学園物でありながら、「下校」が焦点であり、学園物のメリットである学園行事イベントは一切無い。にも関わらず恋愛アドベンチャーとしては完成しているという凄い作品。日常描写のみでヒロインを可愛く見せる技術に関してはHOOKSOFTは業界トップクラスだと思う。
この作品は崇高なシナリオなんてないし、何か特殊なイベントがあるわけでも無い。
ただひたすら登校と下校を繰り返すだけ。これだけ聞けば退屈ゲー待ったなしなのだが、この2つだけで恋愛アドベンチャーとして成立してるのが凄い。
はっきり言って何が良かったのか?と聞かれてもヒロインが可愛かったとしか言いようが無い。
なぜなら殆どのキャラで特筆すべき大きなイベントがほぼ無いからである。
一部のヒロインを除き、付き合うまでも付き合ってからも下校ルートで回れる範囲くらいしか主人公とヒロインは行かない。
カラオケ、ボーリング、ゲーセン、クレープ屋、高台、学校
精々これくらい。
しかし、これだけでもヒロインとの恋愛は十分楽しめた。
自分が一番好きなのは陽佳だが、他のヒロインも十分及第点である。
多乃実・・・主人公と同日に転校してきたヒロイン。実は複雑な家庭事情を抱えているが、そこまで大きく取り上げられない。天真爛漫な性格で明るい性格。ギャルゲーとしてはスタンダードな属性ながらも基本をおさえていたと思う。
陽佳・・・ギャル系幼馴染。自分は再開系幼馴染ってあまり好きな属性ではないのだが、そんなこだわりは関係ないくらい良かった。今作品最推し。普段クールだから甘えてくるときのギャップが素晴らしい。幼馴染ってやっぱり良いなと思わせるヒロインであった。
つくし・・・食べることが好きな下級生。引っ込み思案な性格だが、主人公には思いっきり甘えてくるところが良かった。遊園地デートがあるから今作品ではまだ行動範囲が広い方。
雪子・・・うざかわいい先輩。ボケもツッコミも両方こなせるハイブリットな点が良かった。新聞部のメンツも良い味を出している。
茉莉愛・・・唯一の他校生。かなりの金持ち。このヒロインは他のヒロインとは違ってちょっと特殊。キャラを選択しても最初は本人が登場せず、メイドや執事との交流からスタートし、付き合い始めると家の力をフル活用して主人公との同棲生活が始まるので下校描写が個別では少なくなる。そういう意味ではコンセプトに反しているのだが、家の力をフル活用して主人公の学園に1日体験入学したり、過去作「さくらビットマップ」の舞台に旅行に行ったりするなど全ヒロインの中では最も活動範囲が広い。立絵付きもメイド、執事、父親、母親と多彩で個性的な人物にも事欠かない。一番繋がりの薄そうな他校生ヒロインだが、同棲が始まる関係上、主人公との距離感はかなり近い。ルート終盤の展開はやや強引だが、陽佳の次辺りに好きかもしれない。
サブキャラ達・・・ほとんどが日常描写のみのこの作品が面白い要因の1つ。主人公とヒロインの仲を冷やかしたり、応援したり、役割が多彩。学園物は主人公とヒロインだけでは無く、サブキャラの存在が重要だと改めて感じた。
総評
インパクトのあるイベントが薄いので、感想を書くのが難しいが、とにかく普通に面白い。
下校時間でヒロインを見つけて会話を盛り上げるシステムも良かったし、サブキャラ達も良い奴ばかりだし、そして何よりヒロインとの会話が楽しい。付き合い始めてからのヒロインは全員あまあまで皆可愛い。
擬人化シリーズを除けば、HOOKSOFTでは珍しくナンバリングの続編が発売しているが、それも納得出来る完成度の高さであった。
強いて言うなら日常描写のみでこれだけ面白いのだからもう少し色々なイベントがあればもっと面白いと思う。スイッチの起動画面では多乃実と陽佳の水着画像が表示されるので海のイベントとかあるかと思ったがそれも無かったし。短く簡潔に纏まっており、長々としていないのは長所とも言えるが、なまじ面白いだけに物足りなさを感じるところもある。_SUMMERくらいの分量をこの作品でやってくれたらかなり理想に近くなるかも。
余談
またボイスの修正ミスがあり、「最近エッチが気持ちよくて・・・」みたいな発言が残ってる。
しかもパッチ配布前の初期の段階では放課後パートにすら行けなかったらしい。
一番の売りなんだから放課後パートでバグがあればすぐ気づくだろう。
デバッグしてないのが丸わかり。
ベタ移植すらまともに出来ないならコンシューマーでやる意義が薄れてくるからエンターグラムには本当にしっかりして欲しい。
今回はEスクールライフであった立絵バグは無かったからまだ良いけどこんなに毎回不具合出すのは製品管理に問題があると言わざるを得ない・・・。