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JSBZTさんのさくらの雲*スカアレットの恋の長文感想

ユーザー
JSBZT
ゲーム
さくらの雲*スカアレットの恋
ブランド
きゃべつそふと
得点
60
参照数
551

一言コメント

ジャンルで言うとバカミス…になるのか?

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

おそらく前作で言うところの“ラクガキ”ポジションが、『主人公の腕』と『プレイヤーとゲーム間の時代のズレ』の部分だったと考えられる(音楽の盛り上げ方からしても)のだが、これがそこまでインパクトがなかったというか…この程度なの?となってしまった。

『主人公の腕』のほうはエロゲならではの『右手の運動』という隠語によるミスリードがあって、ギリギリバカミスとして成立しているが、後者はまともに日本史やってたら途中で調べちゃうし、そこでピンッときてしまうわけで。

終盤もやけにあっさりしていて、使い古された親殺しのパラドクスで解決されるんだけど、加藤の言う通りに2年後に飛んだ方が物語に広がりが出て、伏線も作りやすかったのではないかと…もったいない。

エピローグに関してはもう完全に『BTTF2』で、母親からのメッセージは米澤穂信の『ボトルネック』と既視感のオンパレードだった。

そしてオチは大正に残したキャラクターの努力で、この令和が出来上がったというものだったのだが、これまた納得できない。
こういうこともまともに日本史やってたら少しは考える話で、大正以降の日本の歴史ってそんなに誇れるものだったのか。
ましてや未来人である主人公の助言も幾分かあったわけで、その結果が令和なのかと思うと何の感動もなかった。
まあでも元号の話も所詮はギミックの一つで、作者がそこまで考えてるとは思えないのでこのあたりで。