もにゃもにゃとした違和感。歩きながら、じっと、更紗さんの背中を見つめる。透明で消えてしまいそうだった更紗さんが、今はハッキリとした存在感を持っているのだ
体験版の範囲のとんでも部活もののまま進めた方が良かったというのもよくわかる。
ライターの力量から仮にそうなったとしても傑作が出来ていたことは間違いない。
実際中盤までは自分も流れを壊してまで、このような展開にする必要があったのかと疑問だった。
というのも、一言コメに書いた冒頭の冴えない存在感のない女の子を見つけたシーンに心を打たれたからだ。
しかし終盤、この文章に意味が加わる。
更紗『こっ、小海先輩は!小海先輩はどうして、私を見つけてしまったのですか!
わっ、私なんかを見つけなければよかったのに!』
更紗『わっ、私……見つけてもらわなくてもよかったんです!
話しかけられなくたって、それでよかったんです!ずっと、そうやってきたんですから!』
主人公の趣向から生み出された更紗の側からの思わぬパンチ。
この物語は個別はあってないようなものなのだが、それも頷ける。
その後の台風の伏線を使った主人公なりの責任の取り方も素直にカッコイイ。
『いやでも俺に巻き込まれてもらうぜ』
更紗の腕を引いて、ドアに向かう。ドアを開ける。
踏み出して――。外だ!
俺は、台風だ! 突っ走って!突っ走って!
それで! それが全部なんだ!
最後にこのゲームは次のツイートから生まれた
渡辺僚一 @watanaberyoichi
「え? それを買うの?」
女子高生が何気なく買うものじゃないと思う。サバの缶詰は……。
「好き、というより必要だから。……わたし、世界の終わりが恐くてさ」
「はい?」
「世界の終わりが来た時、少しでも生きていたいから余裕がある時は缶詰を買うようにしてるの」
14:50 - 2018年2月1日
本作を書き切ることにより、生みの責任を果たしたライターに賛辞を贈りたい。