ErogameScape -エロゲー批評空間-

LimBacheさんのナツメグの長文感想

ユーザー
LimBache
ゲーム
ナツメグ
ブランド
コットンソフト
得点
76
参照数
713

一言コメント

良質のキャラゲー。とても無難な作品だと思った

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

絵:16 シナリオ:13 音楽:15 システム:15 キャラクター:17

総評
 キャラクターそれぞれの色づけがきちんとされていて仲間同士の掛け合いが面白い。だがある意味エロゲーキャラテンプレートから引っ張ってきたような人物像ばかりであることからその辺りを許容できるかどうか。それについては導入部でベタなネタが多々使われていたりするところに引いたりするようだとこのゲームには合わないと判断しても良いだろうと思う。

 ストーリーの共通部はR.E.Sという聞き慣れないシステムを用いていて進んでいく。しかしながら中身はさほど画期的なものではなく、プレイヤーが選んだイベントを任意に組み合わせて全体の話を構成していくというもの。一つ一つ短いものではあるが夏をテーマにするだけあって季節ネタをふんだんに入れたイベントは非常に魅力があった。しかしながら共通部のイベントは二周もすればほとんど回収できてしまうためその後は新鮮みが無くなりただ選択するだけの作業となってしまうのが難点。

 個別ルートを作品内で比較すれば面白い話とイマイチな話の二つに分かれる。だが両者には特筆するほどの差異はなく、強いて言うなら優れている方は心理描写がやや丁寧である程度。この作品構成を見ると、前半から共通部の部活シーン、いわゆるギャグパートが大方を占めているのかと思う。

 思ったことを並べていくと欠点ばかり見受けられるように感じるが全体としては好きな部類に入る作品だった。まずキャラクターの会話は面白いこと、そしてそのお陰もありプレイヤーにとって居心地の良い雰囲気を演出することに成功していること。後半のシリアスな重さは激しいものではなくプレイヤーの寂寥感を煽る程度のものであり、良い意味で手軽な作品だと感じた。秀作ではないが良作には充分当て嵌まる。