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MedotsuさんのBUNNYBLACK3の長文感想

ユーザー
Medotsu
ゲーム
BUNNYBLACK3
ブランド
ソフトハウスキャラ
得点
93
参照数
194

一言コメント

バニブラの完結編。2と比べると問題点が多く評価が低いのも仕方がないと思うがなんだかんだこのシリーズは好きだった。これでダークスの活躍も見納めなんだなとしみじみ。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず始めに言っておきたいのは自分はかなりの高得点をつけているが、このゲームがそれくらい面白いかと言うと残念ながらそうでもない。なぜかというと前作に比べ不満点が多く出たから。以下列挙する。

ゲーム性について
1→2ではシステム自体に大きな変化はなく、操作性が向上しただけの順当な進化だったため1を好きなユーザーは2も同様に楽しめる出来であった(まあ逆に言えば1から代わり映えのしないシステムに飽きてしまった人もいたかもしれないが)。
しかし、今作ではダークスが街作りを命じられるというストーリーのため街興しのSLG要素が追加された。
ただ、これ自体は全然かまわない。他の人の評価を見るとこのSLGパートの評価はあまりよくはないが個人的には面白いと思ったので。
問題はSLGパートで生じる課題提出。これが非常に面倒くさかった。今作ではSLGパートの方がサクサク進んで面白いのでRPGパートの煩雑さが際立つ形となったからだ。
今回のSLGパートでは建物建設で施設を増やす→内政パートで施設のレベル上げ、そして合間にイベントの回収。この一連の流れがかなりサクサク進むのでストレスがなく出来ればずっとこの作業を繰り返したいところなのだが、合間の課題提出のせいでそれがうまくいかない。課題提出は内政パートだけではどうにもならないからだ。課題を提出するためには遠征で資源、食料、資金を稼がなければならないがこの作業がかなりの手間。
1~2まではRPGがメインでありゲームを進めるにはダンジョンに潜らなければならないのでひたすらダンジョンを徘徊したが、今作では街で発生するイベントが豊富で心情的にはそちらにいたい思いが強く何度もダンジョンに潜るのが過去作までと比べて単なる作業と化してしまった。
抵抗勢力を倒しにいくという目的があるうちはダンジョン探索に熱中できたが一通りダンジョン内のイベントを終わらせてもなお食料や資源を集めなければならないのははっきり言って飽きる。
SLGをメインにしてRPG要素はもう少し簡素化するとかSLGパートで回収できる資源等の量をもう少し増やすとか何かしらの工夫がほしかった。
そして、育成や装備についても今作では劣化。スキルポイントの割り振りではなぜか体力を15あげるのにポイントが10必要、気力を10上げるのにポイントが10必要など小回りのきかない必要値になっておりステータスがあげづらい。一応覚えたスキルを忘れさせるとポイントが返還されるシステムが導入されたのだが、これはステータスの上昇には適用されないため、ステータスの振り直しを行うことは出来ない。
装備についても今回は一人が一個のみしか装備できず、効果も自分のみ。個別装備にするなら武器、頭、胴体、足くらいには分けてほしかった。装備の恩恵が薄い。
個人のスキルにしても今作はフィールド能力以外にリザーブスキルが追加されたが発揮する場は少ない。
例えばダークスの能力上昇スキルを持つリザーブを生かそうとしても、そもそも格が全く足りない。
今回のスペシャルギュンギュスカーは、格の最大数ー使用している格=使用可能回数になった一方で、全ての項目が消費1で行えるようになり、前回のように全回復で一気に減ることはないがボス戦前の全回復と帰還用に2回分は使用したいので必然的に格は2回分は余裕を持たせることになる。
このように格の運用が非常にシビアなのに追い打ちをかけるように今作は敵が強い。ミアルテ戦などでは全回復、帰還、攻撃アップ、防御アップ、回避アップ、速度アップで格を6使用するためにかなりパーティーのコストを削る形となった。その為、今回は最初から最後まで格1のベトにお世話になった。チャミもいないため序盤の回復役をベトに任せてたらなんだかんだとラスボスまでずっと一緒だったのだ。格1は本当に助かる。
というかチャミがいないのもかなりの困りものでメイドが加入するまでは地図なし状態という・・・。
ダンジョンでの資源、食料、住人集めも一度に獲得できる量が少ない。5倍くらいあってもいいと思う。
このシステムで2周目は絶対きついと思ったので今回もあらゆる地点にセーブポイントを置いたのだがエンディングで回収の分岐があるし、特定のユニットが加入すると回収できない回想もあるので結局2周目突入。案の定だるい。周回要素なんとかしてくれ・・・。というか周回なしでいいからクリア後もストーリーを続けさせてほしい。ストーリー的に複数ルートいらないし一周で全て出来る方がゲームデザインとして向いてると思う。

シナリオ・キャラについて
今回のあらすじ・・・魔界から来た視察を怒らせたせいで魔王としての資質を問われることになったダークスはその手段として街作りを命じられる。全くゼロからの街作りに加え、非統治エリアの抵抗勢力も襲いかかってくる中、果たして無事に魔王として認めさせることは出来るのか・・・。
大まかなストーリーは悪くないと思う。ダークスは下積み時代はあったものの、フォーゼロッテを嫁にしたことで一気に魔王まで駆け上がったから裸一貫からの建国となる今回はこれまでとは違う立場でのスタートとなり面白い。
しかし、主要な舞台がフォーゼロッテ宮からダークスの街に移り、フォーゼロッテ宮組の出番が少なくなった印象。
それだけならまだいいが今回は過去作のキャラが大幅に削られている。前作でもキャス、アヤカ、魔族組の一部はリストラされたが今回は信じられないことにシアがリストラされている。これには流石に驚きを隠せない。エクストラシナリオでもネタにされてたけど正直ネタにしてる場合じゃないと思う。シリーズの途中ならまだしもなぜに完結作にシアが出ないのか。更に言うとキャラによって優・不遇がはっきりしている。
優遇・・・フォーゼロッテ、エカテー、ラキア、パニバーナ、マリーアリス、メリル等
不遇・・・フィリアネ、イザナ、ウルティニア、ゴラン、トージョ、カーシャ等
上記のキャラは全員出番はあるものの、優遇キャラは過去キャラながら立ち絵あり、不遇キャラはキャラ絵のみで立絵がない。
確かに前作でマリーアリスはフィリアネより先に寝返ったし、パニバーナは三領主で一番最初に倒すキャラだけど順番の違いくらいしかない同格キャラなのに待遇が違うのは・・・。
あと、前作から登場してるコゼロットは今回も健在だが出番が少ない。
相変わらずエロシーンは妄想のみだしそれ以外の場面でもあまり出てこないという。これは正直期待外れ。
また、前作から名前だけは出ていたロギウスは今回でキャラ絵は用意されているが特に深いイベントが用意されているわけでもなかった。
新キャラはマクドゥ、ソフィア、ルーアルテ、ミアルテ、キュリハ、抵抗勢力勢が中心。
キャラの立ち位置とか攻略の流れ的には前作と大体一緒なんだけど今作ではマリーアリスやフィリアネのように序盤から加入するキャラはあまりいない。その中では早く仲間になる抵抗勢力のイシュや魔法半減のミアルテが強力。ヒロインとしても悪くないが前作のマリーアリスやフィリアネ程前面に出てくるキャラがいないのでその点は物足りなさを感じる。マリーアリスに至っては今回も目立つポジションだから尚更比較してしまう。

ここまでネガティブな感想ばかりだが大半の不満は結局最終作としては出番の少ないキャラが多いことにある。
それさえ除けばゲーム性の部分は目を潰れたわけだし。

それでもなお高得点なのはやはりこの世界観が自分にとってかなり好みであるから。
ハーレムの構築や魔王として周りから慕われる背景にはエロゲらしいご都合主義がシリーズ通して満載だったけど不快感は全くなかった。
これは主人公の設定がよく出来ているからだと思う。
ダークスは3開始時点で700人の子供と200人の妊娠中の嫁がいるっていうかなりの大規模ハーレム。
大体これくらいでかい規模のハーレムになると主人公が女以外には厳しい性格だったり、とんでもないチート能力持ちだったりするわけだがダークスは敵以外には分け隔てなく接するし、フォーゼロッテの魔力は吸収しているものの負けるときは負ける(2のオルデウスとか)のでやり過ぎという感じがない。
倒した女を陵辱しているうちに相手が勝手に惚れるというのもこれまたご都合主義であるが、犯すのは侵入した冒険者、敵対した天界兵、街を攻撃する抵抗勢力など基本的には相手から仕掛けてきた者であり自然な流れで屈服させるので悲壮感がない。
犯されて惚れるのも天界の血統主義とか魔族の強い者に従うとかの理由でうまくカバー出来ているので特に違和感は感じなかった。
自分はエロだけで中身がない恋愛モノに関しては基本的に低い評価を下しているが、この作品のように自然な流れが構築されていれば何ら問題ないと思う。
こういう自然な流れを構築できるという点ではファンタジー+異種族モノはハーレムと非常に相性がいいのだが同様の題材を扱い、主人公の子供まで出てくるモノとなればエロゲでは数が限られる。
なろうやノクターンならたくさんあるのだがやはり絵や音声があるものでプレイすると満足度が全然違うし、以前からこういうのを探していたのだが中々見つからなかったのでこのシリーズにはかなり楽しませてもらった。
ストーリーは3作ともそんなに凝ったものは無かったがこういう作品で無駄にストーリーを広げる必要も無いのでストーリーの薄さは気にならなかったし。
まあ一番欲しいキャラの掛け合いがしっかりと入っていたので大体のことは目を潰れたわけだ。
シリーズごとにキャラのばらつきは出たものの、フォーゼロッテ、ラキア、エカテー、フィリアネ、マリーアリスなど印象に残るキャラは多かったし総括すると自分の趣向に見事に合致した面白いシリーズ作品だった。

今となっては儚い願いだがこれと同系統の作品がいつかまたどこかのブランドから発売して欲しいなとつい希望を抱いてしまう。

※余談だがbunnyblackのライターが書いている異世界のんびり農家も途中までは熱中して読んだ。
しかし、あちらは主人公が転生者、万能農具がチート過ぎるという点においてどうも途中で飽きが来てしまった。今でも時間があれば時々読んではいるが序盤の時ほど熱中しない。
転生者、チート能力設定がなければ面白いと思うんだけど。
惜しい。

ソフトハウスキャラは改めて考えても貴重な存在であるし解散したのが非常に惜しまれる・・・
バニブラと大人気の巣ドラリメイクとかで食いつなげばもう少し長生きできたのかなとかつい考えてしまう。