美影が献身的に尽くしてくれたから、現在の圭次が在る訳で。
何でしょうかね…田舎、妖怪、そしてのんびり…
この組み合わせの妙により、かくあるべくして成った物語だと思います。
1年越しで見つけたのはFDが出るという思し召し…! だと嬉しいんですがw
【シナリオ】
冒頭で明かされる、座敷童が居なくなった結果に訪れた不幸。
事実上1人で生きていくという事。そして現在も未だ高校生。
それ故に未成熟で、過去を見つめられず「座敷童が居なくなったから」
と責任転嫁しつつも、心の何処かでは何が悪かったのかを感付いている…
個人的には凄く解る心情でした。客観的立場だったり、大人ならば違うのでしょうが…
この主人公の、ごく個人的な運命への不条理感と、また「妖怪」という非現実的な不条理。
それらを再び突きつけられるこの物語は、決して主人公を身勝手とは言えない筈。
そんなアンバランスを正すべくやって来た美影と、他多くの妖怪、神様達。
妖怪が嫌いと言っても、本心はそんな訳がない主人公。
献身的な美影に触れて過去を見直そうとするまでの心情は、むしろ年相応で好感的でした。
また、村の長閑な雰囲気だとか、食卓の風景だとか、共通パート・個別パートどちらでも、
登場している人の細やかな感情の機微が凄く秀逸に伝わって来るんです。
主人公の態度も、ちゃんと時間の流れと共に心情を添えて変わっていく。
こと、雰囲気を感じる事の出来るこの物語では、それらは素晴らしいの一言に尽きます。
……尤も、登場人物が多い故に各ヒロインの魅力を語りきる前に収束を迎えたりだとか、
その都合上、主人公ではなく彼女たち妖怪側の顛末が尻窄みだったとか。
この辺はちょっと残念に思う所ではありました。もっと見たいですっ!
物語の起承転結については、まあお約束であったり、予想通りだったりはしますが…
正直、奇をてらった展開や現実的にする為の悲劇などは、この世界には不要ではないかなと。
最終的に何が残るか、というよりは、物語の節々に有るジンと来る内容を見つける…
というまさに雰囲気を堪能する構成なんじゃないのかな、と思っています。
【音楽/SE/声】
これを書いてる今も聴いていますが、タイトル画面の「ざしきわらしのはなし」が良いですね…
田舎、田舎然としている曲です。他、「影なる想ひ」「追憶」「限りある現在(いま)」等、
いずれもゆっくりとした、郷愁を抱く音楽は凄く好きです。
EDは2曲ともお気に入りです。メロディが上記曲だという事もあったりしますが、
秋の夕暮れに聴くと素晴らしくマッチしており、気に入っています。
他、SEや声優さんに関しては無理のない作りだったかなと。
ただ、一番聞く機会が多かった事もあってか、美影の声が凄く好きです。
(というか、あれだけ献身的にして貰えたら誰でもそう思いたくなりますよねえ…w)
ついでに例外かもですが、ミドリが鞠つきで歌っていた数え唄。
凄く良い歌声だったと思います。なかなかどうして、聞き入って居ました。
【絵】
良いと思います。表情や仕草など、「可愛いな…」とつい思ってしまう事が多かったですね。
また、衣服の質感が凄く好きです。全体的な雰囲気もあってか、落ち着いた印象です。
物語の雰囲気に良くマッチしていたと思います。
SDや背景に関しては、同じく物語然とした範囲に収まっていたのでは無いでしょうか。
また、背景の一部にたま~に出てくるSD妖怪達は、微笑ましく思ったりしました。
【総評】
…とまあ、良い感じですよと続けて参りましたが。
他の方同様、もうちょっと個別ルートを長くして欲しいなあ、と感じた事と、
ミドリのお話が最後に出てきて「ああいう」結末を迎えるのも些か…些か(汗)
かなり特殊な採点ですが、雰囲気や美影、幸子等の魅力を評価して100点、
そこから終盤展開、数名ルートの「?」な展開、ミドリのお話を真ぽくしている部分を差し引き、
本得点としたいと思っています。
(というか、最初に美影だったのでその後が消化試合的な状況になってしまいまして(汗)
【個人的感想】
これは間違いなく「いろは 秋の夕日に影ふみを」と同じ匂いがする!
と思ってみましたが、大体当たっていてとりあえず満足でした。
所が困った事に、シナリオ構成もいろはに似ていてさぁ大変w
序盤~中盤が良い感じで、シリアスが入ってくるとあれ~…という状況に。
他の方も仰る通り、もうちょっとテキストバランスが欲しかった感じでしょうか。
いろはの場合、あっちは結構女の子と一緒にあれこれする時間が長かったんですが…
ミドリの件といい、比重を変えるべきだったのでは無いかな、という感想はあります。
惜しい、という印象がしっくり来るのでは無いでしょうか。
…そういう割に点数が高めなのは、私の中でこの世界が
「美影と過ごしていく物語」で締め括られている感が強い為だと思います(笑)
上記で苦言した「各ヒロインの魅力が語られない」に関しても、
冒頭から一緒に暮らしている以上、美影に関しては例外な訳でして。
故に、美影への贔屓込みでの点数だったりしますが、ご容赦下さいませ…