CANVAS+GARDENファン向けの内容。シナリオは面白味に乏しいですが不快要素は無く安心してプレイできます。
CANVAS+GARDENのファンではありませんが宮坂先生の絵が好きなので買いました。
前作はプレイ済みです。
内容を要素別に見ていきます。
※点数は(得点/満点)で記載しています。総評の点数は(合計得点/満点)です。
【ゲームシステム】(5点/5点)
前作と同じく選択肢を選ぶタイプのオーソドックスなADVです。
開始序盤に選択肢があり、莉良か璃貝を選ぶと前作で恋人になった前提で続きの
ストーリーが展開していきます。
シエルところんを選ぶと前作時点では莉良と璃貝のどちらとも恋人にならなかった
前提で話が進みます。途中でどちらかを選び、更に分岐して個別ルートに入るように
なっています。
【環境回り】(6点/10点)
スクリプトエンジンはCatSystem2です。
吉里吉里採用タイトルなどと比べると高機能ではない感じですが、プレイ時間はあまり
長くないため、それ程不便はしませんでした。
要望を挙げるとすれば
・フォントが読みづらいため色の変更機能
・バックログのジャンプ機能
といったところでしょうか。
【キャラクター/声】(15点/20点)
登場人物に前作から大きな変更はありません。
サブキャラに若干変化があり、主人公の祖母である佳代子さんがメッセージウィンドウ用の
イラストとボイス付きで登場します(序盤以降は登場しません)。
また、よほど評判が悪かったのか羽田くんは名前すら出て来ません。
声のクオリティは智里役の一色ヒカルさんだけ頭一つ抜けている感じで、
他のヒロイン陣は横並びです。
【立ち絵/CG】(18点/20点)
すごく可愛いです。塗りの品質も商用作品並みです。
立ち絵の服装バリエーションが意外と多く、学園とお店の制服以外に私服も複数パターン
用意されています(若干センスに疑問のあるものもありますが……)。
冬の時期はちゃんと暖かそうな服装の立ち絵が用意されているのも良かったです。
あえて注文を付けるなら、制服襟の模様はもうちょっとシンプルでよかったです。
CGはSD絵含め44枚(うち3枚は前作からの転用)です。
あまり同人作品はプレイしないので客観的な評価はできませんが、ロープラということも
加味するとかなり頑張っていると感じました。
【シナリオ】(15点/25点)
起伏に乏しく面白味のあるシナリオではありませんでしたが、前作にあった嫉妬といった
不快要素は排除されており、その点で安心してプレイできる内容になっていました。
ボリュームも莉良と璃貝ルートが1時間、シエルところんルートが2時間30分くらいあり、
公式Webサイトに書かれている通り前作より多めになっています。
時系列的には夏休みからクリスマスくらいまでの期間となります。
学園での体育祭や文化祭、カルメラでのクリスマスといった定番イベントを
ヒロインたちと共に過ごします。
前作で批判的な意見が多かったのかも知れませんが、本作ではサブキャラたちからの
嫉妬や嫌がらせは皆無です。
反面、起伏に乏しく複数ルートを通しでプレイすると眠くなってきます。
無味乾燥とした雰囲気もなくはないですが、ブランドの方向性としては本作のほうが
良いと思いました。
【Hシーン】(7点/10点)
前作同様本編とは別にExtraとして収録されています。
回数は合計6回(莉良と璃貝が1回、シエルところんが2回)です。
尺は短めでテキストも初々しい感じの萌えゲーにありがちな内容です。
実用性は無いと言いたいところですが、形容しがたい妙な背徳感が漂っており、
趣味に合えば使える人もいるのではないかと思われます。
【OP/ED/BGM】(7点/10点)
OPが1曲、EDが1曲です。
BGMは前作の16曲に加えて体育祭やクリスマス用の曲など5曲が追加になっています。
特別良質という訳でもありませんが、商用ロープラ並みのクオリティはあります。
ただし、追加曲は音楽鑑賞モードで再生できず、別売りのサウンドトラックにも
収録されていません。
気になって調べたところフリー素材の音源を使っているようで、著作権の関係で
収録できなかったのだと思われます。
1点仕様的な要望を言うと、BGMを本編中で繰り返し再生する際に途切れ目のないよう
再生するようにして欲しかったです。
【総評】(73点/100点)
前作の雰囲気を踏襲したCANVAS+GARDENファン向けの内容でした。
本作ではシナリオから不快要素が排除されており、ファンの声に耳を傾けたことが伺えます。
塗りのきれいなイラストにパッケージ版で3,000円という低価格を考えると、同人作品
としては相当頑張っているのではないでしょうか。
客観的にADVとして見ると、面白味に乏しく萌えの要素もあと一押し欲しいところで、
シナリオゲーにもキャラゲーにもなり切れていません。
よって本作は、CANVAS+GARDEN(宮坂先生)のファン以外には勧めにくいということに
なります。
今後、もし本ブランドで新作を出すようなことがあれば、もっとキャラ萌えに振り切って
プレイヤーを悶えさせる方向で行くのがいいのではないでしょうか?
下手にシリアスをやるより喜ばれそうな気がします。