うぃんどみるを信じて良かった!ただの萌えゲーにあらず、壮大な設定を背景にしたシナリオも力(と厨二成分)が入っていて熱かった。惜しむらくは複数ライターによるルートの出来の差かな…
いやー、熱い作品だった!
超能力による駆け引きやバトル、特にグランドルートは勢いがあって非常に盛り上がりました。
萌えゲーとしてもメイン4人に加えて攻略可能なサブキャラが6人とかなり太っ腹。
前作「色に出でにけり、わが恋は」の反省を生かした、という発言を裏切らない完成度の高い作品でした。
内容は「世界を手に入れる」という仰々しいテーマに反して基本的には萌えゲーらしいほのぼのした日常がメイン。
その上で、合間に挟まる悪魔メフィストとの密談や、腹の内を隠して各陣営に取り入る際の緊張感などがスパイスになっています。
互いに真意を伏せながらのやり取りなど、いわゆる「頭を使う会話」も多いので好きな人はかなり楽しめるんじゃないかと。
全10ルートというボリュームですが、軽口を言い合いながらのテンポの良い会話が続くのであまり長くは感じませんでしたね。
ただ、共通が長い半面個別が全体的に短めなので、結ばれてからのイチャラブに期待していると少し物足りないかも。
特にサブヒロインはルートがあるだけ満足、といった感じでしょうか…(泣
超能力によるバトル描写はライターによって出来に差があり、白けるバトルもありますがまぁ大体は及第点でしょう。
登場人物らはほとんど皆能力を隠しているので、バトル中に限らない「相手の能力の探りあい」という駆け引きも見所です。
主人公は頭脳明晰、冷静を装っているがいざという時は熱く、ヘタれる場面も少ない良主人公。
…とはいえバトルでは裏をかかれて窮地に陥ることも多いため、参謀としては微妙な評価のようですが(汗
「ピカレスク風」と謳ってはいますが、結局かなりの善人なのでダークヒーロー的なものを期待している人にはがっかりかも。
そんな主人公がヒロインに野望や秘密を暴かれて取り乱し、直後想いを打ち明けられて結ばれたり、
当初は利用しようとしていた相手といつのまにか互いに心を通わせたり…
そういった過程を経ての「純愛」は、普通の純愛ゲーより感慨深さがありますね。
ちなみに、頻繁に口にする「ヒロインを身も心も堕として俺のものにする」という
ドSな方々がゾクゾクしちゃうフレーズが実際にその意味通りに成功するようなルートは存在しないのであしからず(笑
少し残念なのは、サブ6人にHシーンが1回ずつある代わりにメイン4人のエロが2回ずつしかない事。
サクラに至っては2つ目がアイリスとの3Pシチュな為、実質1対1のHシーンは1回のみとなります。
総合の数は文句ないのだけど、やはりなんというか…物足りないなぁと。
エロの濃さは萌えゲーとして平凡。好みのキャラなら使えなくもないかも?というくらい。
グランドルートは実質光理ルート。
展開はちょっと無理矢理だったりするんですが熱さと勢いはかなりのもので、のめり込めれば燃えるシナリオです。
1択しかない選択肢をプレイヤーに選ばせていって敵を追い詰める、という演出は個人的にかなりツボでしたね。
ただ、ラストは爽やかな終わり方ながら鬱ENDと取れなくもないため、ハッピーエンド主義な方はすこし後味が悪いかも?
ちょっとした攻略のアドバイスですが、この作品はメインヒロインのエンディングにバッドとグッドの2種類があります。
3人分のバッドエンドを見るとグランドルートに強制突入してしまうため、読後感を考えると
グランドルートに突入した時点でセーブし、先に残りのサブ√やグッドエンドを見るのが良いんじゃないかと。
さて、ここからは不満点。
設定の都合で、光理以外の3人のルートのENDがかなり煮え切らない終わり方になってしまってます。
率直に言うと、メイン1人終えた時点で「…は?」となることは間違いなし(汗
最初に選んだルートによっては特にしばらく我慢が必要になってくるかなぁ…と。
また、複数ライターの影響か純粋に陣営によって面白さに差があります。
翠名(皐月学園)のシナリオは一番学園モノやってるんですが、どうも起伏が少なく中だるみしがち、
サクラ(聖ジュライ学園)のシナリオはキャラの心情の変化が突飛で付いて行きづらく、バトル描写も稚拙だったかな…
姫乃(水無月学園)のシナリオはかなり気合が入っており
設定に一番踏み込んでいるルート、かつ演出や展開の巧さも頭1つ抜けてるんじゃないかと。
個人的には頑なだった姫乃の心が溶けていく過程、というのが特に良かったですね。
そんなわけで、攻略順は翠名orサクラ→姫乃⇒メフィストがお勧め。
ということで、水無月&グランドルートのみなら90点、他2つのシナリオを鑑みてこの点数。
悪所も多いので総合的な評価だと自分の点数ももう少し低くなるんですが、
ラストの盛り上がりは「シナリオにも力を入れた萌えゲー」の中でも上位に入る作品ではないかと個人的には思います。
尻上がりに評価が上がっていく作品なので、どうか途中で投げずにグランドまで進めてほしいですね。
うぃんどみる作品の中ではまず間違いなく一番の出来だと思うので、前作で痛い目を見て様子見している人も是非。