荒唐無稽な設定に付いていけさえすれば勝ち、後は笑いと燃えの詰まった重厚な展開に引き込まれる事間違いなし。特に信長ちゃんルートの出来は素晴らしかった
転生武将の存在やら戰獄学園の存在やら冷静に考えれば突っ込み所ばかりの設定が続きますが
それらを受け入れられれば残りはいつものApRicoT、ギャグもシリアスもレベルの高い展開に。
特にこのメーカーの得意分野である、多くのサブキャラを使ったワイワイとした雰囲気や広い世界観は健在です。
前作「MapleColors2」の雰囲気が好きならこちらも間違いなく合うんじゃないかと。
何より「転生武将」がただの釣り文句になっているのではなく、現実の戦国時代での実際の出来事や間柄を考慮した設定・展開だったり
面白い説や雑学的なエピソードを採用してネタにしている事が素晴らしい。どうでもいい知識ばかりですが割と勉強になります。
特に謙信ちゃんが毘沙門天使になる理由なんかは思わず吹いた。そういう解釈をするか！とｗ
戦国武将好きの人にはどう映るのか、満足できるのかは分からないので他の方のレビューを参考にして頂ければ。
イチャラブに関してはシリアスが全て終わってから専用の章があるという形で、前作と同じく取ってつけたような印象があります。
ただ前作に比べれば共通や個別前半でのイチャラブ成分が増えたので改善はされたんじゃないかと。それでもまだ物足りないですが…
その代わり今作はサブキャラとのＨシーンは全くありません。
あと前作にあったゲーム性も欲しかった。あれは地味に楽しかったのに…
個別の大筋を大まかに分ければ信長ちゃん・藤吉郎ちゃん/謙信ちゃん・政宗ちゃん・信玄ちゃん・輝元ちゃん。
それぞれ倒す敵こそ同じですが、解決までの展開やアプローチの方向が違ったりと飽きさせない作りになっています。
ただ、１つ１つのルートが非常に長いので６人全員攻略するのは骨が折れるかも。
また謙信ちゃん以下４人のルートは人の心を操るというチートな能力を持った敵が表れるのでちょっと素直に楽しめなかったのが残念。
別段出来が悪かった訳ではないのだけど、やっぱ催眠系の能力は理不尽さを感じてしまって…
それを操る敵が非常に嫌な性格をしてるのもあるのだろうけど。
・信長ちゃんルート 評価Ｓ
設定的にメイン格なルートで、実際このルートだけなら９０点も辞さない程に素晴らしい内容。
シリアスとギャグの比率も丁度良く、何より最後のどんでん返しが非常に熱かったですね。
主人公の過去について正確な事が語られるのはこのルートのみ。
・藤吉郎ちゃんルート 評価Ｂ
こちらは信長ちゃんルートと似たような展開ながら三成ちゃんと藤吉郎ちゃんの関係がテーマ。
また、信長ちゃんルートでは完全にキチ○イ扱いだった武蔵ちゃんのフォローをしていたり。
信長ちゃんルートの補足のような内容です。
・謙信ちゃんルート 評価Ｂ＋
「チート能力を持った敵」と一番ガチで戦うのがこのルート。…一番重いのも一番どん詰まり状況に陥るのもこのルート。
熱い展開ではあるのだけど、そもそもが長い上に「いい所まで行って落とされる」という展開があまりに多く、疲れてしまったので評価は低め。
残りの３人のルートは上記の敵との戦いは深く描かれないので、全員やるつもりならこのルートをクリアしてからがお勧めです。
・信玄ちゃんルート 評価Ａ
基本的に剣や銃で戦う重い展開になる中で、唯一ギャグの比率が多く平和的に解決するルート。
しかし熱さは他のルートに引けを取らず、あんまり重いのは…という人にとっては一番楽しめるルートなんじゃないでしょうか。
謙信ちゃんルートの裏の選択肢とでも言うべき内容なのでこの二人は連続でやる事をお勧め。
・政宗ちゃんルート 評価Ｂ
謎の多いキャラである政宗ちゃんの正体をテーマにしたルート。
一番ご都合主義が多い…というか無理のある展開であまり褒められる内容ではないけれど、ラストの締めは良かった。
外伝的な内容でテーマ以外の事には深く突っ込まないので最初のほうにやると？ばかりになるかも。
・輝元ちゃんルート 評価Ａ＋
毛利三姉妹の過去や、他では（扱いの差こそあれど）基本的に戦闘狂扱いの武蔵ちゃんにスポットライトを当てたルート。
「絆」という言葉が似合うルートで、個人的にはちょっと泣ける場面もあったりして非常に読後感が良かったですね。
萌えに関しても非常に力が入ってるルートです。
という訳で、上に書いた順番が個人的に推奨する攻略順です。
全員攻略するのはちょっと…って人は評価順に信長ちゃん→輝元ちゃん→信玄ちゃん…というのがお勧めの順番。
萌え要素の多さで言えば輝元ちゃん・信長ちゃんあたりがかなり多かったかと。
萌えと燃え、ギャグとシリアス、どれを取っても標準以上の水準を保った良作でした。
序盤の無茶設定と長さがネックですが、体験版をプレイしてみてついて行けそうなら是非。