僕にはどう言い繕っても「ライターが酷い」としか思えない。仮にノリが自分に合っていたとしても、凡作以上の評価は出せないのではないかな…
うぃんどみるを信じたいわゆる「メーカー買い」の方も多い(僕のその中の1人)と思いますが、
ひとまずこの作品がこれまでのうぃんどみる作品とは違い「バカゲー」の部類に入る事を念頭に置いて欲しい。
バカゲーは大抵ノレれば勝ち、ノレなければ負けという個人差の大きいジャンルなので、
いつものうぃんどみるを期待していると最初から置いていかれる可能性が高くなります。
しかし個人的には正直
「未熟なライターが面白おかしく書こうとした結果、バカゲーテイストな寒い作品が出来上がった」
というような印象しか受けませんでしたが…。
詳しくは後述しますが、何故メーカーはこのライターを起用したのか甚だ疑問。
さて、この作品の難点を大まかに分けるとすれば
A「エロゲとして最低限守るべき事を守っていない」
B「登場人物のキャラ作りと心理がメチャクチャで理解できない」の2つですかね。
がっかり気分を引き摺ったまま書いているので、多少なり揚げ足取りな姿勢になってしまっている事を了承下さい。
それでも出来るだけ中立的に書きますので、購入しようと考えている方の参考にして頂ければ幸い。
A
■個別がエロシーンのみで終わる明らかにサブ扱いな美苑と柚菜のルート
これは他の作品でもありがちな事ですが、この二人は本当に「エッチしたら終了」という短さなので。
OHPのキャラクター紹介で上3人と同じ枠幅を取っている辺り作為的な何かを感じます。
■進行のテンポを悪くする50以上のどうでも良さげな選択肢
これは本当にイライラ。救いは「次の選択肢までスキップ」がある事だけど、
それにしたって2周目以降は本当に延々と選択肢を選ぶ作業が…
■個別に入るまでほぼ主人公・小町・梨桜の3人で進む共通
隠しヒロインって訳でもない限り普通はできるだけ満遍なく全員に出番を作るのが普通だと思うんですが、
メインヒロインである桔梗ですら学友会を理由に中々表舞台に出てこないのはワザと?
Bにも関連しますが、それでいて個別に入った瞬間「好きです!」と主人公に告白する桔梗やサブヒロイン達。
彼女らは主人公を好きになるような洗脳でも施されているんでしょうか。
■徹頭徹尾存在しないシリアス
どんな出来事も全ておバカなノリで纏めてしまうので、重い展開になる事自体があり得ません。
ノリに付いていけて笑えるなら良いのだけど、そうでない限り最後まで起伏も無く疎外感を味わう事になります。
ストーリーでさも大事そうに書いてある「決闘の儀」ですら、序盤以降は口喧嘩から発生しうる物になったり、
そもそも何も訓練などしていない主人公と小町が二人より強かったり。
バカゲーと言ってしまえばそれまでだけど、これすら笑わせる為のネタ扱いにするとは…
B
■他の学園物作品によくいる「主人公の友達で、エロい事言っては周りに引かれる男性サブ」とそっくりな主人公
思考がエロいだけなら他の作品にもあるけれど、それを見境なく発言するのはさすがに主人公としてどうなのか。
他作品の報われない男性サブキャラが可哀想で仕方がない…
■主人公が口癖レベルで発する(個人的に)直視するのを躊躇った語尾の例
「だぞっ?」「だぞぅ~♪」「カナ?」「カナ~☆」「にひっ☆」「ですねえ…♪」
…すいません、僕にこの主人公はレベルが高すぎるみたいです。
■そしてこういうタイプの主人公の良さを表現する「やる時はやる場面」がほとんど無い
作為的なだけならまだ良かったんだけど、「無かった」と言って差し支えないんじゃないでしょうか。
エロ発言以外特徴のないこの主人公に魅力を見出すことが出来ず、もちろん感情移入など出来るはずも無く…
■その主人公に対して引くような描写が無い所かむしろノッてくるヒロイン達。
他の方もレビューに書いてましたが、この主人公を好きになる理由がまず分からない上に、
主人公が「とりあえず告白してくる子なら誰でもいいや」感をあからさまに出しているにも関わらず
それでもいいよと言わんばかりのヒロインの態度が明らかに現実の感覚とかけ離れていて、
どうにも違和感しか感じませんでしたね…。
主人公が近い将来他のヒロインに手を出す未来が目に見えて仕方がない。
■ノリとテンションが高すぎて、魅力を感じるにはプレイヤーに求められるレベルが高いヒロイン達
最後までマトモなのはサブの綾媛先輩くらいでしょうか。
一番これが顕著なのは梨桜で、彼女の腰振りダンスネタはしょっちゅう出てくるので
直視できない場合は手動スキップをする場面が必然的に多くなります。
これを魅力と感じられるかどうかはかなり人を選ぶかと。
はっきりと「いや、マトモな人間の思考じゃないから」と明言できるのは小町の主人公を好きになった理由かな。
ネタバレにするほど重要な事柄でもないので書いてしまいますが、
理由は「子供のころから胸が大きくてコンプレックスだったが、主人公は胸を意識せず接してくれたから」だとか。
そして、主人公は屋内プールや道端でおっぱいだのFカップだのと周りに聞こえる声量で連呼。
…小町は主人公の何を見ているんだろうか?
ただ、もちろん悪い所ばかりでは無いですね。良い部分も挙げていけば、
■とにもかくにも絵。これは最高峰。評価の50点分はこれが占めていると言っても過言ではないくらい。
■Hシーン。このライターむしろ抜きゲー作ったほうがいいんじゃない?って思う程に濃かった。
まぁ、初回からイキまくったり、精液中毒だったり、露出癖MAXのヒロインに違和感を感じなければ、だけど…
■魅力的な攻略不可ヒロイン
もちろん綾媛先輩しかいませんが。この主人公とくっつくくらいならむしろ九朗先輩とくっついて欲しい。
長々と書きましたが、今の感想は
「ライターが他の事を何も考えずにバカゲー寄りの笑いとエロだけ表現しようとして突っ走っちゃった作品」って感じですね…
登場人物のやり取りが一般(現実に限らずエロゲも含め)の男女の会話において存在する常識をことごとく逸脱しているので、
どうにも彼らとの距離が遠く、あえて言葉にすれば終始宇宙人たちの会話を見ているような気分に。
主人公らしさやヒロインらしさを捨てた下ネタ多用の笑いが合う人にはストライクなのかもしれませんが、
それでもシリアスが無い=起伏が無い為、高評価出来る人は殆どいないんじゃないかな。
更に中盤以降はその傾向が顕著になっていくので、体験版の時点で少しでも寒い物を感じるならば購入を止める事をお勧めします。
作品を制作する時にライター以外の開発スタッフの意向がどれだけシナリオに影響しているのか、詳しくない僕には分からないけど
少なくとも有名メーカーだとしてもシナリオライターには注意をしましょう、という一つの教訓でしたね…