前作を越える登場人物の数でありながら一人一人に役割や意味があり、それらを上手く纏め上げている。また過去編の事件と現代編の事件を密接に絡み合わせながら、冬子を探すと言う目標に対してもきちんと結末が用意されている。前作よりも解決しなければならない問題が多いので当然ボリュームも前作以上にあるのだがシナリオの出来もそれに見合ったもので総じて完成度が高い作品。今回もネタバレ無しの感想で。
音楽、演出、CGが凄いのは言うまでもないがシナリオも見事だった。
・過去に人形で起きたヒンナサマの祟りとはなんなのか?
・現代で起きているヒンナサマの祟りは人形で起きた祟りとどういう関係があるのか?
・作中のメインヒロイン茅原雪子は物語にどう絡むのか?
・拐われた冬子の行方は?
などとにかく様々な人物、出来事が登場するが風呂敷を広げすぎて全部中途半端になる、といった失敗は起こらず全てに回答が用意されているのが良かった。
犯人は想像しやすいし動機も弱い部分があるので「誰がどうして?」と言う点だけに絞ると微妙だと思うがそれ以外の謎も多くあるので総合的なミステリー作品としては非常に面白かった。
強いていうなら小羽と言うヒロインの事で一点語られなかった部分があるのだがそれは10周年記念コンサートとやらで語られたらしい。
それはそれでいいと思うが出来れば作中に入れて欲しかったところ。
最後までモヤモヤしたので。
後は雪子についても概ね良かったんだけど「なぜなのか?」と言う点で少し弱かったかもしれない。もっと深い何かがあるのかと思ったが割とあっさりそこは流されたなと。メインヒロインだからもっと掘り下げると良かったかも。
あとは細かい点を上げるなら
・1ヶ所ボイスとテキストが一致してない箇所が有
・時坂が得たいの知れない真崎を機密情報満載の探偵事務所に住むことを簡単に許可(前作で事務所の前に家の住所書いた張り紙つけるのも大概だと思ったけどこれは更にやばくないか?というか真崎は家に泊めたら良くない?)
・選択肢スキップ機能が一部使いづらいところ有り(具体的に書くとネタバレになるから伏せるけど一周目と二周目でテキストが微妙に変わるのにそこで反映されないところが一部有る)
など有ったけどまあ致命的というほどでもない。
余談だがこれ程長い物語でありながら濡れ場の数は少なく、非常にテンポが良かったのも特徴。
そして前作キャラの扱いも厚待遇。すっかり定番キャラとして定着した八木沼や今回は大きな躍進を果たした佐東や千鶴などとにかく一人一人キャラがたっている。
エロゲーで国取りシミュレーションとか除いたらここまで人数出てくるゲームってあまりないんじゃないだろうか?
総合的に前作の殻ノ少女に比べて色々とレベルアップしたと思う。
この変化を見ると既に発売済みの天ノ少女にも更なる期待を持てる。