秘宝を奪う怪盗と、秘宝を守る少女達の「鬼ごっこ」…アンド「かくれんぼ」。質の高いイチャラブに加え、実在のお伽噺をモチーフにしたシナリオも中々の出来な良作です
『リアル妹がいる大泉くんのばあい』『キッキングホース☆ラプソディ』と続く宮蔵プロデュースの第3弾。
ALcot本社の前作『幼なじみは大統領』のイチャラブを更に強化させた上でシナリオにも力を入れた作品となっています。
実在する伝承を素材にした、お伽噺の時代まで遡る「縦に広い」世界観が非常に良い感じ。
秘宝を盗む立場である主人公「温羅」と秘宝を守る立場であるヒロイン達の、一族や島の過去のいざこざを描いたシナリオは
若干展開の見せ方に難を感じるもののそれなりに盛り上がる場面もあり、萌えゲーとしては充分及第点と言えるでしょう。
まず、なんと言っても絵が塗りを含めて最高クラスですね。枚数は一人につき15~18枚+その他3枚+SD。
動作が軽く、共通では選択肢が2つしか無い上にスキップも早いので2周目以降もサクサク進みます。
BGMに関しても安っぽさは無く、印象に残る良曲もチラホラ。
攻略ヒロインは4人と少なめですが、一人あたりの尺がかなり長いため実際はかなりのボリュームです。
体感では普通の萌えゲーに比べて1ルートにつき2倍くらい長かったような…。
また乙女ルートにはロックがかかっており、最後にしか攻略できないヒロインとなっています。
ネタバレの度合い上、暮葉→灯→加奈⇒乙女の順番が徐々に謎が明かされていって良い感じかと。
共通の日常パートはサブキャラを交えたテンポの良い会話が見所ですね。
溢れるパロディ、ヒロインを臆面もなく褒め殺して好感度UPなどの少しあからさまにも感じるやり取り、
下ネタにもそれなりに寛容な面などなど、前作のバカゲーなノリを若干継承している印象があります。
前作ほどではないにせよ寒いと感じるスレスレのノリも散見されるので、ここはまず体験版で耐性があるかどうかを確認して頂きたい。
偽温羅を捕まえる事が序盤の目的ですが、日常やイチャラブは基本的に普通の学園ものと変わらず
温羅としてヒロイン達から逃げる場面よりも、正体を隠し浦部圭介として交流する場面が多いため
女装モノと同じく周囲に自分の正体を隠しながら生活する「かくれんぼ」的要素も多少なり楽しめるかと思います。
個別に入ってからは結ばれるまでの期間に差がありますが、どのルートもイチャラブが長く取ってあるのは同じ。
元がツンデレ気味の暮葉・灯の二人はデレてからの変貌が尋常じゃなく、萌え転がれる事必至でしょう。
エロシーンは灯・暮葉が4回、加奈・乙女が3回。
個人的に一番イチャラブ描写が良かったキャラは灯ですね。
凛とした態度や声がデレてからは一変、依存と言えるまでに甘々になります。
エロ方面も、特訓と称した目隠しされながらの視姦によって感じてしまうなど早期からMの片鱗を見せ始め
後半のエロシーンで完全に開花して重度のドMに。たまらん。
シリアスパートは尺も長くかなり重厚ですが、要所でギャグも交えあまり重くなりすぎないように配慮がされていたりも。
多少なり整合性に難があったりしますが、部分的に見ればブワッとくるシーンもあったりして個人的には満足です。
ただ、乙女はグランドルートだけあってダントツに素晴らしかったですね。
終盤の設定が一気に明かされる場面で思わず鳥肌。
とはいえ逆に気になった点も多々あるのも事実。
まず妹である葵の攻略不可。
主人公に恋愛感情を持っていないのであればそれはそれで構わないのだけど、
全ルートでかなりの嫉妬を見せる程に主人公への好意MAX、となるとやはり攻略させて欲しかったな…
また自分はパロディ肯定派ですが、これはさすがに詰め込み過ぎなんじゃないかなぁと。
爆笑したネタもあるけど、「わざわざ入れなくてよかったんじゃ?」と思うような強引な入れ方もしばしば見られます。
パロディが苦手な人にはまず間違いなく耐えられない作品であるのは確か。
また、加奈や乙女のルートはイチャラブが余りに長すぎてちょっと退屈。
灯や暮葉はシリアスも含めメリハリが付いてて良かったのだけど、この二人はちょっと冗長気味ですね。
以上、個人的にはかなり楽しめた作品ですが、減点され易い要素が多いためあまり評価は伸びない気も(汗
パロディ抜きにしても萌えゲーとしてはそこそこ癖の強い作品のため、誰にでも…とは行きませんが
ひとまずパロディが許容出来る方で雰囲気が肌に合うなら是非お勧めしたい作品です。