水準を遥かに超える大ボリューム&高クオリティの文句のない良作、だが不満点も多々あり評価点は少し低め。詳しくは→
総作画枚数が凄い、演出が凄い、このボリュームは他のメーカーでは真似できないクオリティ。
戦闘シーンが文章の補助なしに演出だけで進行する様は圧巻。
物語も現代日本人感覚の主人公が成長していく過程を丁寧に描いており、
思想的は変化の追い方は流石。
この表現だけでも見ごたえは十分にある。
しかしこれだけ完成度の作品だけに減点したい大きな不満点が三点。
1)主人公がループするという物語の核心の原因がかなりご都合主義
ヒロインの思いの力でした~って…
それまでは夕子先生が散々空想科学で薀蓄を交えつつ説明してきたのに、
最後のオチだけこれとは思わなかった。
どうやって収集をつけるのか非常に期待していただけに肩透かし感も大きい。
地球のBETAを倒すことと絡んだ理由だとは予想していたので、
あ号標的か、BETAを作った知的生命体の影響だとばかり。
2)露骨にエヴァが元ネタというシーンが3箇所
「ヤシマ作戦」、「瞬間、心重ねて」、「メロン綾波」
かなり重要なポイントで使われているのがなんとも。
アンリミテッドで2つの事件が並んでなければそこまででもなかったかもしれない。
どちらも面白いシーンではあったのだがどうしても原作を想起せざるおえず、
それ以外の部分が良いだけにこれはない方が良かった。
もっともネタを知らないか、素直にオマージュと取れる人なら問題ないのかもしれない。
3)切羽詰った状況なのに主人公達が悠長に会話しすぎ
強大な敵が目の前に迫っていたり、仲間が決死の覚悟で時間を稼いだ場面で延々と会話を始める。
主人公らの心情を伝えるための演出と割り切って見れれば良いのだろうが、
状況が逼迫している程にどうしても醒めてしまう。
特にラスボス戦で冥夜が命をかけて敵を食い止めている最中に決断するまでが長い。
奇跡的なチャンスになってから何分も会話するとか余裕ありすぎ、
表現として理解していてもちょっと呑気に見える。
これらかなりの減点ポイント。
他にも細かい点では主人公の中盤の欝のウジウジっぷりは辛い、
周囲の人間はなんでコイツを人間的にそこまで評価するのか?と疑問に思う。
恋愛原子核=主人公補正ならしょうがないのだろうが。
他にもBETAについては投げっぱなしで終了というのも座りが悪い。
結局送り込んできた知的生命体は何だったのかは不明のまま終了、
続編を作る気でもないのならそこも明かして欲しいと思ったが、
全てが明かされては未知の敵としての恐怖感がなくなってしまうという配慮か。
「神ゲー」「18禁最高作」など前評判の高さに過度な期待をし過ぎたことが問題だった。
色々と不満も羅列したが、エンディングの無理矢理丸く収めたハッピーエンドっぷりは、
予定調和と分かっていながら気持ちの良い。
軍人が仲間のため世界のために命を掛けるという展開は、
定番ながら男なら誰でも胸が熱くするものがある筈。
名作と呼ばれるだけのポテンシャルはあり、一度はプレイする価値はある作品であった。