大人気作品のリメイクだが現代基準のゲームとして見ると色々と足りていない。よって、クラシックモードであちこち駆け回りながらヒロインを追いかけ回す過程まで含めて楽しめる「ゲーム性のあるゲームが好き」な人にとっては中々面白いシステムに仕上がっているが、一周目からイージーモードで必要なポイントだけを回収するやり方で始めた人には正直物足り部分が多いだろう。良くも悪くも原作に忠実なリメイクなので原作プレイ済みの人かレトロゲームが好きな人向けの作品だと思う。
平成のエロゲーマーなら例えリアルタイムにプレイしていなくとも名前くらいは当然知っているだろうというくらい有名な同名のリメイク作品。恋愛エロゲーの金字塔なんて言われたりもするけど「元祖ナンパゲーム」と言った方が正確だと思う。
恋愛アドベンチャーと言うと普通何らかのストーリーが有るものだけどこのゲームにはほぼストーリーらしいものはないからだ。
ストーリー
高校3年生の最後の夏休み、前半はアルバイトに勤しみ資金は貯めた。後半は女の子と遊び倒すぞ!
短縮したわけでもなく本当にこれだけ。
現代基準で考えると普通こういうゲームならプロローグみたいなのがあってそこである程度は登場人物の紹介や舞台背景が説明されたりするけどこの作品は主人公が高校生かつバイトものでもないのに導入がいきなり自分の部屋スタートで初日から外を歩き回って特定の場所でキャラと遭遇する仕組み。
システム上確実に会話するキャラは悪友の一哉くらいなもので他は会えなくてもエンドは迎えられるから強制イベントがなく、過去の回想が入ることもほぼないからキャラの掘り下げが殆どない。
加えてヒロインとのフラグはイベント進行だが一定の好感度で個別に入るわけではなくあくまで独立したイベントとして進行する。
良く言えば非常に自由度が高いが一方で繋がった一つのストーリーにならないためボリューム不足、薄っぺらいと言っている人たちはその辺りで不満を抱いているのだと思う。
キャラ同士の交流が余りないのもそう感じさせる要因の1つだろうか。
しかし、だからつまらないゲームと言うことはなくむしろ現代では失われつつあるゲーム性を前面に押し出しており、自分の力でヒロインと交流し口説き落とすという能動的なシチュエーションを楽しめる人ならハマると思う。
ほぼ原作通りのリメイクではあるが、流石に今の時代あのシステムをそのまま使うのは無謀というのはメーカー側も把握しているようでイージーモードというものが追加されているが一方で昔の難易度そのままのクラシックモードが残されており、このゲームをプレイするに当たって一周目はクラシックモードでやるのをおすすめする。
正直なところイージーモードだとかなり味気ない。
自分は最初はクラシックモードでプレイしてあちこち動き回ったが、主人公を一睡もさせないプレイを敢行したので余りにも時間をかけすぎてしまい、このペースだとコンプまで相当かかりそうだったので2周目からイージーモードにしたが、とにかくあっけなかった。フラグジャンプ機能がかなり便利なのだが必要なイベントだけ回収して進めるというのは同級生の醍醐味を失ってしまう行為でもある。本来、ヒロインを落とすためにあちこちを駆け回るがその過程でちょっとした会話が発生したりしてそういう細かいイベントが同級生ワールドを作り上げている。それらをカットしてフラグイベントだけ見てると1日で全ヒロインを攻略出来るが、正直いまいちだった。
ナンパゲーとはやはり自分で動いてなんぼなのだろう。
ヒロインについて
14という大人数、なぜか主題の同級生よりも年上ヒロインの数が多く盛大なタイトル詐欺となっている。
これに関しては気にしたら負けなのだろう。
ヒロインの数だけならダ・カーポと同じなのだが、あちらほどボリュームはなくヒロインによってばらつきが目立つ。
いくらなんでもすっ飛ばし気味なヒロインや終わりかたがハッピーに見えないヒロインがいるのでその辺りで不満を感じる人は多いかもしれない。
舞・・・学園のアイドル。パッケを飾るだけあり、イベント、エンドともにそれなりにリソースが割かれている。
動物園のデートイベントがあるくらいだし(デートイベントは一定のヒロインにしかない)
清純派ヒロインというのはいつの時代でも必要とされるもので、舞の存在は大きなウェイトを占めていたと思う。
健二と幼馴染みであり、舞の家族は男が近づくのは認めないが健二だけは認められている点から攻略の大きな障害になるかと思ったがその辺りは軽く流されており肩透かしではあった。もうひと悶着あるかな?とも思ったけど。
美沙・・男勝りのスポーツ少女。表向きは喧嘩口調だけど実は主人公の事を憎からず思っている。美穂とは親友同士で同じ男を好きな者同士でもあるため修羅場があるかと思ったがそんなことはなかった。
個人的にエンドがもやっとした。寮生活で1年お別れ、電車で旅立つシーンで終わってしまうのも微妙だがそれ以上に主人公が「さよなら、美沙・・・」で締め括るのが不思議だった。せめて「またな!」とかじゃない?
さとみ・・・主人公の幼馴染み。冒頭の方で過去の回想はほぼないと言ったが、その中で幼い頃の回想シーンが存在する数少ないヒロイン。説明を色々とすっ飛ばしてるゲームだからヒロイン毎にこういう場面をもっと用意してたらキャラの背景が見えてよかったかも?健二に惚れていたが振られたショックでやけになり主人公と・・・な流れだがここでも健二は大した出番がない。
主人公はさとみイベントのあとに街で健二と会ってもはっきりと追及することもないし。
もっとはっきり健二と決別するシーンが欲しかったかな~
美穂・・・美沙の親友で子供っぽいロリキャラ。主人公に惚れてる設定の割には中々行動を起こさずそれどころか健二とデートしたりストーカーのマタロウと付き合うことになったりする展開があるなど大分頭がぶっ飛んでるヒロイン。
エロシーンでは脱がせたところで寝てしまうため最後まで致すシーンがなく、エロゲーのヒロインながらとても健全。
美沙との修羅場はなし。
くるみ・・一哉の彼女。悪友の彼女というポジションでありながらあっけなく破局を迎え、エンドでは一哉は夏子とくっついている。
中々調理しやすいポジションだと思うのだが一哉が三角関係に全然絡んでこないのであまり意味のない設定だったかな。
くるみ自体はかわいい。
亜子・・年上だが男性経験が皆無でキスすらしたことがない生粋の年上処女。近年の恋愛ゲームでは抜きゲーじゃない限り年上処女は標準装備だと思うがこの時代のヒロインとしては逆にそこそこ珍しい属性。
とにかくうぶな点が可愛く、年上処女が好きな人なら好みに合うだろう。
真子・・亜子の姉。こちらは逆に経験豊富な大人の女性。基本的に保健室と校舎内、たまに薬局のみの絡みのためあまり展開が広がりを見せず、付き合う過程がやや唐突に感じた。
ちはる・・元水商売の女性。学生時代にちはるの彼氏を殴って暴力でちはるを奪いに来た男に惚れてついてくなど大分頭がやばいヒロイン。そりゃ回りもドン引きするよ。まあでもそんな性格の女だから奇抜な性格の主人公に一目惚れって流れはそこそこ自然だった。デートイベント有り、エンドでは主人公の子供を産んで一家団欒するなどそこそこ優遇されてるように感じた。
かおり・・風俗嬢。ちはるより更にヤバイ女。エンドで主人公が外国に長期出張してる間に浮気をするという股の緩さを見せる。
しかし逆にこういう個性的なヒロインは中々いないので新鮮だった。同級生の世界観に合ってると思う。
外で邂逅→風俗で再開→バーで遭遇し、ゲスな男からかばう→セックス→惚れる。恋多き風俗嬢という立場から惚れやすさには違和感がないし、ナンパ物の流れとしても自然だった。特殊な立場が同級生の世界観によく溶け込んでいたかな。
やよい・・看護婦。白衣の天使なヒロインなのだが展開があまりにも唐突すぎる。昔のゲームとしてある程度受け入れてる自分でも流石にこれはないだろwと思ってしまった。病院で射精の手伝いはまあナンパゲーの超展開として考えればまだわかる。しかしその後の花屋のイベントが本当に謎。やよいはただ主人公が店番してる花屋の前を通りがかっただけで声すらかけてこないのになぜこれがやよいのフラグになるのか。まあ実はやよいがその光景見てて子供のために自腹切って花を買う主人公に惚れたって流れなのは読めるけどせめてそれに気づく場面くらいは用意して欲しかったかなと。全てを語らない見せ方なのかも知れないけど流石に不自然すぎる。
エンドでも主人公なぜかゲームクリエイターだし。そこは医者じゃないのか・・。最も不可解なヒロイン。
ひろみ・・普通の会社員。同人趣味がありその時に知り合った彼氏がいる。
彼氏の冬彦がとにかく気持ち悪い。それ以外ではデートイベントがあり、ナンパ物として割と自然な流れで良かった。
夏子・・一哉が惚れた女性。ナンパもののお手本のようなヒロインだと思う。
一哉とくるみと夏子間のいざこざで迷惑かけた→お詫びに主人公とデート→成り行きで主人公とセックス、惚れる
っていう流れで普通の恋愛ゲームだとただの軽い女だけどナンパ物としては流れが自然。セックスまでの流れもナンパ物らしさがでてた。
いきなりおっぱじめる訳じゃなく軽いイチャイチャから始まって最終的にまぐわうという若い男女の情動にありがちな流れ。
この辺りは現実でも通じる部分があると思う。
よしこ・・見た目も中身もお固い教師。最初から主人公に惚れてた、会ってるうちにいつの間にか好きになってたという展開が多い中、悪漢からピンチを救うというベタながら分かりやすい大がかりなイベントが用意されてる同級生内ではある意味珍しいヒロイン。
豊満な体だが悪漢に強姦されかけたショックでとてもエロに持っていくような流れにならずそれ以降大きなイベントがないのでエロシーンは実質無い。スタイルに反して健全なヒロイン。
麗子・・人妻。彼氏持ちはともかく人妻ともなれば流石に一悶着有るかと思ったが全然そんなことはなかった。寂しさに耐えきれない人妻をあっさり寝とる話。エンディングの夫婦揃って老後が描かれるのはこのヒロインだけ。
その他キャラ
一哉・・悪友。主人公からはいい奴なんて言われてるけど、くるみをキープに使ってるしいい奴という評価には甚だ疑問が残る。
マタロウ・・美穂のストーカー。主人公が振り向かないからってこれに惚れる美穂も大分ヤバイ。
健二・・クズ。もっとスカッとするくらい成敗するルートが欲しかった。映画館でポップコーン食べる女は無理って発言は流石に吹いた。なら大半の女性が無理だろう。
冬彦・・ストーカーその2。安定のキモさ。
総評
時代背景が原作そのまま90年代前半ということもあり良くも悪くもオールドファン向け。このゲームデザインでは現代人から評価受けるのは難しいと思う(原作より大分システムは親切だがそれでもノベルゲーに比べたら煩雑だし)がオールドファンにはたまらないだろう。
レトロ好きな自分としても昔の名作がリメイクされるのは嬉しくあり、内容も遊べるもので楽しめた。
ただ「同級生」というタイトルならもう少し学園要素を盛り込んでいても良かったかも?
色々と書いたけど総合的には楽しめた。
2もリメイクしたら購入を検討したい。