時間のない社会人にもどうぞ
得点内訳
絵：１８ シナリオ：１５ 音楽：１８ システム：１３ キャラクター：１８
プレイ時間５時間半ということで短編と判断し、若干低めに採点したつもりでしたが自然とこんな様相に。バグ有りですが、演出点をシステムに加算。
ゲーム内容はあらゆる意味で奔放で剛胆な女たちが愛銃片手に暴れまくるというお話なんですが、どんな束縛も重圧も受け付けないと思われる女にも譲れない矜恃があり、それを考えて周囲と自分の食い違いにヤキモキしたり守るために逆に戦ったりしている感じ。
言葉にするとなんか安っぽくなるんですが展開は非常に熱いです。戦いの後にすぐ次の展開、またその次とプレイヤーを退屈させないという点で素晴らしい作品になっていると思いました。まるで映画を見ているような臨場感をもたらす演出も見物で、卓越した戦闘描写を誇るシナリオを美しいグラフィックがさらに魅力的に仕上げています。肝である武器の質感など鳥肌ものです。
プレイヤーが視線を仮託するキャラクターは存在せず、その辺りがまさに映画のようだと思わせる理由の一つなっているのではないでしょうか。中途半端な作品となるとただ映画の演出手法を模倣しただけの凡作に陥っているものもあるのですが、この作品ではそのようなことはなく、きちんとＡＤＶ形式のシステムに乗っ取って、調和性の高い部分を取り入れているので、ゲームと映画の融合、良い意味で「映画的な」ゲームになっていると思います。そしてゲームの良い部分、当作ではインタラクティブな部分を強調してやろうとする挑戦的な意欲も感じられます。
いまや良いゲームには良い音楽が欠かせない存在となっているわけですが、そちらのほうも万事抜かりなく高い完成度のゲームミュージック、ボーカルソングがストーリーをもり立てています。これはこのメーカーの特徴であり、武器とも言えることかもしれませんがとても安定してます。
総評としては文句なしの良作です。時間のない社会人には名作と言えるかもしれません。集中してやれば一日で終えられる規模でありながらプレイ後のこの満足度はすごい。
攻略総プレイ時間だけが先行した大作擬きには決して真似できない、隙なく構成された作品だと思いました。