は本人は最初から女優を目指してはいなかった。ここで主人公の初恋が終わったと語られています。役者の彼女に憧れて、惚れて、そして追いつきたいと目標にしていたのに、それは最初から主人公の勘違いだったと。でもやっぱり自分はそんな水鏡京香を好きで、これからも一緒に生きていくと。主人公は涙を流し、あの時の女優としての京香への初恋の終わりを理解し、新たに一人の女性としての京香とこれから歩んでいくと決めたのだろうと思います。
ところでエピローグのアレって相手一体誰だったんですかね?一人称僕だから主人公ってことでいいのか。なんかいつも一緒にいるとかあったし。でもなんか主人公のキャラが変わっている気がしないでもないんだよな。芸能人なってるし。どうなんだろ?
■二ノ宮 アリス
ホストのエチュードや、演劇で死んだ設定になっていた主人公に気付かないアリスが泣くとかそんな感じにだんだん距離を縮めていき、恋人ごっこなんてし始めて食べ物口移ししたりくぱぁってしたり初H次の日に母親に対して「すごかったです」とか暴露発言してバカップル万歳としかいえない。デレデレにしてあげるんだからね!とかいいながら自分が主人公にデレデレになっているアリスはヤバいくらい可愛いかった。
アリスは過去いじめられた経験から自分の容姿に自信を無くしており、それが自分自身そのものへの自信すらなくさせている。だがバックステージでの活動を通して最後の公演には本名安部公子ではなく声優二ノ宮アリスで出演し、彼女は大きく前進したのだと思う。ゲーム内でもゆとりと並んで大きく成長が見られたキャラだった。
主人公に可愛いと言われた時
「バカじゃないの! バカじゃないのっ! バカじゃないのっっ!」
って言うアリスかわいいな。
ルートと関係ないけど沙織と京香が遊びに来てて、京香が台所で作業しているときに沙織が主人公の事タイプだって言った時に食器を落とす京香にちょっと萌えた。
■水鏡 沙織
中島梶雄の名前を「ナカジオカジマさん!!」
と間違って言ったので笑った記憶しか無いというのはどうなんだろう。可愛い後輩キャラではあったんですが、京香同様シナリオに恵まれなかったせいで印象が薄くなってしまった。なんか主人公と京香の関係を気にしたり、ゆとりとの演技で嫉妬したりする場面は覚えているけど他に何があったか全く記憶にございません。
■上山 ゆとり
途中までは一体どこのホラーだよとか思っていました。いやHシーンで無表情なのがあそこまで怖いとは。
でも恋を知ってからの彼女は破壊力抜群でした。ラブラブっぷりも良かったですし、アイドルをやめたのも彼女の変化からすれば納得でした。思うに彼女は富姫の役をうまくこなせるようになったあの時まで「アイドルの彼女」だったのではないかと思います。彼女はアイドルの仮面をつけて実際に成功していたし、恋人という関係になっても主人公の言っていたようにやはり「アイドル」のままだった。でも実際付き合ってみると仮面を付けてもうまくいかない、危うく好きな人を殺しそうにまでなり、「アイドル」という仮面すら信じられなくなって引きこもってしまう。でも仮面を付けてもうまくいかなかったのに、主人公はそんな自分を抱きしめてくれた。そこで彼女が感じたのはやっぱり自分は主人公のことが好きだという感情であり、アイドルという仮面をかぶりすぎて自分自身を失っていた彼女が恋を知って再び自分を取り戻し、アイドルという仮面を脱ぎ去ったんだと思います。かなり自分の推測入ってますが。
おにんにんは流行語大賞だ!!
■久瀬 安美
主人公が突然Mになってるし。ロリ巨乳お姉さんでサドキャラというジャンルはどうも。ただサブとして出てくるには良いキャラしているんだよなぁ。
■結論
水鏡姉妹ルートと他のルートって明らかにライター別人ですね。キャラは良かったけれっど二人はシナリオが残念でした。でも主人公はヘタレでない素晴らしい主人公ですので、近年の主人公紹介でよく見る「~学園に通う平凡な~」というのに飽きている方はぜひやってもらいたいと思います。勿論ヒロインも皆魅力的で、特にアリスとゆとりはシナリオもキャラを引き立たせているのでこの二人が気に入ったなら楽しめるはずです。