原作はアリスソフトの超有名ゲーム、闘神都市Ⅱ。到底移植できないような内容だがまさかの3dsに引っ張ってきた作品。やはりNintendoが絡むだけありシナリオはかなり改変され原作とは雰囲気が大分異なる。しかし、1対1のバトルをリメイクに当たっても続行するチャレンジ精神を発揮しながらも、発売当時の2014年でも遊べるように上手くバランス調整されてるのは見事だった。
このゲーム、割とエロゲー歴が長い自分は発売前から知っていた。
アリスソフトの中でもかなりの人気であること、そして一時はコンシューマー移植する直前まで行ったが8割方まで移植への道程が進んだ段階で断念した過去があることも。
だから移植することはもう無いのだろうと思っていた。
そもそも勝者は敗者のパートナーに何をしても良いという設定が如何にもエロゲー臭く移植が厳しい内容であることは明らかだったし、移植する動きがあったこと自体が驚きだった。
だからそのうち機会があればアリスソフトの無料配布版をやろうかなと、そのような認識でいた。
そしたら飛び込んだまさかの3ds移植。
最初は驚きだったがこのチャンスを逃す手は無いと思いすぐに購入。
まず、箱を開けて驚かされたのがテクノポリス復刻版なるものが入っていたことだ。
奇しくも原作の闘神都市Ⅱが発売された1994年に廃刊となった雑誌の復刻版、と言うことで歴史の長さが窺える。
同じようなことが出来るブランドは少ないだろう。
歴史に思いを馳せつつゲームプレイを開始。
導入
主人公のシード(名前変更可能)は幼馴染みの葉月と半ば相思相愛であるが、葉月の父親から結婚を認める条件として闘神大会での優勝を義務付けられる。そこで、姉がわりのセレーナをパートナーにして闘神大会へ出場し優勝することを目標に旅立つ。
幼馴染みとの結婚を認めてもらうためには強い男にならなければならない、という王道のシナリオ。
また、この主人公、最初は本当に弱い。同じ道場のビルナスには歯が立たないし前大会優勝者のクランクにも勝てない。
しかし、ストーリーが進み、数々の経験を積むにつれてどんどん強くなる。
対戦相手決まる→冒険を挟む→闘神大会で対決、という流れなのだが冒険ではAdvパートも入り、ゲーム内のレベルだけでなくストーリー的にも成長する。最強主人公が主流の昨今では珍しい昔の少年漫画のような構成で流石は昔のゲームという感じがする。
最近やったイブニクルシリーズはどちらも主人公万能だしランスシリーズは言わずもがな、大帝国、大悪司、ぱすちゃ3も割と主人公が強いのでシードのような主人公はアリス内でもそれなりに珍しいかもしれない。
色々な人と出会い、戦って成長する物語が面白くRPG部分もAdv部分もさくさく進む。
とにかく先が気になって仕方なかった。
そして闘神大会で念願の優勝を果たし、さあ結婚・・と言ったところで第二部が始まる。まさかあんな展開になるとは。
この第二部と第一部との落差が物凄く激しい。
第一部は希望をつかむための戦いだったけど第二部は絶望から逃れるための戦いとでも言うべきだろうか。
とにかく主人公にとって過酷な日々が始まる。
最後の方で主人公の台詞が「・・・」だけになるのがその地獄のような生活を表していたと思う。
シナリオ面は3dsのゲームとしては充分なボリュームだと思う。
キャラ
とにかく数が豊富で個性的なキャラが多い。
ギャルゲーだが可愛い女キャラだけではなく、様々なキャラが登場するのがポイント。
闘神都市大会での対戦相手は皆良いやつだがそれぞれの想いを背負って戦っている。一方でザビエルみたいなガチなクズもいる。
クランクはポンコツで最後はギャグキャラだしクリちゃんと切り裂き君の漫才コンビも面白い。
そしてクライア、彼女はカラー故に過酷な運命を辿る。
ここは全年齢版でも変わらない。
だが、クリスタルの色が変わる条件は修正されている。
まあ流石にあれは全年齢じゃ無理だろう。
当時の自分はカラーを知らなかったから違和感なかったけど今となっては中々違和感ある。
イブニクルのロレンソも2のボニーもそうだったけどカラーは毎度不幸な目に遭ってばかりだな。
2部のキャラだと幻杜坊が好きだった。
「人にはその数だけそれぞれの思想がある。自分の考えが全てだと思うな小僧」
まさにこの通りだと思う。個性潰しの教育が主流な日本にもよく刺さる言葉である。
メインヒロインは2人
原作は葉月だけだけど3dsでは鬼の娘、咲夜が追加。
咲夜はストーリーに違和感なく溶け込んでいて追加キャラとしては当たりだと思う。
葉月のキャラデザは原作げ圧倒的に好みだけど咲夜がいることを考えるとこちらにも分がある。
葉月エンドは目標通り結婚
咲夜エンドは地獄に帰らずに咲夜も現世にとどまり葉月と共にシードを取り合いながら仲良く暮らすという内容。
よくラノベにある、なあなあなエンドだが葉月を捨てて咲夜を選ぶという展開は主題を考えるとかなり無理があるのでこのゲームに限ってはこれでよかったと思う。
どちらのヒロインも良かった。
原作はダイジェスト程度にしか見てないから葉月にそこまで思い入れあったわけでもなく、新鮮な状態でプレイできたのも要因かもしれない。
戦闘システム
本作で最も誉めるべき部分。
原作は1対1の戦闘でお互いがそれぞれのターンに1度行動するシンプルなシステム。
昔なら何の問題もないだろうが流石にこれを今の時代に移植しても面白味はない。
当然、真っ先に思い付くのはパーティー制の導入だが今作においてそれは実行されなかった。
その代わりに行動力が追加され、使う技によっては1ターンに複数回行動が出来る。
その為技の組み合わせがかなり重要になる。
また、女の子モンスターのスキルも使用可能。イブニクルでは単なるステの底上げだがこちらは純粋なスキルなのでさらに重要となっている。
メイドさんやバルキリーは誰もがお世話になることだろう。
普通RPGにおいて2回行動を味方側が行うケースは殆どない。だが、このゲームでは最大で8回くらい行動を行えるのでタイマンバトルでも特に退屈な事はなかった。むしろ闘神大会ではタイマンだから燃える部分が大きい。
パーティー制だと意味がない。
闘神大会以外ならパーティー制も有りかもしれないが必須とは思わなかった。
タイマンバトルという化石のようなシステムを行動力の概念で上手くカバーできているのは凄い。
総評
ホワイトアルバムやyu-noの移植のように直接的なシーンはないけどちゃんと18禁シーンを挟んでいるというフォローがなくシナリオには違和感有るところが多い。
闘神大会のデート部屋とかはまさにそんな感じだろう。
また、悪事ゲージもなくシードは最後まで良いやつなのでこの辺に不満を抱えている人が多いと聞く。
原作に思い入れがある人はこれじゃない感が強いかもしれない。
しかし、全年齢版になったことによりダメになったかと言えばそんなことはないと思う。
闘神都市編の昨日の敵は今日の友的なノリは原作より燃えるし天使食い編も残酷描写は減ってるけど過酷な環境は表現されている。
主人公の名前可変でボイスだと呼ばれないのが個人的には残念。
かなり甘めな点だとは思うけど挑戦的な姿勢に敬意を持ったし、当時かなりはまったのでこの点数で。
やったばかりの当時ならもっと色々上手く感想書けたが、大分時間が経過したため色々と忘れつつある。プレイ時間もかなり長かったし。
再プレイしたらまた書き直すかもしれない。当時、女の子モンスターのラムを探せずにゲームをやめてしまった事が今でも心残りなのでまた再プレイする可能性はまだ充分あるはず。
それにしても闘神都市、ランス、イブニクルの世界観は面白い。
今後アリスで移植を行うことはあるのだろうか。