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MedotsuさんのBUNNYBLACKの長文感想

ユーザー
Medotsu
ゲーム
BUNNYBLACK
ブランド
ソフトハウスキャラ
得点
90
参照数
138

一言コメント

細かな不満点はかなり多いけど致命的にダメな点はなく普通に遊べるゲーム。加えてこの世界観が自分好みなので大変ありがたい。高得点を付けたのは大半がこの世界観を気に入ったことによるものであり、ゲーム性については過度な期待は禁物。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

発売当時に友人が面白いとプレイしていたが自分は元々キャラのゲームは南国ドミニオンくらいしかまともにやったことがなく、しかもこの当時はダイソウナンの評価がかなり悪く、続く忍流もいまいちの評価とあって勧められてもプレイ意欲がわかなかった。

それから12年たち、ゲーム性のあるエロゲがやりたいと思っていたところ、ふとこのゲームの存在を思い出してプレイしたのだが予想外に面白くていい意味で裏切られた。

ゲーム性について

ゲームとしてはオーソドックスな3Dダンジョンでシステムに真新しいところは特にないけどそれ故に癖がなくサクサク進む。
といっても序盤は敵が強い上に金も足りないしドロップアイテムはゴミで役に立たないからひたすら掃除クエスト受注して敵にエンカウントしたら撤退一択。
撤退失敗したら即ゲームオーバーなのでセーブロードの繰り返しになるんだけど中盤以降は仲間やスキルのお陰でかなり楽になる。
シナリオがあまり長くないのも相俟って展開は本当に早い。
しかもゴールが一つだからやろうと思えば一周でコンプ可能。

上記の仕様により序盤以外はかなりぬるいゲームで初心者でもやりやすいがやりこみ勢には物足りなさを感じる内容となっている。

不満点等について

先に不満点や気になる点から述べてしまうと大体は以下のとおり

・コンフィング画面が2010年発売のものとは思えないくらい貧弱
・宝箱からごみしかでないからドロップの楽しみがない。一部レアなのもあるが。
・ユニットやスキルの種類は多いものの差別化しきれてない。状態異常等が特に顕著でほぼ使うことがない
・キャスやアヤカはイベント発生のために撃破周回する必要があるが特定のマップに行きたくても自由に行けない。クエスト方式なのはいいけどせめて2周目からは任務関係なく好きなマップに行かせてほしかった
・難易度的に2周目からはハードモード的なものと追加要素を実装しても良かったかも
・階級は王が最高だけどかなりポイント必要な割には旨味がないのでポイント稼げるクエストや何らかの特典が欲しい
・ゲーム内でもう少し説明が欲しい。スキルの派生についてとか
・装備やショップをもう少し充実化、それに合わせた金稼ぎクエストの実装が欲しかった
・味方のスキルもダンジョンで使用したい。例えば回復を使いたくても味方の操作は出来ないので回復は戦闘中の運任せで必然的に主人公が回復役になる。また、使ってほしくない場面で全体魔法を使ったりするので個別にユニットに命令させて欲しい。一応作戦は変えれるけどそれだけではどうしてもカバーできない事があるので
・スキルレベル一括上昇機能が欲しい。ボタンの連打がだるい。

他にも色々と細かい点はあるけど致命的にダメな点はなかった。実装されていればもっと面白いのになーというレベル

シナリオ面
シナリオに関しては全体のシナリオと言うよりも個々のエピソードの羅列だし誰かに焦点を当てるわけでもないから一人一人のボリュームも短い。
さらに言うとラスボスが行動を起こすまでの流れがかなり性急。いつも通り依頼をこなして部屋に帰ったら突然主人公のダークスが「何だか嫌な予感がする」と発言してそれからあれよあれよとフォーゼロッテ陥落まで進むからかなり駆け足であることは否めない。
そしてラスボスも何かしら深い話があるわけでもなく、単なるクーデターの敢行でありしかもこの時点ではダークスも味方もかなり強くなってるはずなのでラスボス自体もかなり弱く対戦相手としても敵役としても盛り上がりに欠ける。
こう書くとシナリオ全然ダメじゃね?って感じだし他の人の感想見ても実際シナリオ面の評価は低いんだけど個人的にはそんなに悪くなかった。
理由としてはこのゲームの世界観にマッチしていたからだと思う。

このゲームの簡単なあらすじは以下のとおり。
魔王の森と呼ばれる迷宮に討伐隊として攻めこんだダークス。しかしながらいざ魔王と対峙したときにその圧倒的な力の差を前にあえなく敗北。そのまま死ぬと思われたところ、その魔王に生かされ魔物側の勢力として貢献するよう言い渡される。
また、蘇生の際に魔王から魔力を受けたがこれを放置してると暴走してしまうので定期的に性行為で発散する必要がある。
よってダークスの仕事は迷宮に突入してくる人間勢力の討伐、そして女性なら自身の暴走を抑えるために性奴隷として確保すること。
主にこの二点が物語の根幹である。

こう書くと人間側を裏切って血みどろの争いを繰り広げながら女性に対しては苛烈な凌辱を行うストーリーに見えるが結論から言うとそんな展開は全くない。

ダークスは元々が女好きで魔力の暴走を防ぐための大義名分が出来たため性行為には積極的だし、実際に最初は無理矢理犯したりもするが相手の女性が数回もやってればころっと堕ちてしまうので悲壮感は全くない。
それどころか逆に女性の方が積極的になるケースも。
濡れ場はこのほのぼのレイプか和姦のどちらかのみ。
濡れ場ありのヒロインがかなり多いが全員処女かつ主人公以外エロシーンに絡むこともなし。
徹底して主人公優遇かつ女の子が酷い目に遭う要素を排除しているご都合主義満載の設定なので好き嫌い分かれると思うが自分的には主人公が意外とまともなやつだったので普通に受け入れられた。

エロゲーのメイン部分がこんな感じだからそれ以外の世界観もかなりまったり。
ダークスが裏切って魔物側に付いてもかつての冒険者仲間達は「あいつ魔物側に付いたらしいぜ。よっしゃ、遭遇したら一戦交えたるか!」みたいな友達感覚だし魔物と人間の全面戦争みたいな話は全く出てこない。そもそも姫様ですらダークスに嬉々として抱かれてるくらいだから緊張感皆無。

このゆるい世界観がよかった。
ファンタジーRPGやSLGだと凌辱要素が多い作品が多数であり、最近流行りの同人モノに至っては9割が敗北レイプ実装で目も当てられない状況なのでこういうほのぼのした作品は今となってはかなり貴重だ。
壮大なシナリオのファンタジーももちろん好きだけどこれはこれで一定の需要があるジャンルだろう。

また、男女、敵味方勢力問わずキャラの掛け合いが面白いため多少シナリオが薄くてもそこでカバーできてたと思う。
ヒロインは皆可愛いし魔王配下の同僚やかつての冒険者仲間も良い味を出していた。
クリア後に開放されるおまけコーナーのミニシナリオも面白いと思う。

総評
主人公無双でほのぼのした世界観のファンタジー。ゲーム性はそこそこの面白さで中毒性は薄いのでライトなユーザーにおすすめかと。それとハーレム好きにもおすすめ。