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Mutturini07さんの虚ノ少女の長文感想

ユーザー
Mutturini07
ゲーム
虚ノ少女
ブランド
Innocent Grey
得点
89
参照数
690

一言コメント

次へと繋がるパラノイア

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

グラフィック・BGM・シナリオ・構成 あらゆる面でクオリティが高い
とくに杉菜さんの絵は美しすぎます

前作の殻ノ少女より伝奇色が強くなっており、事件周辺の人間関係が肝になっています
前作の主人公・時坂玲人に加えて真崎智之が事件を追うことになり、
他に冬史や八木沼などもいろいろと動き回ります
相対的に玲人の出番が減った気もしますが、視点が変わることで多くの情報が集まり、
それが終盤で一気に収束していく様は圧巻でした

犯人を捕まえることがゴールではなく、複数の事件を取り巻く人々の偏執が主題となっており、
多くの人物が登場しますが、どのキャラクターもとても魅力があります
とくに八木沼管理官、空気を呼んだり気を利かせたり被疑者を庇ったりと別人のようになっています
歩や小春先生もとても良いキャラだと思います

奈々子さんと尚織の件が放置されていると思っていたら・・・
Trueで冬子があんなことになってしまったことは、予想していたとはいえ衝撃的でした
玲人はあそこから立ち直ることができるのか・・・
次回作(完結作)では尚織の偏執が中心になっていきそうです

追記(気になったことをいくつか)
・砂月と雪子に共通する精神疾患(他者を殺すことで取り込むこと)と六識命の研究との関わり
・六識命と雛神製薬の違法治験の内容(向精神薬?)との関わり
・尚織の「子供たちうを救うため」という目的と園児集団自殺との関係性
・尚織と心爾との関わり(なぜプルガトリオの羊を書いたのか)