たっぷりのハチミツを美味しく頂くためには、それを塗るホットケーキが必要なワケで。
「主人公の言動に照れ→告白したいけどなかなか出来ない→めでたく結ばれていちゃいちゃ」という
テレ→デレ→イチャラブのコンセプトは確かに実現に成功していますが、同時に見事に失敗しています。
そこに至るまでの「過程」ってモノの大事さを完全に見落としてる。
二人の距離が段々縮まっていく一連の出来事を見ているからこそキャラに感情移入し萌えられるのであって、
極論を言えば道端で見かけたカップルのイチャつきっぷりを見たって全く萌えない訳で。
出会いとか仲良くなるきっかけとか、そういった下地を適当に作って
イチャラブ=ハチミツ500ml瓶だけドーンと出しちゃったような作品。
確かにハチミツは美味しいけど、それだけを大量に出されても甘いばかりで食えたもんじゃないですよ、と。
「告白したいけどなかなか出来ない」の場面が「告白しようとする→第三者の邪魔が入る」という展開ばかりなのもまずい。
…そもそも単純に、どの個別ルートも同じような展開なのはマズいと思わなかったのか?
コンセプトを気にしすぎるあまり、その他の部分が手抜きになっている印象を受けます。
更に言えば、その展開を長引かせるため主人公がかなりの鈍感でなければならなくなり、
萌えを狙って前面に押し出したハズの場面が、似たような展開&鈍感主人公と
人によっては不快要素だらけの場面になってしまうという踏んだり蹴ったりな結果に。
そして美樹がまさかのおまけルート扱い、しかも妄想オチ。
期待して最後に取っておいたのに…(´・ω・`)
良かった所と言えばもちろんミヤスリサの絵…と、何気にBGMが神掛かってる。
ピアノオンリーという事がこの甘いだけの退屈な雰囲気に拍車を掛けている悪影響も否めませんが…
また、小波ルートはこの甘ったるい作品の中で唯一ちゃんと萌えゲーしているルート。
バカゲーのノリを交えつつ仲良くなる過程ってのをしっかり描いているし、展開も飽きさせない。
異常にエロいHシーンから見てライターは間違いなくさいろーでしょうね。
この人はエロも活用して萌えられる個別ルートを書くのが本当に上手い。
シリアス展開などは特に凄いって訳でもないのだけど、萌えゲーライターとしてはかなりレベルの高い人だと思います。
最高の素材を用意しておきながら、ハチミツに拘るあまりホットケーキの重要性を忘れた作品。人にはまず勧められませんが
過程が無ければどれだけイチャラブが退屈なものになるか、がよく分かるサンプルケースとしてはある意味価値があるかも(汗
とりあえず企画者及びプロット書いた人は毎晩「過程」と100回唱えてから寝て頂きたい。