萌えゲーの原点回帰というテーマを体現している作品だと思う。ストレスフリーで進められて、かつ飽きが来ない良作。ここ最近薄れていたヒロイン同士の横の繋がりも復活。絵のクセが一段と強くなって購入をためらったがやってみたら絵の問題は特になかった。1/1彼氏彼女よりはこっちの絵がいいかも。
今回、萌えゲーの原点回帰というテーマをSMEEは掲げた。
萌えゲーというジャンルはToHeart辺りから数えるともう25年以上確立されていると思うが、何の工夫もしないと基本的に女の子と仲良くすると言う一点に集約される。黎明期ではそれでも良いかもしれないが、年数がたつに連れてマンネリ化してくる。そこで独自の世界観を取り入れたり、物語の途中で山場を設けたりという差別化を多くのブランドは行ってきた。まあそれで成功すれば良いけど、結局は無駄なシリアスが邪魔っていう結果に終わってしまう作品も多い。
一方、SMEEは絡め手を使わず、女の子との恋愛というシンプルな萌えゲーを提供してきた。
しかしそれでもブランド独自の味はやはり出てくる。
Making*Lovers、1/1彼氏彼女ではヒロインとの横の繋がりを排し、ハーレムキングダムではハーレムを取り入れたりとここ最近は変化を付けてきた。
まあそれに対して色々と意見も有ったと言うことで本作ではシンプルな萌えゲーを作ろうという感じになったようだが、結論から言うと久々にこんなコテコテな萌えゲーをやったなと思い、そして面白かったなと。
作りだけで言えば昔ながらのテンプレなんだけど、そこに動画配信者とか令和ならではのギャグとか、最近のトレンドも取り入れられており、古くささは感じなかった。私自身令和の言葉にはついて行けていなかったところがあるので、本作で学んだ言葉もあるくらいだ。令和の萌えゲーと言うにふさわしい出来かなと。
本作に対する自身の評価は高めだが、それでも実は購入は回避しようかと思っていた。
SMEEというブランドは萌えゲージャンルを得意としているにも関わらず、絵のクセが強く1/1彼氏彼女の時点ではそれが顕著だ。作品自体は楽しめたが、これ以上絵のクセが強くなったらもう無理だなと思っていた。
そして来る新作発表、絵のクセどころか画風まで今までとはまるで違う物が出てきたので、正直不安しかなかった。しかしプレイしていて違和感は無く、寧ろ作風にマッチしていた。
絵に合わせて作風を構成できるSMEEの技量は相変わらず凄い。
軽くヒロインの感想
希未
再開系幼馴染み+食いしん坊属性。再開してからの主人公に対するアプローチが微笑ましかった。
珠祈
小柄な寮長。ヒロインと言うよりはマスコットのような可愛さ。エロシーンは正直不要ではというレベルの純粋無垢。
美卯
動画配信者。令和時代らしいヒロイン。こういう性格のヒロインは昔から今に至るまで変わらず好きだな。
涼花
実妹。ラブラブルの花穂には強烈に嵌った自分は、SMEEの実妹と言うだけで期待値が跳ね上がる。
結論から言うとボリューム自体がラブラブルよりも短く、涼花一人に力が注がれているわけではないので、ラブラブル程の破壊力は無かった。これに関しては13年前と比べて自分自身が美少女ゲームに対する経験値が上がったという影響も大きいが。物足りなさは感じたが、それでも兄と妹の良き関係性は描かれていたので良かった。
綾子
唯一の社会人ヒロイン。仕事は出来るけど私生活では年齢=彼氏無しから色々こじらせててポンコツという属性が良かった。サブヒロインで尺が短いのが残念なところ。
たんぽぽ
ゆるふわギャル。甘えてくるところが可愛らしく、他のヒロインにも劣らぬ女子力だがサブヒロインなので尺が短いのが難点。
総評
女子寮が舞台だけど女子寮物じゃない、カフェが舞台だけどバイト物じゃない。それでいて萌えゲーとしての完成度には自信ありというメーカーの発言通りの作品だと思う。
尺はラブラブルに比べると短いが、熟年の美少女ゲーマーは大体気力が無くなってるからこれくらいでちょうど良いのかな?
新世代の美少女ゲーマーには物足りないかも。
後は十中八九発売するであろうファンディスクに期待したい。