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Nelwy0603さんの未来ノスタルジアの長文感想

ユーザー
Nelwy0603
ゲーム
未来ノスタルジア
ブランド
Purple software
得点
90
参照数
662

一言コメント

杏奈ゲー

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 素晴らしかった、どうして発売当初にプレイしなかったのかと悔やむ。
 ご都合主義感は否めないが、タイムスリップが絡んでくる時点でそれは避けられないが、そもそもタイムスリップ自体がご都合主義だから致し方ない。
 そのご都合主義な要素をいかに面白く引き立てるかが重要だと感じる、この作品はそれが凄く良かった。




 今回は減点方式で点数を決めさせてもらった。
・妹2人の√は必要なかった、無理矢理攻略させてる感じがしたこと(-5)
・杏奈との出会いが描かれていなかったこと(-3)
・かなたが攻略できないこと(-2)

 妹攻略させるならかなた攻略させろ、と。




 逆に良かった点を挙げ出すとキリがない。
 まずはキャラクターが魅力的だったこと、しっかりとポジションを確立させてそれぞれの相互関係がとても面白かった。特にかなたとトーヤがいじられるやりとりはどの場面でも面白かった。クロ、ハルさん、映さんや雫さんが主人公やその取り巻きを大切に思っていることが凄く伝わってきた。小さな時からこんな暖かい人達に囲まれたからこそ主人公達はとても魅力的だったのだろうと思う。
 そして世界感、何かしら引きこまれるところがあった。BGMにマッチしていたし、背景も凄く綺麗だった。立ち絵もコロコロ変わる、演出が光っていた。桜がひらひらなんて良くある演出、ベタな演出だが惹きつけられるものがあった。




 シナリオに関しては最初に言ったようにご都合主義なのだが、度が過ぎていないし何より私自身好きな締めくくり方だったので満足。
 まず伊織√、主人公が死ぬ運命に抗うために杏奈が未来からやってきて自分が死ぬかもしれない方法で伊織の暴走を止めて二人を助ける。この後の描写はされていないが、個人的に杏奈はちゃんと未来に帰れたのではないかと思う。
 詩√はのんびりと終わるかと思ったが詩の願望を主人公が実現させてしまうという何とも困ったお話。主人公と付き合えたのに皆と過ごすことができないからリセットしようという本末転倒。最後には自分にとって主人公が譲れない存在だと気付き全てを思い出してハッピーエンド。エンドは桜を眺めるというほのぼのした終わり方。姫可愛いよ姫。
 妹二人は端折りたい。正直この二人の√を終わらせるのが大変だった。如何せんやる気が出ない。そんなわけで1週間以上かかった。
 だが杏奈√は読むのが止まらなかった。ボリュームも満足。泣き所満載。いやいや杏奈√はヤバかった。主人公にとって娘であり恋人であり嫁な杏奈はとにかく魅力的なキャラクターだった。ここで語るのは止めておこう、実際にプレイして自分の目で確かめて欲しい。だがこれだけは言っておこう、ティッシュは多めに用意しておくと良い。二重の意味でだが(笑)




 最後にタイトルの未来ノスタルジアとはどういう意味なのかについて考えた。ノスタルジアとはnostalgia、意味は故郷を懐かしむ「郷愁」と過ぎ去った過去を懐かしむ「懐古」という意味。
 今作、ノスタルジアを抱くのは誰だっただろうか?勿論杏奈だろう。そもそもこの物語の起点は杏奈がタイムスリップしてきたことだ。
 杏奈はタイムスリップをし、過去に跳んだ。そして過去(主人公にとっては未来)に主人公と過ごした日に「郷愁」を抱き、跳んできた時代に「懐古」を感じていたのではないだろうか。
 起点となった杏奈視点でタイトルがつけられている辺り、やはり杏奈ゲーだと思う。

 でも個人的には姫が一番好きなんだ!未来の姫も現代の姫も可愛い!