丁寧な作品だとは思う。ただ、好きだった「PULLTOPらしさ」とも言える独特の暖かい雰囲気が半ば失われていることがとても寂しい
PULLTOPの作品は「ゆのはな」以降「PRINCESS WALTZ」を除いた全てプレイ済みなんですが、
それらのレビュー全てに「PULLTOPは雰囲気が良い」みたいな事書いてるんですよね。
登場人数を多くして舞台の幅を広げているからか、
それとも登場人物が一堂に集う印象的な場所を作っているからか。
理由は分からないけど、作品の雰囲気に浸るだけで楽しい、それが「PULLTOPらしさ」だと思ってたんですが…
今作は全てとは言わないけど、その独特の良さが失われてしまった感が。
1つ例を出すとすれば、
今作ではモブの学生達の中にあからさまに人間性を疑うキャラを登場させ(て進行のネタにし)たり、
学生たちが登場人物らに不信感を露わにする場面がチラホラ見られます。
確かに現実的に考えればまぁ無理からぬ話ではあるのだけど、
PULLTOPにはこういうのはやってほしくなかったなぁ…と。
人によっちゃ「何だ、そんな細かい事」と思うかもしれないけれど、
雰囲気の良さってそういった事が積み重なって出来てくるんじゃないかと。
やはり一部メンバーの独立や、ライター陣が御剣ヒロさん以外総入れ変わりした事の影響かな…。
もちろん逆にPULLTOPらしさを出そうとしているのが分かる所もあるのだけど、
僕個人の感想としては違和感というか…どこかが決定的に変わってしまったような、そんな印象を受けます。
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さて、そういった過去作品との比較を抜きにして考えた場合。
数の多い登場人物に十分なボリューム(エロは4つずつ×4人)などなど、丁寧な作品ではあると思います。
基本的に他のキャラ重視の萌えゲーと比べて大きく逸脱するような所は無かったかな?
大方の予想通り神様の力とか、呪いとかそういったものをテーマにした展開が多かった。
個別終盤はどれも盛り上がる展開なんですが、
とあるルートでのスセリの
「うわー、茶番っぽい。こういうの苦手なんだよなぁ…」
という一言がこの作品を総評しているような…。
どのルートもラストはやけに大げさな展開なんで、
人によっては一気に冷めてしまう事もあるでしょう。
僕自身ちょっと飛ばし気味に流してしまった場面も。
三貴子(アマテラス・ツクヨミ・スサノオ)とサクヤヒメ・イワナガヒメの神話に
そこそこ則っている(らしい)ので、知っているとorググりながら進めると楽しいかも。
ちなみにイワナガヒメは神話ではブサイクだったそうな。この作品では違いますが。
また、過去作品をプレイした事のある人なら思わずニヤっとするワードも。
「それはそうと」「きのした玩具店」「金にがめつい神様」
他にもあるかな?
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複数ライターという事で、共通と個別でキャラの細かい性格や設定が若干変わっている(のが分かる)のが残念。
また、主人公の江戸っ子口調は違和感…というかぶっちゃけ寒さを感じる人も多いでしょうねw
とはいえ共通序盤=体験版の範囲ほどに江戸っ子口調で喋る場面は少ないので、あまり気にしなくても良いかと。
他に気になると言えば…「教えて!神様」や次回予告など、本編と外れたいわゆる幕間劇の必要性。
説明したいのか笑いを取りたいのか、イマイチ何の為にあるのか良く分からない(汗
次回予告なんかは本編がシリアスな時に張りつめた空気を和らげる目的であっても良いのかもしれないけども
この作品では必要ない…というか逆に作り上げた雰囲気をいちいち壊してしまってる気がします。
なんせ本編でシリアスの渦中にいるキャラクターが普通に出てくるので…。
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個別に関して一言ずつ。
シナリオとキャラの評価はCが良くも悪くもなく、というイメージで捉えてもらえれば。
●いつきルート シナリオD+ キャラC
一番ラストの展開に感情が付いてこず、急ぎ足で進めてしまったルート。
とはいえ「矛盾や超展開が少ない」という意味では一番なので、のめり込めるかどうかで大きく分かれるんじゃないでしょうか。
イチャラブ…というかエロも1つの章に詰め込みました!って感じであんまり良い印象がないですね…
※追記:…と批判気味に書いてるんですが、他の方のレビューを拝見すると概ね高評価。
うーん、この差はどこから来てるんだろう?
改めて考えると、納得行かない展開や設定が無かったのはこのルートのみなので
じっくり読めばちゃんと感情移入できたのかもしれませんね。
初めに選んだのもマズかったか…少し日を置いてまたこのルートをやってみようか。
●サクヤルート シナリオC+ キャラB
付き合うまでのいざこざ→付き合ってからのイチャラブが良い感じ。ツン→デレの過程と表現が上手い!
個別序盤のシリアスは良いんですが、終盤がこれまた急展開。
エピローグに説明が多く、本編の展開の解説コーナーのような印象を受けます(汗
ただ、そんなことよりも何よりも、
何 故 イ ワ ナ ル ー ト を 作 ら な か っ た の か な ^^;
せめてエロだけでも…orz
●イナリルート シナリオD キャラC+
他のルートと比べて一話(一章)完結型的な要素が強いんですが、それがちょっとマイナスに働いて退屈な印象。起伏が…
また、共通と比べるとイナリのキャラがなんか違うような。確かに恥ずかしがりはしてたけど、こんな奥手じゃなかったよ?
終盤は…これはまた納得の出来かねる場面が…。総合的に考えると一番お勧めできないルートな感じです(汗
付き合ってからのイチャラブはそれなりにいいのだけど、短い><
●ツクヨミルート シナリオB キャラB
総合的にこのルートが一番良かったですね。
イナリルートと逆で章に関係なく一本で繋がってる印象のルートなんですが、起伏があって飽きなかった。
終盤はやっぱり「何でそうなるの?」的な展開も1つだけあったけど、場面がギャグとシリアスの中間くらいだったのでまぁ気にならず。
イチャラブも良い感じ。ライターの書き方が上手いので、
些細な告白→結ばれる過程もワクワクするイベントになってて素晴らしい。
声優さんがまたいい味出してる…と思って調べたら「星空のメモリア」のメアと同じ人なのね。
そりゃ萌えるよ…
ツクヨミちゃんと590二機で無双したいです^^
そういえば今日ホームのゲーセンでQMAの大会やってたなぁ…ツクヨミのやってるのとはちょっとタイトル違うけど(ぁ
あと、個別序章と終章のタイトルは間違いなくガンダムXを意識してる。間違いなく。
…などなど、ネタも多し。
そして何よりも
何 故 ミ コ ト ル ー ト を (ry
正直一枚絵で一番可愛いの、ミコトのCGなんですけど…orz
書きたいこと書いたら長くなってしまった…
改めて見るとなぜかネガティブ要素ばかり書き連ねていますが、
総合的に考えれば良作に満たない中の中~上あたりの作品という印象で
決して悪いとこばかりの作品では無かった事も書いておきます。
結論としては、終盤の展開に耐えられるかどうかが人を選ぶ&後は普通の萌えゲーって感じですね。
一応ネタバレ無し感想なんで、終盤がどんな感じかは他の方のレビューを参考にしていただければ幸いです。
ただ、良いか悪いかはひとまず置いといて
PULLTOPというメーカーは変わった、ということを感じさせる作品だったかな。