古臭くない伝奇ゲー。フローチャートシステムは面白いが、あと3歩は足りなかった。
■シナリオ
天女の羽衣伝説という馴染みあるテーマで田舎、ノスタルジー好きとしてはたまらない舞台設定だった。
しかし、日常パートはどうしようもなく面白味に欠ける。テキスト量もかなりあるので読む進めるのは辛い。
正直、謎の解明部分もテンポは良くなかった。
伏線の回収と解き明かしなら、銀子とさくやのTrueでほぼ事足りてしまうのに。
それぞれのヒロインルートから、ラストシーンがもののけ姫のようになっていたシンセミア(True)への繋げ方は良かったと思う。
ただ、その前のモノローグでCGも立ち絵も無い天女に感情移入ができなかったせいか、天女(さくや)がただの悪役にしか見えなかったことは残念。
またある程度仕方ないにしろ、実妹に手を出す背徳感は良くも悪くも最後まで付きまとっていた。
仮にも千年の恋(に近い設定)であるのに、本当にこの二人に対して社会倫理をぶつける必要性があったのだろうか。
一年間、さくやと主人公は会わない約束を守ったが綺麗に終わった気がしなかった。
シンセミアであれだけの時を経て結ばれたのだから、もっと二人だけの世界があっても良かったと思う。
■キャラクター
さくやに全部持っていかれた。妹シナリオ大歓迎の自分としてはさくやの印象が強すぎる。
いや、全体的に良いキャラは揃っていたとは思う。シナリオ的には銀子が比較的秀逸だった。
しかし漫才的な掛け合いも含めて、やはりお気に入りはさくや。それだけにもっとシンセミアで爆発力が欲しい。
サブヒロイン3人も攻略できるとは思わなかった。ただ関係的に美里シナリオはもう少し充実していても良かった。
-総括-
現代のシステムで伝奇ゲーを楽しませてもらった。フローチャートのおかげでセーブも必要無く、面白いシステムだと感じる。
せっかくafterを入れるならHシーンだけではなくもう少し厚みが欲しい。
攻略順序は割と気にしないでも良いが、銀子を最初にクリアすればわかりやすいことは確か。
随分とギミックを簡略化しているというか、石が問題の元凶の大半を占めているので何でもありになってしまったというか
解明に便利なアイテムになってしまっていた感は拭えない。
背後にある物語が羽衣伝説の割に、プレートだの命令解除等のフレーズは合わなかったと思う。
さくやゲーと呼ばれるだけはあり、どうにも他のヒロインの印象が薄い。
しかし直前にプレイしたゲームが雪影だったため、閉塞的なコミュニティや山の民に
かなり悪い印象を持っていたのだが
銀子やいろはには心底救われた気もする。
伝奇ゲーにしては雰囲気は暗くならず、CGもシステムも古臭くないことから目新しさも感じた。
2010年を代表する妹ゲーであっただろう。