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Michel_SeebachさんのDies irae ~Acta est Fabula~の長文感想

ユーザー
Michel_Seebach
ゲーム
Dies irae ~Acta est Fabula~
ブランド
light
得点
90
参照数
1083

一言コメント

ヒロインや日常なんて飾りですのバトル展開特化の作品、ただし面白くなるのはかな~り後から。

長文感想

身も蓋もない言い方をすれば、Fateとヘルシングを足して敢えての難解な言い回しと厨二設定で絡めた作品。
人を選ぶがハマる人にはとことんハマる。
とりあえずOPのベルリン陥落で鳥肌立ったなら後半までプレイすべし、
逆にあそこで醒めたなら最後まで合わないだろう。

本編は大隊長のお三方が本格的に出張ってからが本番。

攻略順を推奨の香純→螢→マリィ→玲愛として
香純ルートはまだキャラの顔見せ程度、
螢ルートの最後からようやく本腰入ってきて、
マリィの中盤の病院辺りからようやく面白くなってくる。
そして本来の魅力を出すのは玲愛ルートになってから。

特にプロローグ以降の導入部の日常描写と、
香純ルートは出し惜しみ感があり微妙なのでそこを乗り越えられるかが鍵。
中盤~後半は爆発力があるが全編通して面白い作品ではない。

ぶっちゃけると前半はちょっとやって停止してでかなりの期間を要した。
かな~りスロースターターなので曲と声優が良くなかったら積んでたかもしれない。
逆にマリィに入ってからの後半は一気にプレイできる。


潔い良いぐらいに日常のキャッキャウフフは存在しない、
というかある部分でも内容としちゃ微妙。
構成としても女なんていらねぇとばかりに戦闘、戦闘また戦闘のお話だし、
それ以外は退屈という非常に分かりやすい構成。
無茶苦茶にインフレしまくった敵との戦闘で破綻させないのは驚嘆する。
(もっとも主人公が「奇跡的な回避」と言ってるのを連発したりはするが…)


キャラクターではベイ、司狼、シュライバー、ザミエル、ベアトリスが良かった。
特にザミエルとベアトリスの関係は好き。


ただ作中で結構な回数で語られる話をドラマCDで補完するという構成はどうかと思う。
主人公側の前日譚「Wehrwolf」と敵側の前日譚「Die Morgendammerung」があり、
さらに後日談はサウンドトラック「Neuen Welt Symphonie」に収録されてる。
ゲーム単体では全ての話が回収されない仕様。
特にサントラに入っている後日譚の後半は聞かないと、
余韻とかいう問題ではなく投げっぱなしのブツ切りになって完結しない仕様なので、
これらは本編中に入れるべきだったろう。


どうでもいいけど「分水嶺」って言い回しは他で見たことないな。