おかしな2人
主題歌のタイトルがこの作品の概要をあらわしている。
冒頭、読者は小桃の狂人っぷりをまざまざと見せつけられる。
しかもただおかしいのではなく、ここがライターの真骨頂だと個人的に思うのだが、一定の説得力があるのだ。
そして主人公もその狂気的な情熱に共感を示し、小桃の同人活動に協力することになる。
正直OP前のこのやり取りがピークかと考えるくらいには出来が良かったのだが、ドージンの発生後、小桃に視点が移動してからの構成の妙には驚かされた。
なんと小桃視点では主人公のほうが、よほど狂人に見えてくるのである。
そこで性行為を通じて生まれる恋模様も圧巻。
読了後改めて唸ったのは、小桃にしても主人公にしても、社会では特段おかしかったわけではないというところ。
主人公がたまに喋る後輩くらいの認識くらいであったように、小桃さんはそこまで学校で目立つ存在ではないのである。この部屋に来るまでは。
『缶詰少女』のサリしかり、日常をひっそり暮らす少女のうちに秘める狂気性を“みつける”巧さがこのライターの魅力なのではないだろうか。