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K@Sさんの素晴らしき日々 ~不連続存在~の長文感想

ユーザー
K@S
ゲーム
素晴らしき日々 ~不連続存在~
ブランド
ケロQ
得点
100
参照数
5397

一言コメント

幸福に生きよ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

まず一言いいたいのはとにかく素晴らしい出来であった。
心理描写や多視点によって語られる演出、それらを表現を際立たせるBGMどれをとってみても非の打ちどころがなく、今までプレイしたゲームの中で最高の得点をつけたい。

序盤では、物語の全体像がよくわからないため、夢から抜け出した後の Down the Rabbit-Hole の終盤において、瀬名川が死んだ後に清川が由岐に対して白衣がどうのこうのとか、あえて由岐の名前を訪ねてきたり、由岐の部屋にざくろの携帯電話や無数の卓司(皆守)の指紋があったり、由岐が突然幽霊のようなものを見たり、殺されていた鏡が人形に変わったり、二つ目のシナリオの It's my own Invention で卓司の記憶が一部欠損していたり、なぜか皆守との対決の後、卓司が傷を負っているなど不可解なことが起こるが、四つ目のシナリオであるJabberwocky以降からその謎が紐解かれていく。この演出はとても良かった。携帯電話に付着している指紋について考えているとき、由岐本人の指紋について全く語られてなかったのはそういうことだったのかと後から思った。
また、三つ目のシナリオであるLooking-glass Insectsでは、ざくろの一つの選択で、ざくろにとっての素晴らしき日々にも、この世界に対する絶望へのルートにも分岐することがうまく描かれていた。レイプシーンが苦手なため、絶望へのルートは個人的には好きではないが、このシナリオがあることによってどうしてざくろがあそこまで壊れていったのかを知ることができ、必要不可欠なシーンだと言える。
この作品をプレイしてみて、ここまでのこれらの三つのシナリオはすかぢさんの語りたいことを伝えるための”前菜”であったのではないかと思った。それ以降のシナリオが物語の本題に迫るものだと考えられる。


上でも述べたが、場面の緊迫さや恐怖感を際立たせるBGMはもちろん、はなさんやmonetさんの歌う曲もこの作品にあった非常にいい曲だあった。

難解なことも含まれているため、誤った解釈をしているかもしれないので、もう一度プレイしてその時に気づかったことを再確認したいと思う。この素晴らしい物語を作り出したすがぢさんをはじめ、ケロQのスタッフに感謝の言葉を贈りたい。