千果のキャラで敬遠していた自分を今はぶん殴ってやりたい。本当に参りました。敬遠していたキャラなのに最後は号泣。
■緒言
都会の進学校に通う主人公がゴールデンウィークのある日、親に海岸の町に放置される。そこで出会うヒロインたちとの交流から、今まで勉強に追われていてやりたいことも見つけられずにいた主人公は何を思うのか。
イベント選択が楽しい。RESシステムの発展系らしいですが、これが非常によかったです。自分としてはこういう皆集まって何かするってのが好きなので。
夏生、千果のシナリオの素晴らしさとあおい、水守シナリオの残念っぷり。ライターさん別ですが明らかに気合いの入り方が違います。
OPのサビ前全員水着で集合している所のあおいと、日差しを手で避けている夏生は妙に可愛かった。
■主人公
プロローグの主人公は昔の自分を見ているようだった。成績が良いことでしか自分の存在価値を認められないって気持ちは行き過ぎだけど、昔の自分にも少し成績というか頭の良さに固執していた時期もあったなぁ。数日間の海の家でのバイトで気持ちに変化があった主人公が再び帰ってきたら・・・なんかキャラ変わってね?ジェントルと呼ぶのもおこがましいエロ小憎に、そして時折急に異常なほどテンションが高くなったりしていた。なんていうか・・・ガキっぽくなった?一体数日間のバイトで本当は何があったんだ。
個別の主人公はシナリオによって素晴らしかったり最悪だったりします。
■早川 夏生
引っ込み思案で大人しく、ちょっとトロい民宿の娘。
話は結局のところ似たもの同士二人の成長物語でした。
「成績」だけに自分の存在価値を求めていた主人公
「海の家」だけが自分の居場所と思っていた夏生
委員長の言葉、隣町の砂浜の拡張工事、夏生の両親の過去を通してもう一度考える、夏生の為の「最善」とは何か
変わらないものなんて、何もない
これは変われずにいた二人が、一歩先へと進む話
話の最中の視点切り替えが絶妙で、欲しい時に夏生視点が有って感情移入しやすかったです。
以下細かいこと
相合傘争奪戦の下ネタを匂わせる掛け合いは面白かったなぁ。
めっちゃ、がびーんとかの口癖が結構好きだった。夏野こおりさんの演技もあってか何度聞いても耳に心地よかった。
「さーとーしーくーんっ」とかどこの子供だあんたは。
※Hシーンの主人公はただのエロオヤジです。
■柳生 あおい
彼女の微妙な、けれど大きな間違いっぷりには爆笑した。
「竹馬のホモ(友)」
食前酒に「ジェリーフィッシュ(シェリー酒)」くださる?
「グッドファーック!(グッドラック)」
もう腹捩れました。
化けの皮が剥がれてからの彼女は男前な女友達というカテゴリに収まってしまった感じで面白さ激減、いや他キャラとの絡みがあるのでまだ光っていて、個別ルートはもっと楽しめるかと思っていました。
ですが、漁業の手伝いとかレディ化計画とか福武の告白とかいろいろあったけど正直面白いとは感じなかった。レディ化計画が話の核なんだけど、肝心のそれが核としては弱かった。
ちなみに主人公
一度やっちまった後に「俺はあおいのことをどう思っているんだろう」ってのは酷すぎる。付き合うとしてもあいつの本心じゃなきゃ、とかあいつの理想を曲げてしまったら、とかウジウジ悩むのをあおいのせいにしている気がする。終盤になっても今付き合ったら俺があおいを手伝ったのはダチだからで、その前提を変えたらあおいの気持ちにつけこむことになってしまうとかそんなこと今考えることじゃねえだろとか思う。福武とあおいの話を盗み聞きして、更に福武とあおいに下手な探りいれたりとか、実はあおいには盗み聞きバレバレだったなんて滑稽だった。
言っていい冗談と悪い冗談の区別はついている、それは俺の根幹に関わる部分だったから。
そんな設定どこかにあったっけか。まぁ軽い疑問だった。
共通から想像した笑える掛け合いがあるかと見せかけて全くなく、さりとて感動もなく、日常描写が面白かったかと言われればそうでもなかった。終わった後に感じたことは残念だった、それだけ。
それと結局エピローグで島に一年いたってことは勉強はどうなったんだ?休学して逃げたままなのかな。
最後に、どうしてさとみという良キャラがサブにいたのにせっかくのあおいルートで絡みが少なかったのか。さとみの動かし方を変えれば化けるかもしれなかったと思う。まぁシナリオを書いてない自分が言えたことではありませんが。
■沢木 水守
エロい先輩。でも『大切なものは目に見えない』って言葉の意味を考えるならエロ担当であることに意味があるように見える。
話はかなり短い。結局は親との問題を水守が「ほぼ一人で」解決する話。
キャラは魅力的だったんだけどなぁ。話の尺をもっと長くして色々な話が見たかった。
■岩波 千果
ハイテンションでおバカな後輩。
個別に入った途端近づきすぎじゃね?とか思ったけど気のせいかなぁ・・・なんて思っていたら実は個別が始まる前にすでにしょっちゅう主人公が千果の家に飯を食べに行っているという新事実。
正直こういう事前情報が少しあったのでこういう重くて暗いストーリーはこのゲームに求めてなかった部分ではあったんですが、完璧にやられました。
記憶喪失から幼児退行はこれ系にしては分かりやすい展開でしたが、そこから記憶を取り戻すまでがもう涙止まらないです。あおい、水守のシナリオで酷すぎ、空気だった主人公が素晴らしかった。あの一年を見ているプレイヤーとしては、記憶が戻って良かった。あの一年も決して無駄じゃなかったんだ。と我が身のように感じてしまいました。そして千果の初恋相手のお兄ちゃん、あの一年間過ごした千果もちゃんといるんだと、優しい気持ちになって終了。
千果のようなタイプがあまり好きじゃない、上で書いたように重い話を求めていなかったことから最初はやる気が底辺でしたが、終わってみれば夏生の次に良かった。本当に素晴らしいシナリオでした。
じいさんも良いサブキャラをしていた。CGまで用意されていたのはびっくりしたが、主人公を見守る親のような立場として見事だった。
■結論
シナリオに差はありますが、やってみて損はないと思います。緒言に書いたように、あおい、水守先輩のシナリオは他と比べるとちょっと・・・という感じですのでそこは注意を。ただ共通の日常描写は面白かった。あおいが光ってたしね。千果が最初こそ敬遠してましたが、終わってみるとやって良かった!と思いましたので、そんなん方でも千果ルートは楽しめるかと思います。
RESシステムの発展系のイベント選択もそれぞれ面白いものがたくさんあった。特にダイオウイカパーティの件は笑ったなぁ。