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MMMさんのすみれの長文感想

ユーザー
MMM
ゲーム
すみれ
ブランド
ねこねこソフト
得点
84
参照数
93

一言コメント

人と人とのつながり

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

ねこねこソフト初プレイです。
序盤は現実世界で上手くいかない人たちがネット世界では本来の自分や理想の自分を演じて、そこでコミュニティを形成している。昔は熱中できたが社会人になってからやらない(愛想笑いばかり上手くなる)、本当は人と話したいが上手く自分を表現できない、失うことが怖くて人と仲良くできない。そんな脆い部分を抱えながらも、少しずつ前向きになっていく過程を描いている。この辺は正直良くある話。雛姫かわいいなーって感じ

現代的なネットと現実の世界で進んでいくが、後半から物語が一変する。
序盤でみんなが感じたであろう、偶然が重なりすぎだろって部分がしっかりと意味があったり、急に不老不死の話になったり中盤から混乱状態になる。そして明かされる過去編で、寝たふりを続けたことでナルコレプシーかどうか曖昧な状態である明は十年以上も入院することに。メイと明の下りとかはおおお!ってなったのが個人的な感想。寝たふりの重みがだいぶ変わってきてテンション上がった。目を閉じることで見たくない現実から逃避しているはずが、余計に見たくない現実を見ることになってしまう皮肉。

正直よくわかっていない部分もあるがかなり楽しめた。序盤はエロゲ世界のコミュニティは読んでて飽きそうになったが、古参のひとなら大喜びなのだろうきっと。
物語として「人と人との繋がり」を強調していたように思う。しがらみという表現だったり、序盤部分で解決してく悩みだったり、主人公自身の過去であったり。明が最後に昔の健を欲したなど、人とのつながりを自分ごとで考えるきっかけになった。