前半の眠い展開とは一転、後半の勢いはさすがといったところ
うみねこ世界の構造を舞台裏から解き明かす展開編、2作目。そろそろ核心部分のネタバレがいくつか提示される頃合でしょうか。
前回最後の最後にやっと真実に気づけたらしき主人公戦人君。
今回は真実に至った証明を、自らが魔女のゲーム盤を組み立てることで私達に見せてくれるといいます。
物語が終焉に近づく寂しさを感じつつも、一体何を見せてくれるのか期待は膨らみます。
結論から言いますと、今まで考察者達の間でしばしば争点になっていたある事象について徹底的に描写されるEPでした。
ただし解答という形ではなく、物語として描写されたに留まるのがにくいところ。
ほとんどの人が、著者が何を言わんとしているのか気づけるようなこの描写。
解答として素直に受け取っていいのか、はたまた壮大なひっかけか。
この時点でまだ読者を引っ掛ける罠など…。竜騎士さんならやりかねませんか。
(素直に受け取る場合、今までの物語では相当な無茶をしていたことになります。この辺の具体的な解答はおそらく次作でめった切りにされることになるでしょう。)
それを描写するに伴い、前半はひたすら伏線らしきぬるい展開が続きます。
正直眠気との戦いでした。一応真相に辿りつけたらしい戦人君がその証に綴っている物語ですから、わけあってのものなのでしょうが…。
一部倫理的におかしい部分も引っかかります。愛とは何をしても許される免罪符ではないと思うのですが…。
もはや舞台荒らしと化した「探偵側」の人物がもらす揶揄の方に思わず同調してしまいました。
しかしいよいよ事件が始まり探偵側が凌辱に乗り出すと物語は急速に締まりだします。
今回はごくごくシンプルに一つの密室について、魔女と人間の論戦です。
魔女側に回った主人公は魔女側ならではの苦労や戦略を読者に見せてくれます。
この辺、著者の苦悩がそのまま出ている感じで面白いですね。
たった一つの密室だけでよくここまで熱い話を作れるものだと素直に感心しました。
どんでん返しに次ぐどんでん返しで、ノンストップで最後まで読みきれました。竜騎士さんのこういうハチャメチャな勢いはなんとも魅力的です。
ただ、終わってみれば結局戦人君が悟った 魔女ベアトリーチェの真意とは何か?という点ははぐらかされてしまいました。随分引っ張ります。
分かったことは戦人君はもう完全に魔女ベアトに好意を持っているということ。
問題編で散々バトルし騙され煽られ憎み撃ち破ると対峙した魔女を愛するまでになった理由とは?
やはり「彼のための物語」だったのでしょうか?読者を置いて既にハッピーエンド的な空気です。
次回作では舞台荒らし側が主導権を握り、徹底的に答え合わせ・真相を暴く物語になるようですが
今度こそ全てが明らかになり物語は終わりを迎えるのでしょうか。
竜騎士さんならもう一二波乱ありそうですね。そういう期待を持たせてくれます。
不満もありますが今回もどっぷりと引きこまれる世界観で迎えてくれたうみねこワールド。
読み終えた後しばらく忘れられなくなるんですよ。
夏まで長いですがBGMを聞き他者と感想を語り合いながら待ち焦がれるとします。
ヱリドラはもう終わりかしら(´・ω・`)