「わちきは、小蝶姉様が大好きでありんす。」太夫見習いである禿(かむろ)の美少女・・・・その名は「鈴(すず)」。ネコ耳型髪飾りを付けたその健気な少女が使う「ありんす言葉」と「中瀬ひなさん」の熱演は、私の僅かな理性を吹き飛ばし、問答無用で100点を付けろと言わんばかりの凶悪な魅力を放つ。なぜリニューアル前も含め、この点に関して他の皆様が熱く書かれていないか、不思議で不思議でしょうがないので、長文駄文で書かせて頂きます。
ティンカーベルさんのハードなHシチュと遊郭というエロゲに有りそうで意外と無い設定に興味があったもののプレミア化していた為、敬遠していた蝶ノ夢。今回リニューアルという事で入手。
最近のプレイ作品でツボに入るキャラがやたら小さい女の子ばかりで、実は呂利もかなりいけるクチなのはもはや疑う余地無しの私ですが、購入前の本命ヒロインは、従来からの好み通り蝶子さん。黒髪おかっぱ&切れ長の青い瞳がクールビューティで、まさしく肉欲渦巻く遊郭に舞う一匹の華麗な蝶と言わんばかりの主役ヒロインです。食いしん坊な所とか、勝気なところか、可愛い所もあっていいヒロインでしたよ。
でもね・・・・ある少女によってまたも気付かされるのですよ。蝶は「花」があってこそ生きていける。双方が揃うから尚更美しいのも分かる。けど、この作品の「健気に咲く可愛らしい一輪の花」の前では、美しい蝶である蝶子さんも奈落を舞う蛾位に霞んでしまうと(小さい蝶子さんは日陰を舞う蝶位で許しとく(笑))
見事なまでに主人公を喰らい尽くしたその少女の名は「鈴(すず)」。
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禿(かむろ)に成りたての小さくて可愛らしい美少女。
いつも蝶子の後ろを てとてとと一生懸命について歩く
「わちきは、小蝶姉様が大好きでありんす。」(声優 中瀬ひな)
メーカーヒロイン紹介ページより、
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鈴は、役に立ちたくて一所懸命なのです。だから、無理に多くのお皿を一度に運ぼうとしますが、割っちゃいます。ベタです。
お小遣いを貰った鈴は、蝶子お姉さまを元気付ける為にご馳走すると団子屋に誘います。でも向かう途中のお店で可愛い小物がつい気になって・・・でも、大好きなお姉様の為に、グッと我慢(一連の心理変化は隣にいる蝶子さんには丸分かり)。などのエピソードも健気な話ですが、これもベタです。
ネコ耳型髪飾り(小さな鈴付き)のデザインに併せ、困った時の「みうッ~」とかも、もうベタベタです。
しかし、ここに「ありんす言葉」と「中瀬ひなさん」の熱演が加わる事で、あまたのエロゲヒロイン達を抑え、鈴は頭角を現します。
とその前に。この「ありんす言葉」ですが、稀に聞くような気はするもののコレといった知識が私には無い(他の使用ヒロインが思い浮かばない)ので・辞書&ググってみました。それによると、
「ありんす」は「あり」の丁寧な言い方で、江戸新吉原の遊女が用いた里言葉。
これを用いる事で、遊女からしてみれば売られてくる前のお里・身分を明かさないで済むし、客の方も折角買った遊女(特に高級遊女である花魁)が方言丸出しで興ざめ等しなくて済むので活用されていた。との事。
ほうほう。ただのキャラ建ての為に適当に持ってきたわけでなくて、ちゃんと史実を基に持って来ていたのですね。言われてみれば、いい加減に見たさ○らんでもたまに使ってたような。無知とは恥ずかしいものです。
で、他に使ってるヒロインいたかなーと「ありんす ヒロイン」でさらにググってみるものの、全然それらしいものがヒットしない。唯一出てくるのは「狼と香辛料のホロ」位らしい・・・意外とレアなようだ。
しかも、色々な声で脳内再生をしてみるが、さ○らん等の作品があるせいか、どうしても男を手玉に取るお姉様系(正直、はすっぱ・アバズレ的?)のイメージです。
で、本作の鈴のありんす言葉であるが、それとは全く逆のイメージ「まさしく小さな鈴が転がった時に奏でる音ような、可愛らしいもの」であると、まずハッキリ述べておきたい!
「ありんす」は、言うまでもなく多用される。全てのありんすが素晴しいし、もちろん、「ありっ、ありんす。」等ここから派生した応用パターンも捨て難い。しかし、その中でも「~でありんすか?」と疑問系にした時にこそ、その魅力は最も顕著になると私は考える!!
ありんすに繋がる「か?」、この「か?」の一文字、たったの一文字加わるだけ・・・しかしその「ありんすか?」には、「無垢な好奇心・質問することへの遠慮・相手を思いやる健気さ等など」文章などではとても書ききれない鈴という少女の人間性が声優の中瀬ひなさんの名演技によって表現されるのだ!!!
と言う事で、いい歳になりつつあるおっさんは、これに撃沈するしかありません。
サンプルボイスを紹介ページに乗せないなんて、何考えてるの?
と思わなくもないですが、この里言葉を他のアダルトヒロイン達には一切使わせず、鈴にのみ使わせるそのセンスに脱帽です!!!話の要所などいいタイミングでキャラが主張してくるのも◎。
鈴のハードなHシーン(悲惨な結末)を、蝶子姉さんの「夢オチ」にしたのは、いくら鬼畜な制作者の方々でもさすがにそれは良心が咎めたからですよね?
(ちなみに、蓮華の追加分ハードシチュ(煮え滾ったロウをあそこに流し込まれる)や、旧作の四肢切断などは全然平気な私でも、このシチュはキツかった・・・だって、鈴の健気さなどエロ中のテキストでもしっかり描いたうえで、容赦無く「壊される」展開なのですよ。中瀬ひなさんの「壊れた」演技がここでも鬼気迫るものがあるだけに夢オチじゃなかったら本当に凹んだと思います。)
●その他(鈴について書ければ他はもうどうでも良くなっているのが本心ではありますが、それだけでは申し訳ありませんので全体の印象を。)
全体の感想としては、「色々中途半端で、本当に勿体無い。」が一番。
① テキスト・シナリオ
本編のテキスト・シナリオレベルは、ヌキゲ標準&同社プレイ済み作品標準より少し良いかと。ありんす言葉を知らなかったレベルの人間にしてみれば、遊郭という舞台と、それぞれのキャラクター設定(血縁などの関係性)は悪くなく、それらしいEND(ばかり)に至るので、1時間で完結するTV時代劇位は楽しめたと思う。
(「蝶」という言葉を効果的に使ってるのも月並みな時代劇的で○)でも、下記より、すごく惜しいという気持が強くなります。
(1)蝶子(女性)視点に関して
本作は、98%位?蝶子視点で、残り2%位?が他のヒロイン視点。女性視点だとエロが偏る・感情移入出来ないなど欠点もあるのでしょうが、遊郭という物語でこれ以外はあり得ないと個人的には思います。こうしなければ、主人公蝶子の人間性(苦悩・強さ・弱さ・両親の復讐という目的)と複数の男性を相手にしなければならない花魁という職業を描くのに不自然さが出ただろうなと思いますし、ヌキゲ標準レベルにさえ成れなかった気がします。
でも、せっかくこの形にしたのだから、もっと掘り下げても良かったのではないかと。本作は蝶子視点といっても、日常の心理・状況描写は少な目で、ヌキゲのレベルを残念ながら出てないのですよね。まあ、それゆえに、女性視点が嫌な男性もそれほど意識しないで済む&ヌキゲとしてのテンポがいいというメリットもあるのでしょうが・・・・
(2)遊郭という設定。
(1)もあって、「らしさ」は出ているのです。冒頭で書いたように、エロゲでありそうで意外と無い世界観かと思いますので、これで十分オリジナリティは感じてしまいます。でも、「遊郭」って、純愛・悲劇といったドラマ性を生み出して、「女性だけが持つ魅力」を描く為に格好の素材(過剰な位しても許される舞台)だと思うのですよ。
禿から花魁へ至るまでの苦労はちょっと回想で描かれるだけですし、リアルならきっとドロドロな女性特有の陰険な人間関係(ヒロイン)とか一切本作に無い分けですが、そういった所加えたうえで、世紀の大恋愛的なテキスト・シナリオ(+演出で)までやって欲しかったかなと思ったり。
(3)さらに本作の追加部分(「二人の蝶」設定)&クリア後のオマケ√
とって付けたように選択肢で突入する短めの「二人の蝶ルート」。
従来作品をプレイしてない私でも違和感を感じる明るい雰囲気(最後はハードなHに至るけど)ではありますが、結構好きだったりします。
なぜなら、二人のヒロインが生き生きと描かれ上記(1)を補完するものであると思うから。また、蝶子が自分を重ね合わせるもう一人の蝶である琥珀の登場は展開に期待もできました。短すぎて生きませんでしたが。
(このルートの「諦めない」で突入するBADエンドは、エロゲ時代劇らしい結末ですごく評価。)
また、クリア後のオマケルートですが、面白かったりするからまた困る。(イメージとして、ソフトハウスキャラ作品のオマケか。鈴の可愛さはここでも爆発しますし。)
これだけの多彩な芸風あるなら、シリアス徹底シナリオ路線orライトな萌え・バカゲー路線or両方を備えた名作路線など狙えたのではと思ったりします。
(それどこの「さく○ん」?と言われても、ティンカーベルらしくないと言われても、エロゲで私は面白い遊郭物をプレイしたいのです。)
② 音楽&CV
意外とBGMレベルが高いこのブランド。蠱惑OP程インパクトある曲はありませんが、本作も「和」テイストをしっかり演出するものばかり。CV、鈴は別格として(笑)全体的に問題無し。ハードシチュのボイスも頑張ってます。
③ CG&エロ
原画のあおじる氏ですが、立ち絵の魅力(蠱惑の雪乃ネグリジェ立ち絵の乳とか、乳とか!)に比べ各シチュCGは大きく劣る(正面絵は得意だけど、角度が付くのが苦手?)という印象をプレイ済み旧作から持ってるのですが、皆様どうでしょう?(ファンの方すみません。)
本作でもその感想は同じなのですが、追加分だけみると最早「別物」という位上手い気がします。(塗りが丁寧なのもありますが)なので、私としては次の作品に期待大です。
エロのシチュ詳細については書かれてる方多いので略。簡単な私の感想を。
・蝶子がほとんど。他のキャラは一人3つ前後です。百合が大抵のヒロインにあり。幼い時代の蝶子なんてのもありました。旧作からの部分は、純愛系Hもあり、(上述の鈴以外は)ハードシチュモノとして見れば標準位で、そこまでエグイのはありません。
・追加分は、6つ。こっちグロめといえばそうですが、淫妖蟲シリーズほど非常識な人体変形(膨張)はしませんし、メタヲ氏の作品ほど最後でグチャグチャになるわけでもないです。
これも折角鬼畜色強い追加をするならもっと冒頭から徹底的にハード路線にすればいいし、旧作の基本イメージ壊したくないならそのままその方向でクオリティUPでよかったのではと。(個人的には前者であってほしいのですが)
④最後に
書かれている方多いですが、なぜこんな中途半端なリニューアルとなったのか。それなりの評価受けてプレミアが付いてた(=名前が売れていた)わけで、競合作品も見当たらないテーマなのだから、魅力的なキャラ設定周りだけ引き継いで他は一新でよかったのではないでしょうか。磨けば光そうなところ沢山在りますし、こんな所がティンカーベルさんの限界だとしたら、御社作品かなり好きな私としては寂しいですよ。次回作期待しとります。