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MedotsuさんのWORDS WORTH(DOS)の長文感想

ユーザー
Medotsu
ゲーム
WORDS WORTH(DOS)
ブランド
elf
得点
85
参照数
54

一言コメント

ストーリー良、キャラクター良、ヒロイン良、コミカルな雰囲気良、後はRPGの単調なレベル上げを苦にしない人なら普通に楽しめると思う。エルフの代表作の1つだけあって今やってもかなり面白いし、個人的にも刺さる部分が多かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

光の一族、影の一族、と呼ばれる両種族による争いの物語。
主人公は当初は影陣営だが、後半では光陣営に所属し、終盤で両者に纏わる歴史が明らかになる、と言うのが大まかなストーリー。

伝説の石版、それを破壊したのは相手が悪いとお互いが主張。150年以上も続く争い。
迷宮では敗者に容赦なし、女性は当然犯される。
このように表面上はシリアスな設定がちりばめられているが、中身は全然そんなことは無く大半がコメディ風味となっている。
女性陣は犯されるとは言っても、「いや~ん!」レベルのほのぼのレイプだし、お互いの種族のネームドキャラに死者が出てもそれを引きずることはない。
そもそも、族長が死んだときですら、適当な推理で嘘八百を並び立てて怒られる主人公など最後までどこか締まらない。
ただ、それで作中の雰囲気がぶち壊されてるかというと決してそんなことは無く、当時流行ったコメディ風味ファンタジーの味が良い感じに出ている。

キャラクターに関しても、男キャラから女キャラまで全てが個性的。
まあ男キャラは全体的に変態が多いんだけど、それが作品の雰囲気と合っている。

女性キャラに関してはまず絵の質が素晴らしく高い。
当時基準でも素晴らしいが、個人的には現代基準で見ても、下手なロープラ作品よりはこちらの方が美麗だと思う。

RPG部分としては普通。ソロ戦闘で魔法の概念も無く、殴るか回復のみ。
現代基準で考えれば単調で戦略性も無く、普通の人が今更やるようなモノではないかな。
私はレベル上げで強くなって敵を圧倒するという単調な作業が好きだし、闘神都市とかで慣れてるから当時基準で考えればこの点は特に気にならなかった。
まして、数日前にプレイしてたのが苦行のクリスタルルナールだったから、レベル上げでちゃんと強くなってくれるこの作品は神だとすら思った。
戦闘面では特に不満は無いが、ダンジョン探索はしんどい部分が多かった。
特定アイテムが無いとマップも見れないし、一度行った階層まで瞬時にワープできる機能も無い。
影編ではセーブポイントが自分の部屋のみで帰るのがしんどい。光編では宿屋のみでダンジョンを出るのがしんどい。
選択肢1つで詰む場面もあるから常時セーブ可能にするか、ダンジョンからセーブポイントまで一気に帰還できるアイテムは欲しいところ。
アイテムの一括購入はあるが一括売却は無く、手持ちの金は60000が最高という中途半端さも何とかして欲しかったところではある。

メインヒロイン
シャロン・・・強い男至上主義。その思想は分かるが、カイザーと主人公の間をフラフラしているのでもやっとするモノがある。こういうキャラはいても良いけどそれが幼馴染みの許嫁って言うのは微妙だった。NTRゲームじゃ無いんだから。序盤では弱い主人公にはさして興味が無くカイザーにぞっこんだった割にラストでは許嫁を強調してくるのも何かね。嫌いでは無いんだけど。

ミュー・・・命の恩人である主人公に徐々に惹かれていくというパターン。特にクセが無く、見た目や雰囲気が一番メインヒロインっぽい。後半のみの登場のため、他の2人に比べるとやや登場は少ないのが難点か。可も無く不可も無くだった。

ニーナ・・・この作品の面白い点は、普通なら3人の中で一番かませ犬になりそうなヒロインが最も重要な役目を担っているところ。影の一族の訓練所で働いているというポジションで、他の2人よりは地味な役職でありながら唯一主人公の子を産むという正妻ムーブをかましている。エンディングでは他の2人は選ばれない場合それぞれ別の相手とくっつくが、ニーナの場合は選ばれないと子供を連れて他の街に引っ越すという結末になる。
最初から最後まで主人公一筋であるため、ニーナを振ると主人公はクズの種馬と化す。
普通に考えたらニーナ以外の選択はあり得ないだろう。

ただし、その救済措置としてハーレムルートも用意されている。

総評
90年代のファンタジー作品らしい雰囲気と、それを描ききるボリュームの多さ、個性的なキャラクター達、RPGとしてもまずまず。elfの代表作の1つと言われるだけのことはある出来だった。