ねーさんに始まり、ねーさんに終わる物語。
おかしい…聖来ちゃんが可愛いなと思って購入したのに…
終わった時にはねーさんに全力で惹かれてる自分がいました。
とはいえ、少し思う節もあるこの物語。以下、つらつらと。
【シナリオ】
どうしてバンパイアという生い立ちを、というのは後回しです。
そうすると残るのは日常シーンとなるわけですが…終わってみると結構記憶に残ります。
ボケの相棒、ツッコミの同級生、天然なお嬢様、ダジャレ担当の後輩。そしてエロ担当ねーさん。
…なんというか、良い感じに詰められてるなあと感じました。
少々2chチックというか、良く言われる厨二チックではありますが控えめですし、
会話のキャッチボールがキレとオチを交えて行われるのが良かったですね。
とくにまーしゃたん。クール&シリアス担当だと思ってたのにあなたw
全員に共通して言えるのは、優しい人達だなあという事です。
以前レビューしたましろ色でもそうでしたが、こういう気の置き方は気持ち良い。
えっちなシーンよりも、実は日常パートが楽しかったなあ…と今にして思います。
(あ、そっちのシーンはかなり……その、エッチでした)
何よりねーさん、ねーさんです。全般に渡って愛…いえ愛情欲にまみれてますw
素直に愛と言えれば良いのですが、1行目で感動させて2行目で色ボケを発揮するんですから…
でも、それでもやはり「愛情」に溢れてました。欲がついてまわりますが。
自己中心的なそれではなく、ちゃんと身を引きながら我慢しながらなのが本当に素敵です。色々溢れてますが。
…凄い姉だ。
【BGM・声など】
BGMは全てに於いて相応の、というレベルだったと思います。可もなく不可もなし。
声に関しては皆さん素晴らしい。ねーさん…は、楽しんでやってらっしゃったのかもですw
終わってみると適材適所だったのかなと思います。
【絵】
実はにの子さんにつられて本作をチェックしていました。
「魔王軍へようこそ2」で質感の良い描き方をする方だな、と感じてまして…
実際今回も素晴らしかったと思います。眼の描写が本当に素敵です。
肝心(?)のシーンでもかなり気合いが入ってらっしゃいますのでそういう意味でも素晴らしい。
今まではフルプライスで台頭されていなかった事も含め、今後もご活躍を期待しています。
【総評】
実は中盤まで「このまま行ったら70点くらいかなあ」と思っていたのですが。
ねーさんとの顛末を見て、私はむしろ好感を得ました。
これ、バンパイアの苦悩というか実は我々人間のそれを顕在化させたのかも、と。
授業で習った教えのそれで例えられていましたが、彼の苦悩は実に普遍的です。
我々だって、結局はヒエラルキー的に考えると似たような事をしているわけです。
では実際にそれを取り上げたら? と考えれば、結局はああいう結論に至るでしょう。
無理に奇跡とか悲劇とかを起こそうとはしないスタンスは、きょうびスマートだと感じました。
後は物語の山場的な意味で言えば、これも同じく「結局はどうしようもない」訳です。
良くあるすれ違いとか誤解を経て大荒れして…とならなかったのは何故か?
むしろそれこそライターさんの「恐れず行けよ、さすれば開かれん」というメッセージなのかなと。
…なんていう考えもありますが、やはり個人的に波長が合ったのでしょうね。
考える事も大事だけど、決断をする事も大事。という意味で自分には好感触でした。
取り留めもないレビューですが、本作は総評の様な考えを再考させてくれる作品でもあるという事でひとつ。