近年のトレンドである探偵の苦悩に斬り込んだ作品。 『はるくる。』はC†Cの世界のループをライターなりに解釈して作られたそうだが、本作では矢部嵩の『[少女庭国]』の卒業試験を想起させられた。
ミステリとしてはせめて瞑想室の見取り図くらいは入れて欲しかった。
2か所の通気口の使い道や、途中まで水名がまったく月角島との接点を話そうとしなかったことなど色々と考えたが、結果的には無駄に終わった。
しかし真相が判明した後の展開は見事といわざるを得ない。
動機面や舞台設定の説明などはこのライターの力を見せつけられた。
そして霜雪を失って壊れてしまった空丘島とユカリの対話が今作のベストシーン。
推理する必要のない個人の心情にまで土足で踏み込み、笑顔で合理的な解釈を提示し、そして次の事件へと向かう。
推理小説であればここで話は終わりだが、エロゲのお約束か話は続いてしまう。
個人的にはエロシーンを飛ばして、一気に祈りのチェスから、語尾が変わってしまった遠い未来のラストシーンへと繋げたほうがお話としてよかったと思う。
エロシーンはおまけで補完する方法をとったほうがよかったのではないだろうか。
四季シリーズはこれでおしまい。
不満点はあるが、序盤の水名挑発する月角島のシーンや、熾火の暴走など、テキストの素晴らしさは現役では間違いなくナンバーワンのライターであるので、今後に期待。
資料集の話が面白かったので、渡辺版のらくえんとかみてみたいな~。