キラキラして美しい絵とは対照的に、描かれる物語はかなりクセがある万人向けしない作品。根本的な解決にならないパターンや、作中にド屑が登場する点など今回もMORE系の系譜を感じさせる作りになっている。
「死」とか「救い」がメインテーマだから、って言うのは分かるんだけど作中でとにかく人が良く死ぬ。
しかも自分の中で整理がついたからジサツしましたー、って言うパターンが数回繰り返される。
自分の意思ではないものの、何回も精神を操作された影響でジサツするキャラもいる。
至る所で人がバタバタ死ぬ。全体的に人の死に対する扱いが軽く、戦争での兵士並み。
そしてMORE系定番の根本的な解決にならないパターン。
天使エンドだとそれが顕著かな?
人格バトンタッチは納得出来ない人も多いだろう。
まあ確かに天は簡単に惚れすぎな気もするけど、ペネムの気持ち引きずってると考えたらそうなるか、と自分を納得させた。
あとこれまた定番のド屑キャラ。
確かに九条もアレな奴だけど元を正せば交通事故の加害者が悪い。
人2人(厳密には1人だけど)殺しておいて被害者に逆ギレして、工場閉鎖に追い込むって外道にも程があるだろ。やるだけやってメインストーリーに絡んでおいて、自分たちは何の制裁も受けず、碧星を暴行した九条だけが全て悪いことになってるのも納得がいかない。こんな外道出すくらいなら、九条がただのメンヘラ男子でしたって設定の方がまだ怒りの矛先が固定される分だけマシ。
少女グラフィティのチンピラ親父とか、ペトリコールのヒロインの父親みたいなどうしようもないくせに最終的にそこまで想い制裁を受けない悪役の登場は毎度もやっとする。
メインヒロインは天使なんだけど、ペネム→天問題があるからシンジュの方がルートとしてはスムーズに進行してるとは思う。クリア後のシーン追加もシンジュだけだし。でも記憶喪失~恋人になるまでの過程をすっ飛ばされたエロシーンを見せられても何も感じないからその過程を見せて欲しかったけど。
何にせよ壊れた性格のヒロインっていうシンジュの立ち位置は良かった。
絵がかなり綺麗だし、演出も悪くない。
ただ、これも毎回だけどモブの一部がパートボイスなのは安っぽく感じる。
ガチのモブならともかく、シンジュの家族もボイス無しだし。
というかあの家族はあのままで良いのか。
まあ、シンジュの両親はガチで屑過ぎるから向き合うことは無理なんだろうけど。
まとめ
病んでる人物達が多く、爽快感のある作品ではないが、だからこそ個性的で良い点もあった。
ただ、全く報われないキャラもいるのでその点はちょっと切ないし、どうにかして欲しかったなと言う部分もある。
趣向と合えば総合的には楽しめる作品かと。