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NakasanさんのJINKI EXTEND Re:VISIONの長文感想

ユーザー
Nakasan
ゲーム
JINKI EXTEND Re:VISION
ブランド
戯画
得点
51
参照数
5745

一言コメント

何を伝えたのかったのか。何をやりたかったのか。そんな急な流れだと伝わらない。

長文感想

原作ファンには申し訳ありませんが割と辛口に書かせて頂きます。

戯画といえばロボット物だとバルドシリーズという定評のあるタイトルもあり
友人の薦めもあったので購入した物の・・終始急展開+退屈な展開という
混ぜるな危険的ストーリーと感じました。
原作を知ってればより楽しめたのかも知れませんが、それを差し引いても
足りない何かが有る印象を受けました。

とりあえず何が悪いのか、を含めて点数付けで説明していこうと思います。


▼ED/OP(10点満点):6
ED・OPともあまり印象に残る出来では有りませんでした。
とはいえ、さほど手を抜いている印象も受けません。
ではなぜ印象が薄いのかは、何を前面に押し出していくのかが見えてこないせいだと思います。

▼System(ADV:15点・SLG/ACT:30点満点):13(+1)
割とかゆいところにきっちり手が届いてるシステムだと思います。
たとえばゲーム終了後、再開するときはきちんと速攻で最新データをロードしてくれる点、
あまりに多機能過ぎるが慣れると比較的使いやすいインターフェイス、既読・未読部分のわかりやすさ、
きちんと定期的な箇所でオートセーブがあり、そのセーブポイントはなかなかよいツボを押さえてること、
手軽にオート進行の速さが調整できること、次の選択肢までスキップ機能などなど
ADVにしては十分快適な環境を満たしています。

不満点として
・非アクティブ時は動いてくれないこと。
 -個人的な事ではありますがADVパートをオートにしてよみながら書類作ってたりするので。
(※追記・設定で非アクティブ時でも再生できるようになるそうです。)
・ちょっと凝りすぎて無駄に設定が出てきたりして邪魔にも思えた
 -あそこまでコンフィング画面ださずに調整可能にしなくても良いと思うんだけど。
・どのルートをどう進んだか分かるともっと良かったかも
 -通常はこれはあまり必要ない機能だと思うのですが
  かなりの部分をそれぞれのルートで共有しているため、
  今どういう選択肢で来たかわかりづらい。


▼Story(ADV:30点 SLG・ACT:15点満点):5
俺は別にほんわかな日常生活溢れる雰囲気のゲームが嫌いって言う訳じゃないんです。
俺は別にロボットや戦隊物みたいな雰囲気のゲームが嫌いって言う訳じゃないんです。

この作品、何が悪いかというとこの2つの要素の駄目な部分を抽出してくっつけてるのが駄目なんです。
(※以下なるべくぼかして書きますが少しばかりネタバレ風味を含みます。)
まずこのタイトルは何をしたいのかが前半を通してまるで伝わってこない。
OPで「あーロボが出てきてガチコーンと戦って俺の胸に宿る熱いコスモよ唸れ!的あつい展開が来るんだろうなー」と思えば
全体的なストーリーにはまるで関係ないだらっとした学園生活パートを読まされます。
(まぁ、途中で厨二病煩ったような鎌大好きっ子が襲ってきたり、ホームレスしてるにーちゃんに絡まれますが)
それだけでは飽きたらず、その生活パートがそれもこれも本編にはまるで影響ない
まるでそのキャラの上辺だけの自己紹介的な内容なのがダラダラ続くも問題です。
その際叩いたり飛び跳ねたりするエフェクトが随所に見られますがそれが逆にイラッとさせられたりします。
これがたとえば一般的な学園生活物のゲームならまぁ良いのですが、このゲームは違うのでは?
とどめは一部のBADENDではそういうパートではまるで語られてない
「俺そんな話全然聞いてなかったんだけど?」的な内容で心の傷えぐられて戦線離脱していったり
あれ?もしかして俺置いてけぼりなんじゃ・・・と思わせるような箇所があります。

また、ロボットで戦闘しているパートの演出などですが、「爽快感がまるで無い」。
その原因はテキストが説明ったらしい所にあると思います。
じゃぁ、なぜテキストが説明ったらしくなってしまったのかというと、絵が足りないんだと思います。
大抵がコクピットからの視界なのですが、操縦者から見たコクピットの中などほぼ無い。
また、第三者視点から見た戦闘の絵が少ない。
状況がどうなってるのか一目瞭然といえる絵がバトルの多さのわりに少ない。
そのためテキストとエフェクトでごまかして行かなきゃ駄目なのだが、それがテンポを崩してる、そういう印象でした。
別に全体絵でなくてもいいのでカットインで具体的にこうなってる的絵が多数有れば
だいぶ話は違ってきてたとおもうのですが、正直敵の皆さんから殴られてる状況が
まるでトンカチでガンダムみたいなロボットをガキんちょがガチガチ叩いてるような、
あれ?その殴りってどんだけ痛いの?全然伝わらないんだけど?みったいな、そんなチープな印象を受けます。
それが何度もあるのでいい加減イラッとしてきます。

もう一つ、あらゆる所に無理な展開が入っていると思います。しかもそれが伏線無しで「急展開」だったりもするので
何がなんだか(原作を知っていないと?)理解しづらい箇所が多いです。
おい、急になんだよその
『四天王A「また八陣将が負けたか、だが奴らは我ら四天王の使い捨ての駒」』
的連中は・・・みたいな事や、
あんたら南米でドンパチやってて重要な味方殺されたりしてんのに
なに普通に敵のボスとカレー一緒に食ったりしとんねん!何も知らない主人公ならまだしも!
という根底にあるストーリーを踏みにじるような展開があったり
あれ?何でエロ挿入シーンが前にあったのに膜復活してんのとか(
ENDと途中のエロシーンそれぞれの話の流れの整合性が取れていない部分が多々ある。)等々
部分部分でストーリーの組み合わせが破綻してる箇所があまりにも多い感じでした。

但し、根底にあるストーリーそのものはよくある(俺の中に眠る邪気眼覚醒→ヒロインと力併せて困難乗り切る)
パターンではありますがなかなか悪くないと思いました。

▼Music(10点満点):5
ほとんどが凡庸な出来と感じました。曲もあまり多くなく使い回しが必要になりますが
そこで高い頻度で使われてる曲がどうも盛り上がりに欠ける。
多少大げさでも良いのでペガサス幻想(※アニメ聖闘士星矢OP)並の熱さが欲しいシーンがありました。
OPやタイトルで使ってる曲は割とすかっとしてるのにやってみるとしおらしい。


▼Graphic(10点満点):8
割と好みの絵です。一枚一枚の絵は比較的丁寧に書かれており良い出来だと思います。
章と章の合間に入るポンチ絵なんかも好感度がもてる絵となっています。
このチームがもうちょいシナリオを支える手助けが出来たら違ってたのになぁ。

▼Chracter(10点満点):7
尖ったキャラは幾人か居ますが、まぁやることなすことだいたい想定の範囲内かと。
かき回す存在である某鎌男はもうちょっと思考がぶっ飛んで俺は世界の王になる!的野心有るくらいの癖があっても良かったかと。
また後半に登場してくるメンバーはほとんど印象に残らず名前を覚えるのも微妙でした。
ぶっちゃけ、数人リストラした方がすっきりするんじゃないかなという印象が。

個人的には涼子さん1択なのですが途中主人公が邪気眼的アレに目覚めてからの変貌は
俺にはちょっとがっくりでした。
ついでに俺は眼鏡っ子スキーですけど保健室の忍者はぶっちゃけノーサンキューでした。

▼other(15点満点※減点方式):6
・涼子BADENDでは3人のオッサンの雄叫びをサラウンドで聞かされます。誰得なんだよ!
・世界(人類)は滅亡したはずだが全くそういう風な感じを受けない描写。
・キョムのボスって一応悪の親玉的(スポンサーでもあるが)位置づけになるはずなのに相当影が薄い。
・選択肢次第ではどんどん連続で食っていくのだがそれで(ルート次第ではあるが)〆が純愛風味とかあれれ?みたいな
・本来絵があっても良いシーンが数多くあるのに暗転や回想打ち切りなどでカットされてるのが多く、それがあからさまに分かる。

まぁ、上に書いてるのはともかくもっとも気になったのは正直何をやりたかったのか
ほとんど伝わってこなく、
気が付けば結構いい速度でとばし読みする自分が居たって言う事ですね…。


■総評:50(+1)
駄作。
なぜバルドシリーズやパルフェ、この青空に約束を―みたいな良い作品を生み出せるこのメーカーが
こんな作品を出してしまったのか、という出来でした。
原作を読んだ人なら楽しめる……というタイトルなのだったのでしょうか?
それは分かりません。いずれ原作読んでレビューする人の感想を見てみたいと思います。
全体的に感情移入すら出来ない、言葉で説明しづらい退屈さが伝わってくる感じでした。

辛辣な感想で申し訳ない。

※1システム部分の評価の欄に加点しました。追記参照