コメディとしては優秀、反面個別ルートの失速感は残念。
恋0です。バカゲー界隈では有名な作品ですね。
アサプロさんの作品は恋0から入ってしまったので、その後の作品はかなりハードルが上がることに。。。アサプロ作品はその後何作かプレイしましたが、幸か不幸か恋0のインパクトを超えることはありませんでした。
そのくらい衝撃のあった作品。プレイしたのがちょうどエロゲをやり始めた時期だったので余計に、かもしれません。
シナリオはかなりバカに振っています。が、個別ルートではしっかり恋愛中心に描かれている。そこにちょっと悪い意味のギャップがある感じでしょうか。
キャラはかなり魅力的に描かれていてどのキャラにも愛着は沸くのですが、個別ルートの出来に引っ張られて魅力が削られている部分がある。この辺が非常に勿体ないと感じたし、逆にここさえ完璧なら・・・と名作と呼ぶにはにあと一歩二歩及ばなかった作品。
・舞台設定とストーリーについて
まず設定がとても面白いです。仲良し家庭同士で子供をとっかえっこ、と言葉にするとちょっと衝撃はありますが平たく言えばリアルよりのホームステイ。この世界のどこかにはこのゲームと同じようなことをしている家庭もあるのでは!?なんて思ってしまうくらい。
アサプロさんはいつもそうなんですが、実際にどこかでありそうなんだけど・・・っていうリアルとフィクションのぎりぎりのところを攻めてくる。
この設定の上手さはアサプロさんの醍醐味でしょうし、正直ここだけでもかなり評価点を上げられる。この辺のセンスの良さは文句なく特筆すべき部分でしょう。
肝心の物語ですが、前半は面白いです。変顔ギャグパロディなんでもござれ。ハードルを上げてもなお超えてくるクォリティはさすがの一言。
と、ギャグ関係は言うことないのですが、反面後半のシリアスが微妙。共通ルートの勢いと良さが個別ルートで完全に殺されている、、、だけならまだしも、印象の悪い話やその先が見たいんだよ!というところで終わる中途半端なストーリー展開はわかりやすくマイナス要素でした。
特に本筋の咲耶がね・・・正直かなり評価を下げたかなと。反面美咲ルートは美咲のかわいさで押し切った感じで感触は良かったのですが。
ただこの二人のシナリオが絡まっていく感じはうまく出来ていた。1つの出来事を二人の面から描くというのは試みとして成功していたと思います。
体験版の範囲がバカゲーの導入という感じに出来ていたので、勢いそのまま駆け抜けるかなと思ったら肩透かしを食ったという感じ。まぁそれはしょうがないかなとは思うものの、後半のシリアス展開の出来が前半を越えればまだ違ったものの超えるどころか完全に下回ったので作品を通しては凡作という評価にとどまる。
前半だけなら十分に名作と呼べる資質はあったと思います。
・キャラについて
もうね、あたまおかしいやつしかいない(褒め言葉)。
しかし印象が被るキャラがいないのと、なんだかんだちゃんと全員まとまりよくおさまっているので総じて印象は良かったです。
個人的には美咲がお気に入りでした。付き合うことを内緒にしようと言っておいて即家族の前でイチャイチャしだすのは反則。しかも物語の本当のメインキャラはこの子と、シナリオ的にも恵まれていたのでプレイしていてとても楽しかった。
華はもうちょっと見たかったですね。。。がっちりデレたところで終わりなのでそこからが見たかったのに・・・という中途半端さ。ツン期が長かったのでそこはもっと大切にしてほしかった。
ノキアとマヨ姉は・・・もう前半の印象しかない。。。
そして、夕空と希桜さんのルート、実装すべきだったとやっぱり声を大にして言いたい!いやコンシューマ版じゃなくエロゲ版で。
ということで、後半さえ良ければ・・・という評価からは逃れられないゲーム。
これなら思い切ってノキアあたりは最後までギャグに振り切った方が良かったですね。キャラクター性を最後まで貫くのも良作の条件だと思いますので。難しい判断だったのかもしれませんがここで英断を下せていればエロゲ史に残る。。。といえたかもしれない。
そして冒頭述べたように、その後のアサプロさんの作品はいくつかプレイしていますが、一番面白く感触が良かったのはこのゲームでした。
その後の変人キャラがノキアの後追いになってしまっているのはこのゲームの遺産が大きすぎる故でしょうか。各タイトルの変人枠のキャラもそれぞれ味がありますがなにかひとつ壁を突破できていない印象を受けました。
が総じてバランスとテンポの良いテキスト・ゲームデザイン感は健在でしたので、今後も楽しい作品を生み出してくれることと思いますし、また衝撃と笑いをもってプレイできることを楽しみにしています。