俺得その9 Super DPS
Super DPS
この作品は、アリスソフトが1992年に発売したオムニバス形式の短編アドベンチャーです。
時期的には「Dr STOP!」の次あたりですね。
この作品の元になった「DPS」という作品は、同じくオムニバスの短編アドベンチャーで、DPSというのは
Dengeki PlayStation(電撃プレイステーション)
の略です。うそです。
実際は、
Dream Program System
の略で、ぶっちゃけ「脳内妄想を見せてくれるゲーム」というような意味ですね。
イメージとしては、DPS本体(なんかファミコンみたいなやつ)にシナリオカセット(ROMカセットみたいなやつ)をポンと差し込む感じです。
で、このシリーズのうち「DPS SG」は当時としてはわりと一般的だった、システムディスクとシナリオディスクに分かれているタイプの作品で、
DPS SG本体があれば、そのあと次々と発売された追加シナリオを安い値段でプレイできたわけです。
このタイプの作品としては、D.Oというメーカーの「DOR」という作品もわりと人気がありました。
それで、今回この「Super DPS」を紹介しようと思ったのは、この作品が実にアリスソフトらしい作品だからです。
この作品には、これ以前のDPSシリーズと同じく3本のシナリオが入っています、その内容は
・宇宙海賊の話
・森の中をさまよう話
・マリア(ランスシリーズの登場人物)がロボットにエロいことされる話
すごいざっくりとした説明ですが、これはネタバレを一切したくないからなんです。
なぜかと言うと、この作品やDPSシリーズは配布フリーの対象作品なので、その気になれば無料でプレイできるんですよ。
ですから、興味のある方や暇な方はやってみてもいいんじゃないかと思うわけです。
ゲーム自体はごく一般的なコマンド選択式のアドベンチャーで、難易度は非常に低いです。
しかも、ワンプレイにつき30分くらいで終わりますので、まさに暇つぶしにはうってつけだと思います。
先ほど私は、この作品のことを「実にアリスソフトらしい作品」と書きました。
一体この作品のどこがアリスソフトらしいかといえば、内容自体もそうなんですが、それよりもこの作品は
256色対応
なのです。
今考えると、ちょっとピンとこないかもしれませんけど、これって今だったらゲームの動作環境に
intel Core i7 以上のCPU
とか、
GeForce GTX680 以上のグラフィックカード
とか、書いてあるようなもんです。
だってね、当時はPC98って16色表示だったわけです。当然そのままでは256色を表示させることは出来ません。
つまり、256色を表示させるためには拡張グラフィックボード(通称ニゴロボード)を買って装着しなければならなかったのです。
しかし、これが高かったんですよ。だいたい5万円くらい。
今だったら、安いパソコンの本体が買えちゃいますよね。
まあ、当時はパソコンの周辺機器ってとにかく高かったです。
いまなら1万円以下で買えるスキャナーだって、私が初めて買ったときは16万円でした。エプソンの据え置き型のやつ。
また、私が初めて買った外付けハードディスクは200MB(ギ・ガ・じゃ・な・い・よ・!)で15万円でした。うぎゃあ~!!
こんな時代だったので、256色対応ってすごいことだったのです。
当然私は、256色ボードなど持っていなかったので、買った当時は256色のきれいなCGを見ることが出来ませんでした。
まあ、この作品は一応16色しか表示できない人でもプレイできるようにはなってたんですが、すごく悔しかったし、なんか損したような
気持ちになりました。
多分美少女ゲームで256色に対応させたのって、この作品が最初じゃないんでしょうか。
この頃はPC98で標準で256色表示に対応していた機種はほとんどなかった(PC98RLのような特殊な機種を除く)ので、アリスソフトは
まさに2年くらい時代を先んじてたことになります。
ちなみに、標準で256色表示が可能だったPC98Mateシリーズが発売されたのが翌年の1月でした。
このようにこの作品は、当時としては一歩先を行った作品であり、アリスソフトの先駆者としての側面が存分に発揮された作品だと思います。
でも、私は悔しかったです。
アリスソフトというメーカーについて(その3)
前回・前々回とアリスソフトのユーザーを大切にする姿勢について書かせていただきましたが、今回はアリスソフトの先駆者・開拓者
としての側面について書かせていただきます。
この頃、二大メーカーと呼ばれていたアリスソフトとエルフはブランドイメージはずいぶんと違いましたが、共通する点も確かにあったと
思います。それは、常に先駆者であり開拓者であろうとしたことだと私は考えています。
この二大メーカーのうち、エルフは主に作品の内容そのもので開拓者であろうとした、と言えるでしょう。
エルフの作品の中でも、「同級生」・「ドラゴンナイト4」・「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」などは当時としては画期的な内容を
含んでいたと言えるでしょう。
一方アリスソフトは主にハードウェアの面で先駆者であったと言えると思います。
上の文章で書いたSuper DPSの256色対応もそうですし、ランスⅣはおそらく美少女ゲームとしては最初のHDD専用ソフトです。
私はランスⅣをやるためだけに15万円の外付けHDDを買いました。
ちなみにこの頃って、「ハードディスク」と「ウインチェスタディスク」っていう二つの呼び方があったんですよね。
なんかかっこつけて、わざわざ「ウインチェスタディスク」なんて呼んでる人もいましたよ。まあ、両方ともほとんど同じ物なんですが。
また、アリスソフトはWindows対応のソフトを発売するのも早かったです、多分美少女ゲームの中では一番早かったのではないかと思います。
ただし、これについてはあまり自信がありません。すみません。
でも、かなり早かったというのは確かです。
このようなアリスソフトの姿勢というのは、よく言えば「フロンティアスピリットにあふれている」ということだと思いますが、
あえて皮肉っぽく言えば「新らし物好き」ということでもあると思います。
まあ、なんか大阪人らしいなあという気はしますよね。
ただし、このようなアリスソフトの姿勢というのは、時として「そこから零れ落ちていくユーザー」を生み出していくことにもなるわけです。
つまり、私のように256色ボードを持っていないユーザーやHDDを持っていないユーザーなどです。
これはなんか、これまで書いてきたアリスソフトの「ユーザーを大切にする姿勢」と矛盾すると感じる方もいるかもしれません。
事実、当時はアリスソフトのファンの間でも賛否両論ありました。特にアリスNETではかなり激しい議論が戦わされていたと思います。
多分、256色対応とかHDD専用とかWindows専用とかを決断する時は、制作者も悩んだのではないでしょうか。
そのたびに、TADAさんはユーザーに対して丁寧に自分達の考え方を説明していました。
このように、デメリットがあることを十分に承知しながらも、それでも同じところに留まることを良しとせず、つねに新しいものを取り入れて
前に進んでいく。これこそが、アリスソフトというメーカーの気風なのではないかと思うのです。
そして現在のアリスソフトにも、この気風が受け継がれていることを切に願います。