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KYさんの装甲悪鬼村正の長文感想

ユーザー
KY
ゲーム
装甲悪鬼村正
ブランド
NitroPlus
得点
93
参照数
1244

一言コメント

アンチに逢うてはアンチを斬る、信者に逢うては信者を斬る。批評の理ここに在り!

長文感想

思い付きで言っただけなので特に深い意味はないです。


見た目からしてかなりグロいんじゃないかと思ってましたが、別にそこまででもなかったので安心。
とはいえ昼間っからプレイしていたのでまだ怖いと感じなかっただけかもしれませんが…
さすがに夜にPCの光だけでこれをやる勇気はないかな(汗

まぁそんな中でも一番怖かったものと言えば、しばしば出てくる阿鼻叫喚のCG。
抽象的に描かれていましたが、それでも(だからこそ?)かなり怖かった。



さて、作品全体の感想。
システム周りのグラフィックからして既に「これは凄いぞ…」って印象を受けますね。

ニトロプラスの作品は初めてなのでこのメーカーの他の作品はどうなのか分かりませんが、
こういう所に力を入れるってのは他のメーカーも見習うべき点じゃないでしょうか。
やっぱシステム周りの見た目がチープだと最初から印象が悪くなりますし。


また、ダークな路線の作品でありながら、端々に
ライターのみならず制作陣全体からの遊び心ってのを見え隠れさせてるのがまた良い。
わざわざ他の作品のキャラクターを引っ張りだして来たり、1回のネタの為だけに専用の立ち絵を用意したり…
合体ロボのムービーにかなり力が入ってたのは吹きましたね。やりたかっただけだろwwwと。

こういった、ライターに限らずチーム全体の頑張りが見えてくる作品ってのはやっぱ楽しい。
噂通りニトロプラスってメーカーは一味違う!って思わせてくれる作品でした。


話の中身について。
かなり複雑っぽく見える作品ですが、改めて考えると
「自分の考えを曲げられない不器用なヤツらが、なんだかんだで結局最後まで真っ直ぐ突き進む」
ってだけの物語ですよね。


思い返せば、この作品に真っ直ぐじゃない人なんていなかったんじゃないかと。
景明、香奈枝、一条、茶々丸、光…
たとえ死ぬことになろうとも、全員が自分の信念を最後まで曲げなかった。
それは敵方であろうと、見た目は明らかに裏切りキャラっぽい雪車町一蔵であろうと例外はありません。

そんな連中ばかりだから出会ってみれば衝突の繰り返し。
現実世界にいたらまず間違いなく暮らしていけないでしょうね(笑
もうちょっと気楽に生きたらいいんじゃないの?って思ったりもしますが、
やはり信念を貫く姿は例え敵であろうとカッコいいものです。


「善悪相殺」ってのがこの作品のテーマでありしばしば語られますが、
改めて考えると結論は誰でも一度は思いつくような平凡なものなんですよね。

一応ネタバレ無し感想なんで多くは語りませんが、
そんな平凡な答えでも、それを実際に実行するとなるとそこにどれだけの苦悩と障害があるか。
それを真剣に描いてみた、っていうのがこの作品なのかなと思ったり。


作品としての面白さは、香奈枝と一条のルートをクリアした辺りがピークだったでしょうか。
この2つのルートは語りたいテーマと物語のサイズがマッチしていて、
すごく纏まってる印象があります。

茶々丸ルート以降の話は、どこまで行くのwwwって程に話が広がっていったのでびっくり。
この物語が最終的に宇宙に行くなどと果たして誰が想像しただろう。

それでもポカーンとならずに先の展開にワクワクさせたのは素晴らしいと思いますが、
今思い返せばやり過ぎ、という感想が先に来るかな…
ラストの悪鬼編での纏め方はとても良かったんだけど。

そんな訳で、一条と香奈枝のルートをクリアした時点が一番評価が高かったかな。
とはいえ、そもそも時間を忘れて進めてしまう作品なんて数少ないので余裕で90点は超えますが。


明らかに人を選ぶ作品ではありますが、判断材料の中でも1つだけ。
トゥルーエンドがグッドかバッドかっていうのは
人によっては重要なファクターだと思うので。

この作品でグッドエンドは最初から誰も期待してないでしょうが…(笑
「清々しいバッドエンド」って言い回しが一番近いかな。
後にモヤモヤしたものが残る終わり方ってのは一条ルートくらいです。
グッドではないけど、すっきりとした終わり方をする作品でした。