歌はいいねえ・・・。
この作品を制作した工画堂スタジオは、私のお気に入りのメーカーの一つです。とは言っても、そんなに多くの作品を
やっているわけではないのですが、少なくとも私がやった作品については、ほとんどが好きな作品であるといっても
いいと思います。
この“ANGELIC CONCERT”という作品は、こんな物語です。
中世のヨーロッパを思わせる世界のある村に、カウジーという少年がいました。
彼は、フォルテールと言う楽器が好きで、将来は一流のフォルテール奏者になりたいと考えていました。
ある時、彼は都で年に一回開かれるコンクールのことを知り、歌姫を目指す幼馴染のサフィーと共に
都へ向けて旅立つのでした。
この作品は、コマンド選択式のAVGパートと、いわゆる「音ゲー」のようなミュージックパートに分かれています。
まずAVGパートですが、一般的なAVGと同じくヒロインなどの登場人物との会話を中心にして、物語が進んでいきます。
ただ、この作品は10年前の作品なので、セーブポイントが限られていたり、メッセージスキップや自動メッセージ送り
などがないなど、今の感覚で言えばかなりシステム的にはストレスが溜まるのではないかと思います。
ただし、この当時はむしろこれが普通なのであって、この作品のシステムが特に悪かったわけではないと思います。
次にミュージックモードですが、これは画面の右から左へ流れてくる音符の通りに、キーを入力するというものです。
正直言って、これはすごく苦労しました。私はもともと「音ゲー」というのをやったことがないものですから、
最初のうちは要領がわからなくて、全然まともな演奏にはなりませんでした。
でも、しばらく練習しているうちに、まあ何とかなりました。私でもできたんですから、ほとんどの人は大丈夫だと思います。
やっぱり、完璧に演奏できた時ってかなり気持ちいいです。
このミュージックパートって、うまく演奏できないとそこでゲームオーバーになってしまうという、かなり厳しいシステム
なのですが、このゲームにとってそれだけ「音楽」というものが重要だということなのですよ。
私にとってのこの作品の魅力というのは、なんといっても音楽を含めた「雰囲気のよさ」です。
全体的に、明るくほのぼのとした世界観でありながら、その中にちょっとした「ほろ苦さ」のようなものが、
とてもよいスパイスになっています。
また、ヒロインであるサフィーやクリノンを初めとしたキャラクターも、とても魅力的だと思います。
この作品は、恋愛要素のある作品ではありますが、今の私たちが「ギャルゲー」という言葉から連想するような、
ラブラブな展開というのとはちょっと違います。何せ、ヒロインの一人であるクリノンは10歳の少女なのですから。
ですから、この作品は主人公の立場でヒロインを攻略するというよりも、あくまで少年と少女の旅の行く末を温かく見守る
のがいいと思います。
また、この作品で使われている楽曲もなかなかに良い曲があったりして、この作品の雰囲気作りに大きく貢献しています。
ただし若干ボリューム不足なのは、残念でした。もう少し物語を膨らませていたら、更に良かったのですが。
私は、この作品のWinXP対応の完全版である“エンジェリック・コンサート アンコール”も持っていますので、さすがに
今後このオリジナルをやることはないと思いますが、それでもこの作品が良作であることには変わりはないと思います。