駄作にしか見えなかった。「電波少女+奇病+奇跡or死別」という黄金パターンが3本読めるだけなので、それが楽しめる人でないと苦しい。
残念ですが、この作品の面白さは、筆者にはつかみ切れませんでした。
相当な人気作品であることは承知していますが、曲以外に、高く評価できる要素が見当たりません。
Keyの作品は、リトバスEXに続き2作目の挑戦です。プレイを始めて、すぐに既視感を覚えました。
多くの皆様はご承知のことかも知れませんが、どうやら、Keyには「電波少女+奇病+奇跡or死別」という
黄金パターンがあって、大抵はこれを微修正するだけで、別作品、別シナリオであるとしているんですね。
(注)電波少女:奇妙な口癖が特徴で、精神年齢が低い。少女と言うより幼女。現実感が薄い。
奇病:幼児退行、極度の鬱状態、全身衰弱など。
無論「それがいい」「支持されているのだから文句ないだろう」という意見は、成り立ちます。
しかし、筆者は、この黄金パターンは面白いお話になりにくいと思うので、支持できません。
主要な登場人物の精神年齢が極端に低いことは、プレイヤーの感情移入を強く妨げますし、
奇病や奇跡を多用するのは、人間の意思の力を軽視した物語の作り方であると考えます。
筆者は、弱さや醜さを含めて、人間の有様を鋭く描いた作品に魅力を感じます。
人間を、人間の生き方を、運命や偶然だけで説明されてはたまらない、と思います。
筆者の見たところ、本作は3人のヒロインが、それぞれ単に黄金パターンに沿った物語を展開する作品です。
ヒロインによっては、奇病になるのが本人ではなく母だったり、いつもの「謎の奇跡で万事解決」に代えて
「謎の呪いで涙の死別」になったり、と細かいバリエーションはありましたが、物語の骨格は変わりません。
黄金パターン自体を楽しめるプレイヤーであれば、これでも満足できるでしょうが、そうでない人からは、
手抜き作品を読まされたような不満を持たれても仕方がない、お話の作り方だと考えます。
あえて筆者の感想を言うなら、個々の不満や疑問は別に置いて、こうした黄金パターンの使い回しも含めて、
ひとつの壮大な寓話として捉えれば、何か得るものがあるのかも知れない、とは感じました。
しかし、それは、製作サイドが期待した本作の楽しみ方とは、おそらくかけ離れているでしょう。
リトバスはギブアップしたので、今回はかなり我慢して最後までプレイしたのですが、報われず、残念です。